第26話魔法武器
翌朝、気になっていたので魔法とスキルを確認するためにLVUP窓口に行きスキルを印刷してもらう。
覚えられるレベル:必要経験値『詠唱時必要MP』魔法名と内容
LV五:一万『MP三』
ストーンショットガン 無属性攻撃魔法 近距離広範囲に石をバラまく
LV六:一万五千『MP五』
アースウォール 土属性補助魔法 土壁を作るニ十分維持
クライネアイスロック 水属性攻撃魔法 対象を凍らせる
リウインド 風属性攻撃魔法 クライネウインドの強化版
クライネキュア 聖属性癒し魔法 毒、麻痺、暗闇、出血を解消
LV六:一万四千八百五十『MP五』
リファイヤー 火属性攻撃魔法 クライネファイヤーの強化版
経験値の消費が凄いな。魔法使いが不遇と言われている理由がわかった気がするひどすぎるだろこれ、そんなに凄い魔法なのか?
でも一つだけ経験値取得が微妙に少ない魔法があるね。火属性か、そういえば火だけは良く使ってたから、使い込みが多い魔法は取得する経験値が減るのかもしれない。
しかし、ぶれぶれの運営だから、習得した後に「必要経験値見直しました」とかありそうで怖い。運営に改善要望メール出したら下がるかな? とりあえず放っておこう。
魔法以外のスキルは、兎のふん二は前と変わらなかったが、なにこれ!
スキル名:必要経験値『スキルタイプ』スキルの内容
パッシブ 持っているだけで有効
アクティブ スキルを発動すると有効
エルドワの親友:三十八万八千『パッシブ』
クローネシュタット南西スラム街の人と仲良くなれる
調合二 :九千九百『パッシブ』
生産の成功率UP、生産物が増える可能性が微増する
親友って経験値で買えるの? しかも、まあ中途半端な値だね。調合二は前回見た時より、必要経験値が百減ってるな。調合を使ったからかな? どうやら熟練度っぽいものがありそうだな。
屋台でソーセージを食べながら今日の予定を考える。なんで今まで気がつかなったんだろうな。モグモグ。
“兎の餌ニ”があると、犬や猪、ラージヤマアラシ位は襲ってきそうで、アルミラージ狩りをするにも不便だ。外したら狩りの効率が悪くなる。
経験値も有るし金も有る。LVを上げすぎるとPTプレイに迷惑が掛かる。魔法を覚えすぎても怪しまれる。
ちょっと金や経験値に引っ張られ過ぎたか、観光でもしてのんびりと過ごすか。そうだアイゼンハルトに行こう。ちゃららーちゃららーちゃらららららららー♪
十文字槍に兎の涙が付くかも知れない。どうせ行くなら、物資の運び込みと運び出しもしよう。
商会に寄ったが商会長も副商会長もいなかった。諦めて兎の涙と兎の涙大粒を引き出して、西門から歩く。
犬に近づくと犬が逃げていく、山に入って出会った猪も逃げていく、なんか斬新だよなあ。正直弱い敵って邪魔なだけだからこれは良いな。
狼の集団に襲われたが、脱兎で三匹吹っ飛ばして、もう一度脱兎で戻って残りの三匹も吹っ飛ばす。止めを刺して終わった。
蛇が穴から出来たのですかさず槍を突き出す。蛇は長すぎるので槍を避けれない。最後毒っぽいものを吐かれて反撃されたが距離があるので回避できた。簡単でいいのだが味気がない。
オークの集団も出たが、図体がでかいので当たりやすいし、クライネファイヤーを撃てばだいたい時間が稼げて何とかなる。やっぱり魔法便利だな。習得するのに経験値がある程度必要なのかも知れない。
熊は出ても同時に二匹なので負けることはない。一体から熊の手が三本出たのは理解できなかった。
そろそろ三時間くらい経っただろうか、まだ十キロくらいだと思われる。これ他の人大変だね、脱兎に慣れすぎて徒歩での移動が辛い。そろそろ休憩したいので街道に近づく。
ゾンビやスケルトンが出るが動きが遅いし、何故かすごく良く燃える。悶えないので時間は稼げないが、槍で順番に押し返していると倒せる。もぐら叩きみたいなもんだな。
その後もゾンビやスケルトンらを倒し、錆びたナイフ、錆びた剣などが出たが、見るからにボロいのでとりあえず二本だけ拾った。
