弱点
擬態ではない私服警官たちに連行される車内でミラージュは思考する。
(やつの弱点は仲間だ。やつは仲間を作ったことで、そこに弱点を生んでいる。だが、なぜだ。なぜ、弱点などを作ったのだ……? なにかわけがあるのだろうか……)
定禅寺イリヤはつねにひとりで行動していた記憶があった。そのため、ほかの仲間などを作ればそこに弱点が生まれることくらい容易に考えられるのである。しかしいま、定禅寺イリヤはひとりではなかった。ミラージュはそれがまったく理解できなかったが、けれどもやつがその弱点をそうやって晒し続けているのならそこを突かない手はないだろう、と思った。
ミラージュは車内を消えた。おそらくもう一方の車で連行されている吉良光太郎は擬態だろう。だがしかし、もうすでにミラージュには関係ない話である。
(果たして、吉良光太郎は何人を始末するだろうか。まあ、ひとりも始末できなかったところで、いまのわたしには無関係な話だが)
ミラージュはハロウィンで盛りあがる街中でとあるひとりの少女を見つけ出した。
(素質がある。だが、どうしたものか。素質のある人間の魔法を呼び覚ましたところで、今回のようにおわってしまっては意味がない。やはり、ほかの手も考えておかなければならない、か……)
とにかく、兵隊がおおいことに越したことはない。
ミラージュは、少女へ声をかけた。
「きみの復讐に、手をかそう――」
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