前途多難
その日の授業合間の休み、ジェイソンと一緒にランチした件について、テイラー・ガブリエラ・マーサから物凄く色々と聞かれた。
私が「初めて一緒にランチしたんだから、すぐに進展するわけないじゃない!ほんの少し、彼と仲良くなっただけよ」って告げれば、テイラーはつまらなそうな顔をして。
「そうだ!明後日のboys day、ジェイソン誘ったらどう?」
boys day、それは書いて字のごとくわかるとおり、男の子の日。
女の子が男の子を喜ばせるための日。
夏休みを跨いでgirls dayもあり、こちらは逆で男の子が女の子を喜ばせるための日。
まず女の子から誘わなきゃならないし、当日はデートしたりとかプレゼントしたりとか、女の子はとびきり忙しくなる。
1年でも2年でも、私はペアが居なかったから参加しなかった。
(何人かは必ず、何故か参加しない)
ガブリエラもマーサも「それが良いわ!」なんて楽しそうにはしゃいでる。
授業合間の休み時間も終わって授業を受け、昼休み。
テイラーの言葉が頭を渦巻いた。
誘うか、どうしようか、なんて考えに考えていたら、誰かにぶつかってしまった。
「ケルシー、大丈夫?」
ぶつかった相手は幸か不幸かジェイソンだった。
ぶつかった拍子に落ちた五線紙を拾ってくれていたらしく、手渡してくれた。
「ありがとう、でも前見てなくて…ごめんなさい」
私がそう告げれば、ジェイソンはふわりと笑って許してくれた。
そもそも、ジェイソンはぶつかった事に対して怒ってなかったようだけれど。
「そう言えば、トロイ達は?」
いつも一緒の3人が居なかったから、つい聞いてしまった。
「皆、彼女のところさ…あの日を楽しみにしてるからね」
ジェイソンは少し笑いを堪えているようだった。
「ジークはシャーペイに誘って貰えりゃ良いけど、どうだろうねぇ」
ジェイソンはチラッと教室を見ながら話した。
「…ガブリエラがトロイを誘ってれば可能性は高いかもしれないけど」
私がそう言えば、ジェイソンは笑って頷いた。
「だね…後はテイラーとチャドが心配かな」
ジェイソンは少し苦笑いをしてみせた。
「大丈夫だと、思うけど…」
私がそう言えば、ジェイソンは首を横に振った。
「あの2人、似た者同士で恥ずかしがり屋で照れ屋で、意地っ張りで素直じゃないから…テイラーがチャドを誘えるか心配なんだよ」
ジェイソンの話に私が納得していたら、不意にガブリエラが現れた。
「ねぇ、ジェイソン…話があるの、ちょっと良い?」
ガブリエラはふわりと笑ってジェイソンに尋ねた。
「え、あぁ、うん…僕なら大丈夫だよ」
ジェイソンも返すようにふわりと笑って。
ガブリエラは嬉しそうにジェイソンを見つめながら、衝撃の発言をした。
「boys day…私と、1日一緒に居てくれない?」
私もかなりびっくりしたけれど、それ以上にジェイソンはびっくりしていた。
…当たり前、なんだけれど。
直ぐに、ジェイソンは笑って頷いた。
…私、今年も参加出来ないな
なんて考えていたら、テイラーとチャドが現れ、それはもうびっくりしていた。
何故なら、ガブリエラが幸せそうにジェイソンに腕を絡めてくっついていたから。
「が、ガブリエラ!?」
テイラーがガブリエラをジェイソンから引き剝がしながら恐らくだけど、問いただしていた。
ジェイソンはチャドに問い詰められていた。
「私が誰とboys dayに一緒に居たって自由でしょ?」
普段のガブリエラからは想像出来ない台詞だった。
「ガブリエラが誘ってくれたし、了承しない理由もないからね」
ジェイソンは相変わらずの笑顔でサラッとそんなことを告げていた。
boys day、波乱が起きる気しかしなかった。
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