隣に居る幸せ


お昼になり、教室の外でジェイソンを待って居ると、トロイ達と一緒に楽しそうに話しながら現れた。


ジェイソンは私を見つけるとふわりと笑って、私の手を引いて優しく自分の方に引き寄せた。


私は引き寄せられて、トロイ達の前に居る状態になり、少し緊張してドキドキした。


「やあ、ケルシー」


トロイが軽く手を上げて挨拶をしてくれた。


すると、チャドがニヤニヤしながらジェイソンの肩に腕を回した。


「なんだよジェイソン、彼女かよ!」


チャドの台詞に、ジェイソンは少し頬が赤くなっていて。


「まぁ、うん…そんなとこかな、って事で、先約だから先行くね!また後で!」


ジェイソンはワイルドキャッツの仲間達に笑って手を上げた。


そして、少し歩いた辺りで、いつの間にやら集合しているらしいワイルドキャッツの全員が、ジェイソンをからかっている声が聞こえた。


「ごめんね、ケルシー…あいつらいつもああなんだ、トロイの時もチャドの時もああしてからかってた」


ジェイソンが申し訳ない、と言わんばかりの表情で私を見た。


「別に、それぐらい平気よ?…ただ、トロイ達の前に居るのは緊張したけれど…」


私がそう返せば、ジェイソンは安心した様に笑った。


「…良かった」


そう話していたら、カフェテリアに着いた。


ジェイソンはNYデリセットを、私はパンとサラダと飲み物のセットを貰って空いて居る席に座った。


「それじゃ、お腹もぺこぺこだし…食べよっか」


「うん」


私がパンをちぎって口に放り込んでいたら、ジェイソンは美味しそうにNYデリを口いっぱいに頬張っていた。

(ちなみにNYデリはパンにベーコンや野菜などを挟んだ大きめのサンドイッチ、セットだと飲み物が付く。ちなみにパンはパンそのまま、もしくは半分に切られたサイズに挟まれたものから挟めるタイプのパン、サンドイッチみたいなものまで様々)


「ん…ケルシーって、ピアノがとっても上手だね」


ジェイソンは口いっぱいに頬張っていたサンドイッチを飲み込むと、不意にそう話しかけてきて。

驚いた私は口に含んでいた飲み物を勢い良く飲み込んで、その勢いで飲み物が変なところに入ってむせてしまった。


「ケルシー、大丈夫!?」


ジェイソンが驚きながらもゆっくり背中をさすってくれた。


「ご、ごめんなさい、もう、大丈夫だから…」


咳も収まり、何とか話せるようになって。


「ピアノは…私の唯一の特技だから…」


そう言うと、ジェイソンはふわりと笑った。


「僕も、バスケが唯一の特技だよ」


そう言うと、またNYデリを口いっぱいに頬張って。


数分後には綺麗に食べ終わって、飲み物を飲んでいた。


私はサラダをゆっくり食べながら、会話を楽しんだ。


楽しい時間はあっと言う間で、すぐに過ぎてしまった。


教室に戻る道すがら、ジェイソンが小さな声で尋ねて来た。


「明日も一緒に食べようか」


私はびっくりして、ちょっとパニックになりながら、OKした。


ドキドキしながら、気づけば彼の横顔を見つめてしまっていた。


教室に帰れば、ジェイソンはトロイ達にからかわれながら話を聞かれていて、私はテイラー達に隅から隅まで話を聞かれていた。




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