何故か安全と分かるポイントに到着。焚き火セットは持ってきていないので、そのへんの枯れ木を拾ってランタンで火を付ける。へーつくんだ。
テントを張ってログアウトする。しかし移動がこんなに面倒だとは、行った先でPTメンバーが探せない場合、詰まりそうだな。
移動や移動先での狩りもPTメンバーをある程度固定しないと、大変そうだ。だから孫娘もクローネシュタット近郊に居ないのだろうな。
休憩も終わり、安全地帯をよく見ると、薬草、毒消し草、合わせ草が沢山生えていた。きっと行き詰まった人への救済処置なんだろうね、根こそぎ採取しておいた。
ゾンビやスケルトンが面倒なので、脱兎で街道を離れて、また歩きだす。特に目新しい敵はいないな。
空が段々明るくなってきた。おや? 遠くにあかりが見える。近づいて見ると街道で野営している兵士のようだ。
「おはようございます」
話しかけたらびっくりされてしまった。早朝に街道を一人で歩いて来るなんて非常識なのだろう。
アイゼンハルトから歩いてクローネシュタットまで向かう途中で、グリフォンは遭遇しなかったそうだ。私はアイゼンハルトにグリフォンが居なくなった旨の伝言を託された。
しばらく歩いたが面倒になったので脱兎で向かう。約七分でアイゼンハルトが見えた。歩くのがアホらしくなる。
アルミラージのようなお得な敵がいるかと思って歩いてみたが、見かけなかったし辛抱が足らなかったな、いつか探してみよう。
アイゼンハルトに到着し、入口の衛兵にグリフォンがいなくなった旨の伝言を伝えるとすごく喜んでいた。しかしなんでグリフォンいなくなったのかな? これなら私が運び込まなくても何とか成ったんじゃないのか?
まあ感謝されたし、レアなアイテムも貰えたからいいか。日本時間十二時、ゲーム時間四時なので、昼ご飯と時間調整のログアウトかな。
ゲーム時間九時鍛冶屋に向かう。ドワーフの鍛冶屋に十文字槍に宝石がつけられるか確認をする。兎の涙は珍しいので、付けてみないと効果が分からないらしい。
ちなみに既知の宝石でもランダム性があるため、必ずしも望む性能には成らないとのこと。で、出来上がったのがこれだ。
十文字槍+兎の涙大粒
・この槍を持つ者に掛かる魔法の効果が二倍になる。
・兎の深い悲しみを宿す。この槍での攻撃ダメージ二倍。
おおこれは凄い! 狩りの効率が良くなるぞ、でもまだあるな、
・兎の深い悲しみを宿す。この槍を持つ者に兎が寄ってくる。
・兎の深い悲しみを宿す。この槍を持つ者に攻撃手段を問わず二倍のダメージを与える、他の効果と重複して有効。
うーんデメリットが酷い、魔法だと二倍+二倍で四倍のダメージを喰らうという事だろう。物理攻撃でもダメージ二倍、流石にこれは使い勝手が悪い。
「しかしお前さんも随分と酔狂だな。どう考えてもそれ、呪われている類の装備だろうに、それに高価な兎の涙大粒を付けるなんて」
ドワーフの鍛冶屋に呆れられてしまったようだ。やっぱり呪わてる装備だったのか、外してもらうかな。
「外せないよ。武器を壊すか宝石を壊すかどちらかだね。使っているうちに外れることも有るから、壊したくなければ使うしかないね」
勿体無いし、変わりの武器が見つかるまでこれで行くしかないかな? そういえば、ゾンビやスケルトンから拾った装備があったので、鍛冶屋に相談したら
「誰がそんな気持ち悪いものを使うんだ。中にはまともな物もあるかも知れないが触りたくもない」
そりゃそうだ。現実世界で幽霊が出てきて、そいつが置いていったスマホなんて呪われそうで使いたくもないな。捨てることにした。
武器屋に行き品揃えを確認したが、有るのは一般的な装備ばかりで欲しい武器がない。クライネファイヤーは可也使い勝手が良いので、魔法も邪魔されたくない。
また槍の種類もノーマルなものしかなく、十文字槍のような形の武器はなかった。まだまだ最初の方なんだし焦る必要もないだろう。
帰りは脱兎で。敵にも襲われないし歩く気が起きません。クローネシュタット近くは歩いて帰ったが、兎が逃げていった。あれ兎が襲って来るんじゃないのか?
