第8話 二人の時間

俺は今日もいつも通りに授業を受けていた。

今までだったらその時間は退屈で仕方のないものだった。

だが今日は違った。


確かにずっと退屈でないかと言われたらそうではない。

だが俺は西沢と出会ったその瞬間から考え方が変わり

物事の考え方が変わったんだ。


例えば退屈な授業が国語だったとしよう。

あ〜つまんないな〜。ああ、朗読が棒読みになってきたよ。

みんな読んでるから口パクでも構わないよね。

そうだ、西沢と話す話題でも考えてみるか〜

みたいな感じだ。


いや、現実味ないよね。でもそれが面白いんだ!と思う。

そんな小さい世界から始めることでいいんだ。

小さいことの繰り返しで人は成長していくものだって思うから。


「おーい、牧野今日の放課後はどこ行く?」

「悪い新城、俺塾行かされることになってさ。悪いけど今は遊べそうにないわ」

「そうか」


いつも通りやってくる放課後、でも遊び相手は次第に少なくなっていた。

そしていつかは誰もいなくなるかもしれない。

そんな予感がしていたんだ。


そして放課後帰る支度を済ませ校門へと向かう途中だった。

「あ、あの。新濁くん?」

「うゎぁ、って西沢か。普段話しかけてこないからビックリしたー」

「やったービックリさせられた〜」

「なんだそのノリは、なんかお前らしいや」

「私らしい?」

「だってそうだろ。いつも大人しそうなのに中身は面白い奴だからさ」

「私、面白いのかな?」

「嘘だ」

「えーなんでなんでー?私は面白い子なの!」

「やっぱおもろいわ」


俺たちはちょっと前まではまともに会話もできず、というより

話しかける前に逃げられ、

ドアをバタンされてお互いに話す機会なんて全くなかった。

でもその人と話してみたいと思って側にいたら

いつの間にか話せるようになってたんだ。


「その、帰り道一緒に帰らない?」

「そうだな、いいぜ。帰るか」


「そういえば西沢は普段家で何してるんだ?」

「普段ね。いつも同じようなことしてるんだ」

「同じようなことか。俺も似たようなものか」

「趣味とか好きなものとかはどうだ?」

「食べ物は大好きだよ〜」

「俺は玉子丼が好きだぞ」

「私はカツ丼もすきだよ」


まだお互いの過ごしてた時間がまだ少ないから

話がうまく無いのも当然だった。

その積み重ねが大切だったんだ。

うまく話せるか、相手に興味を持ってもらえるかなんて

少なくとも俺たちにとってはどうでもよかったんだ。


「西沢はそういえば朝起きるの得意か?」

「私はいつもダメダメだよ。朝はすごく弱いんだ」

「俺もなんだ。朝はすごく苦手でさ学校のギリギリまで

横になってるんだ」

「あらら、だらしないよ新城くん」

「いや、お前も同じだろそれ!」

「じゃあさじゃあさ、朝、私が新城くんの家にいくのはどう?

それなら二人ともお目目ぱっちりだよ」

「西沢はちゃんと起きられるのか?」

「起きられなかったらごめんね」

「余計にダメじゃん…」

「私じゃあ頑張ってはやく起きて新城くんの家に来るね」

「まあ、期待しとくよ…」


俺たちはこうして一緒に下校をした。

その物事自体は何も変わってない。

だが1人と2人でこんなにも違うものだと実感した。

だからこのひと時が楽しかったんだ。





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