計画
仙台空港。
とあるひとりの女性が電話をしている。
「ハロウィンとクリスマスに事件がおこるわ。え、予言じゃないわよ。これは少々、わたしたちの元組織との因縁が関わっているのよねえ、めんどーだけど。まあ、半年ほどしか、もたなかったわね。わたしたちの、生活。やっぱり、わたしたちには平凡な生活というものは無理のようね」
モスクワ発の旅客機が、到着する。
到着ロビーから、ひとりの白銀の少女があらわれる。
女性は、その少女を確認した。
だが、けっして声はかけない。
これは、みずからの正体を隠していなければ成立しない計画なのだ。
女性は、まるで真剣そうな面持ちでスマートフォンを確認する。
待ち時間に買った、ホットドックをかじった。
「家族がもうひとり、いることくらいはおしえておいたほうがよかったかな……?」
ぼんやりと思い出したことを口に出してつぶやいていると、いつの間にか目の前に白銀の少女が立っていた。
「はうあ!」
「おもしろい魔法」
女性は、まずいといった気持ちで不器用に笑みを浮かべてやりすごそうとした。
少女は、しばらくのあいだそんな女性の顔をじっと見てきていた。
それから、少女は無言のまま立ち去っていった。
女性は、おおきく息をついて肩を落とした。
「……あぶなかった」
少女――シャルナ・カシンは魔法使いである。第一魔法は『周波数探知』。実際にはそれは周波数ではないのだが。彼女の意識のなかで周波数に似たなにかを視覚化し、それを探知などに利用する。しかし、攻撃タイプの魔法使いではない。
「役者はそろったわね」
女性は、にやりと笑った。
「わたしだけのたのしめる、ラブストーリーのはじまりよ――っっ!」
大声で叫び、くるくると回る。まわりの連中が、偏見の目を向けてくる。
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