昨日はエルドワにあってないから、三日間くらい会えてない事になるのかな? ちょっと様子を見に行ってみよう。
スラム街に着くと、コンタクトが子供達に勉強を教えていた。
「ゾンネ様が大地をお作りになったのは、どれくらい前ですか?」
コンタクトの問いに、子供達が手をあげて、ハイハイと言ってる。
「凄っく、凄く、すごーく、前です」
指されたエルドワが自信を持って答えている。流石にそれは大雑把過ぎるだろう。
「はい、正解です。でももう少し、凄くを追加した方がいいですね」
正解なのかよ! まあ、中世? の時代に地球? が何年前に出来たとか分かるはずが無いよな。放射性元素の半減期なんて調べようがないだろうし。コンタクトが年号のようなものをいって、子供たちがそれに答えている。
「ムカシの事よ」 「「「「大抵の事は」」」」
「ナント見事な」 「「リンスドルフとライヒツドルフの改名」」
「ナクヨ罪人」 「「「アイアンメイデン、厳罰化」」」
「イイクニ作ろう」「「ノイケーニヒシュロスへ遷都」」
しかし、一番最初のが気になるな。おっエルドワが私に気づいてこちらに来た。
「ん、ムカシのやつか? あれはツカミだよ。これから年号の問題を出しますよって意味。それにツカミで声を出すことで、発言しやすくなるってコンタクトが言ってた」
なるほどねえ、コンタクトは優秀だな。私も掛け算の基礎を教えてみた。なかなか人に教えるってのは難しいな。皆に分かりやすいように、兎の耳の数で説明してみたんだけど、足し算と掛け算がどう違うかが説明出来なかった。
「日本の話してー」「空飛ぶ船の話聞きたーい」「それ前聞いただろー」
今日は、食べ物の話を中心にした。冷たくて甘いアイスの話、チョコレートの話、ホットケーキと蜂蜜とホイップ?クリームの話をした。みんなヨダレを垂らしながら聞いてた、悪いことしたかな。
さて、集めていた生の薬草、毒消し、合わせ草を六百個ずつ、乾燥した薬草、毒消し草を百個、合わせ草を二百個貰い、五万六千マールを支払った。
調合をしてみたが、薬草五十六個、毒消し五十四個になった。大体一回五、六個だね。
なんかエルドワが、モジモジしながら、言ってきた。
「その、ありがとうな、高く買取してもらって……」
別に損をしているつもりは無いので、気にしなくていいのにな。
「なんだよ。友達だろう、気にするなって」
エルドワに返事をしたら、満面の笑みで私の尻をバンバンと叩く。人に叩かれて喜ぶ趣味はありません、けど、でも……。
用事も済んだのでスラム街を離れた。
日本時間十九時、ゲーム時間十八時、集合場所に行くと、ハンガクの装備が全身新しくなっていた。兎革を使っており、兎革装備を一定量まで増やすとセットボーナスが付くらしい。
「そんなのゲームの常識です」
だって。体毛とは異なる毛色なので良いが、全身同じ色にしたら、遠目から見たら全裸だぞそれ。
「どうですか?」
女性に服? 防具? を見せられてどうですか? って言われて、気を付けないと全裸だぞなんて言える訳がない。
「前の装備も良かったけど、こちらの装備の方が兎らしさも出ているし、素早くなるって事は色々な支援も期待出来るし、私としても助かるな」
「そっそうですか! 全身白で統一しようかなと思ったんですけど」
いやいやいやいやそれは駄目だ。そんなパッと見全裸の変態さんとは一緒にいれません。
「いや、確かに全身の色を揃えることで統一感は出せるが、メリハリがある今の配色の方が上級なおしゃれって感じで私は好きだな」
危なかった。ソッソウデスカーと言って喜んでいるので、これで全裸は回避できたはずだ。ふうー。
今日はPTで新しく出来た簡易ダンジョンに向かう。移動するのに“兎の餌”は邪魔なので外したままだ。移動しながら、以前ハンガクに渡した素材から出来た武器についての説明を受けた。
暗殺の矢……消音。刺さると毒、出血。飛距離アップ。
こわっ! コウモリの羽が消音効果、コウモリの糞が毒効果、コウモリの牙が出血効果、飛距離アップはヤマアラシの針効果らしい。他にも色んな素材を試している最中だって。
しかし色んな素材ってどうやって保管しているんだろう、ポシェットなんてMAX六十個なんだろうし。
「ええ!? 冒険者ギルドにマイスペースがあって、そこに預けられますよね?」
あっそうなんですか知りませんでした。同一の街ギルド内なら、引き出し自由なアイテム保存棚があって、開設費用が十万で百枠*百個保管出来て、もっと必要なら十万単位で保存棚を用意出来るのか。ちなみに取り出す際にのみ手数料が三十マールだって。
不便そうな感じなので、商会の保管棚が一杯になったら考えよう。
