第6話 君との出会い

「あ、あの。大丈夫?新城くん」

「・・・」


俺はクラス委員の千秋若菜と一緒に西沢の家に向かっていた。


「ああやって笑う人もいるけど、わかってる人もいるから気にしないでね」

「ああ…」


その時の俺には千秋の言葉の意味が分からなかった。

俺はただちょっと行動を変えようと思った。

でもそれはかえってみんなにバカにされ冷たい目線を浴びせられる。

わかってる人もいるなら何で助けてくれないんだろうか…。

まだ幼い俺には何もかもが分からなかった。


「ここが西沢さんの家だよ」


クラスでああ言ったが、西沢の家は知らなくて、千秋が俺を家まで

ここまで案内してもらっていたんだ。


「私、一緒にいなくても大丈夫かな?」

「俺、多分西沢に嫌われてるから居てくれた方が助かるかな…」

「うーん、西沢さんはね、かなり人見知りな子だから

そう見えたんじゃないかな?西沢さんは悪い子じゃないから

大丈夫だと思うよ」

「そうなのかな?」

「じゃあ、私行くね。 じゃあね」


そう言って千秋は西沢の家から去っていった。

いざこうやって女子の家のドアフォンを押すとなると

かなり緊張する…。逃げ出したくなるくらい。

でも、少しでも自分は変わりたいと思ってた。

だからボタンを押せたんだ。


「はぃ、・・・ええ!?」


バタン。すぐドアを閉められた…。

さすがにこの状況で俺の感情を抑えることはできなかった。


「おーい、西沢!それはいくら何でもあんまりだぞー!さっさとあけろー!」


勢いで怒鳴ってしまったのは流石にマズイと思った。


「怒鳴ってごめんな…。プリントをドアの前に置いておくからさ。

俺もう行くから…」


ドアの前にプリントを置いて西沢の家から去ろうとした時に

ドアは静かに空いた。


「えっと、、新城くんだよね…。プリント届けてくれてありがとう」

「あ、ああ」


一応話せるんだな…。

少なくとも俺と話したくないわけでは無いことは分かった。

今日はそれが分かっただけで満足だった。


「じゃあ、また明日ね…」

「お、おう」


何というかどう話をすればいいかちょっと分かりづらい…。

でも、何というか安心はできたんだ。

嫌われてると思ってたが、実はそうじゃ無いんだって。

それが分かっただけでもちょっと嬉しかったんだ。


そうして俺はいつもよりはやく家に帰った。

帰るまでの道のりは1人だったけど

つまらなくはなかった。ちょっとこそばゆい感じだった。


また話せないかな…。俺はそう思ったんだ。






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