第4話冒険者ギルド加入
門から百mくらい離れたところにある冒険者ギルドの出張所にやってきた。
見た感じ三階建てで、学校の体育館くらいの大きさはありそうだ。戸はあいており、多くの人で溢れかえっているのが見える。サービス開始日だから当たり前かな。
中に入ると正面に受付が五十位あり、それぞれに多くの人が並んでいた。室内を見回すと、入って左側には掲示板らしきところに、何枚もの紙が貼ってあるのが見える。
その掲示板の前にも多くの人が集まっている。入って右側は売店のようだ。そちらも多くの人が集まっている。どうしようかと思っていたら、NPCの女性が話しかけてきた。
「冒険者ギルド出張所にようこそ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
始めてきたので良くわかっていないこと、兎の買取をして欲しいことを伝えたら、
「まだ冒険者登録をされていない方でしたら、こちらの列にお並びください。そこで冒険者の登録が可能です。
登録がお済みになりましたら、あちらの列にお並びください。そこで買取をおこなっております」
冒険者ギルドに登録するとクエストという依頼を受けれて、それを達成すると何らかの報酬、大抵はお金がもらえるらしい。
また冒険者カードは身分証明書としても利用出来て、買い物にする際にお店によっては割引特典があるとのこと。
ゲーム的には登録しないと恩恵が受けれなそうなので、ギルド登録することにした。
私の前には四列、約二十人、約八十人くらいの人、エルフ、ドワーフ、獣人らしき人が並んでいる。
随分と待たされそうだなーと思っていたら、どんどん列が進み、十分程度で最前列まで来た。
「そこの白髪の方どうぞ。こちらに」
窓口の受付おばさんが手招きしていた。登録料は五千マールで、名前を伝えただけで直ぐに冒険者カードが発行された。記述されているランクはFだ。
冒険者にはランクがあって、FからA、S、SS、らしい。とりあえず初心者はランクなんて気にしないで、クエストをこなしていれば自然とランクはあがるから無理せずやったらいいとのアドバイスをいただいた。
文字が読めるか聞かれたので、読めると伝えたら冒険者に向けの注意事項を書いた紙を渡された。あとはその注意事項を読んでおいてくださいと言われて直ぐに受付が終了した。
多くの人が待っているので、一人に時間を掛けられないようです。
空気を察して買取の列に並ぶことにする。並んでいる間に注意事項を読んだ。
・害獣やモンスターを倒すと自動で記録される。
・人を殺してもこのカードに記録されるので、ギルド報告の際に事情聴取される。
・本人以外が使おうと思っても、利用者が異なることがわかってしまう。
・ほかの街や村でも冒険者ギルドがあれば、このカードがそのまま利用出来る。
・無くしたら再発行できるが再発行手数料が掛かるらしい。
その場合、最後の冒険者ギルドで更新した情報で再発行されるので、途中で倒した害獣やモンスター情報は無かったことになる。
・ランクがAランク以上になると特典が付くらしい。が詳細は書いていない。
・称号がある場合、ギルドカードに登録することが可能で、場合によっては称号で呼ばれる事もある。
まあ、まだピンとこない。買取の順番が来たので、受付のおじさんに兎の死体を渡した。
「ジャイアントラビットだね。……この状態なら百マールだね」
ウインドウが開き、
「百マールでいいですか? はい いいえ」
と表示されている。
価値なんて分からないし、ゲーム内でNPCにボッタくられる事なんて無いだろうから、“はい”を選択して、百マールを入手した。手元には五千百マールがある。
しかし貨幣価値が分からないから、どうやって生活すべきか想像出来ない。併設されてる売店で価格を見ることにする。薬草、毒消しは一つ百マールで売っていた。
HPを多く回復するポーションは五百マールだ。テントが五万マール。併設の宿屋の宿泊料が五千マール。他にもいくつもの品が並んでいたが結構高い。
なにこれ? 薬草一個使って兎を一匹倒して兎を納品すると、プラマイゼロということ?
これじゃお金を稼ぐなんて無理じゃない? LV十まではデメリット無しと書いてあったし、アイテムを使わずに死ぬまで狩り続ければとりあえず出費なしかな。
基本方針は回復しない。狩れるだけ狩る。そうしよう。
掲示板の前に移動して依頼内容を確認する。ジャイアントラビット退治、十羽倒すと五百マール。野犬退治、十匹倒すと千マール。ゴブリン退治、十体倒すと千マール。
金額が安いクエストはこんなところか。多分高額なクエストは敵が強くて今受けても倒せないだろう。同時に五個までクエストは受けれるようだからこの三個は受けておこう。
緊急クエストが出ている。どうやら期限付きのクエストらしい。
三日間で薬草を十個回収で二百マール。同じく毒消し草を十個回収で二百マール。
うーん薬草自分で摘んだらそのまま自分で利用したほうがお得な気がするが……、どうすれば薬草として使えるか分からないし、とりあえず受けることにした。
掲示板前のお姉さんNPCが薬草と毒消し草の絵が書かれている用紙をくれた。
すぐ外の草原や、水場の近く、森の入口など、どこにでも生えているらしい。今まで気にしてないなかったが、その辺の草が薬草の可能性だってあるんだろう。
これは受けてよかった。そしてクエストを登録する前に無駄に戦わずによかった。薬草を無駄使いする前に死んでよかった。風向きは私に向いているな。うん。
狩りの前に近くの武器屋で陳列を確認することにした。この杖だと戦い難いんだよねえ。初心者向け装備のコーナーがあったが、大体五万マールからの価格だった。
基本中古らしい。銅の剣とか強そうなんだけど、十万マールとかちょっと無理っぽい。
一番安い武器が木剣で一万マールした。見た感じ戦いやすそうな気がするがお金が足らない。
革の鎧、革の帽子、革の小手、などの防具も売っているがどれも数万マールする。
この辺で兎を狩っているだけではちょっと難しそうだな。簡単に強くなったら直ぐに飽きちゃうだろうから、難易度的にはこれくらいがいいのかもしれないな。
魔法も覚えたら武器とか要らなくなるかもしれないし、お金を貯めること、レベルを上げることを優先しよう。
そうして、兎を狩るために門の外に向かう。
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