距離にして北東二kmくらいだろか、近づくと人だかり見える。大きなテントの前に行列が出来ている。その列に並んで順番を待つ。
大きいと言っても、テニスコートよりちょっと大きいくらい? テントは六個あり、六角形の辺ような感じでテントの前に人が並ぶ。
入口が三つあり、どれに入っても同じらしい。入るとPTだけのクローズした環境になり、中は外の大きさとは全然異なって広いらしい。なんじゃそれ、まあゲームだからね。
そんなに待たずに自分たちの番が廻ってきた。入ると、オーク達が囲炉裏の前でご飯を食べているところで、オークのみんながギョッ!って顔で驚いている。
そんな事にお構いなく、ハンガクが弓で矢を打ち、相手の顔面に矢が刺さった。私や前田も槍で突き刺す。相手が武器を取り壁側に走ろうとしたところを、謙信が背中から切りつけている。
どうみてもこっちが悪役ですね。剥ぎ取ったところで、オークのご飯が出たけどすっごい不味そうなので捨てた。
次の部屋に入ると、今度は敵がちゃんと構えている。
「アースワーク」「アースワーク っが!」
オークメイジ二体が魔法を唱えて、こちらとオークの間に高さ一.二mの土壁が出来た。部屋に入るなり、ハンガクは弓でメイジの喉に矢を放っていた。上手だなハンガク。
槍で牽制している間に、謙信が壁を乗り越える。次に前田、私の順で乗り越え、ハンガクが弓で支援を続ける。結局敵はこちらに近づけないまま、一方的に攻撃された倒された。
部屋の隅に箱があり、それを開けると千マールが入っていた。ゲームだからね、うん。
その後も部屋に入るとオークが待ち構えており戦闘になる、どうやらこの繰り返しのようだな。
新しい部屋に入るなり、一斉に手斧が投げられてきた。避けようが無く当たってしまった痛てて。今度のPTは全員遠距離タイプのようだ。意地が悪いわ。
二本投げたところで接近戦に切り替えてきた。最初に一方的攻撃とかずるくなーい。腹が立ったので、一番手前のに
「クライネファイヤー」
イヤイヤし始めたので、前田が槍で喉をついた、エグイわー。謙信は近づかれる前に
「スラッシュ」
剣の斬撃が飛び、相手に出血ダメージを与えている。
「パワーショット」
強烈な矢の一撃が敵の腹に刺さり、ズズズーと後ろに敵が下がっていく。どうやら、最初の手斧に皆腹が立っていたようです。スキルをいつも以上に使って敵を倒した。
一時間位戦ったところでテントの外に出た。なかなか面白かったな。しかしRPGの敵ってこんなに進化しているんだな。四十年前のRPGなんて状態異常の攻撃するくらいだったけど、こんなに意地が悪いなんて、性根が腐ってるんじゃないのか!
でも誰も死なず倒せているのだから、なかなかのバランスなのかも知れない。
テントの先にもテントがあって待ち行列が出来ている。同じような感じでテントが六個見える。なるほど、一度戦った後にもまた直ぐにダンジョンに入れるように、出口の先にもダンジョンを設置しているのか。
やるじゃないか、辞めたい場合は入らなければ良いし、フィールドの敵の数は増えないから、プレイヤーが少ない時間でも問題がでないね。ちょっとだけ運営を見直しました。
再び列に並ぶ、数分待っていると順番が廻ってきたので中に入ると、オーク達が囲炉裏の前でご飯を食べているところで、オークのみんながギョッ!って顔で驚いている。
またかよ! 可哀想だろ! とりあえず全滅させて、剥ぎ取ると食事が二種類出来てきた。じゃんけんをして、緑色のスープを私が、虫の串焼きをハンガクが食べることになった。
「グフッ、すっごく不味い、おええー」
食事を吹き出す設定はゲームに無いようで吹き出せなかったが、リアルで飲んだらブブブブーッって吹き出していると思われるような味だった。その辺の雑草をすり潰した感じ、青臭い匂いがして、しかも生ぬるい、信じられない程まずい。
それを見て前田や謙信が笑っている。ハンガクは目の前の串を眺めて、やっと気持ちの整理がついたようだ、がぶり。
「あっ美味しい。エビの素揚げみたいな感じですね」
嘘だろ、絶対まずいだろうと思い、食べかけの串を貰ったら本当に美味しかった。イソガニの素揚げに塩を振ったような感じだった。
悪ふざけをしながらオークの住処を荒らしていく。寝いているオークを倒した後に寝床に寝転び、何故か取れない武器が飾ってあるのを取ろうとしたり、これ楽しいんだけど教育上良くないんじゃないだろうか?
良い子は間違ってもオークの住処を荒らしちゃだめだぞ。あっゴブリンとかも駄目だぞ。
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