第2話キャラクター作成
ゲームが開始されて、白というより少し薄灰色の部屋に自分がいる。でも自分はワイヤーフレームで構成されており、まだ顔や体格等は不明な状態だ。
目の前にウインドウが表示される。
「まずゾンネあり。ゾンネが大地を創造し……」
ゲーム史とかどうでも良いし覚えられないんですけど、スキップ出来ないのかな? と思っていると目の前に更にウインドウが表示される。
「スキップしますか? はい いいえ」
スキップ、スキップと、マウスのカーソルなような物を“はい”に合わせる。
ウインドウが消えて別のウインドウが表示される。
「火の時代。タップファーヴルカーンにより……」
え!? まだゲーム史が続くの、スキップだよスキップ。ゲームがしたいんですけど。
「鉄の時代……」
スキップ、スキップ、テキスト量が多いゲームだな。邪魔だなーもっと減らないもんかな。と思っていると目の前に更に別のウインドウが表示される。
「テキストの表示、ログの表示量を調整しますか? はい いいえ」
5段階で標準で4か、これ5にする人いるのかな? 私はしませんけど、1を選択。確認用のウインドウが更に表示される。
「メッセージを減らすと必要最低限のメッセージしか表示されません。ゲームの楽しさが減少する可能性があります。それでもよろしいですか? はい いいえ」
訴訟対策だろうか? ゲームなんてやればわかるんだから、余計なメッセージなんてない方がいい。“はい”を選択。
ウインドウが消えて、またウインドウが開く。どうやらキャラクターメーキングが始まったようだ。
「Battle and Business Onlineの世界にようこそ。
名前、性別、種族、戦闘職業、商売職業、アバターの外観を選択してください。
順序はどれが最初でも構いませんがアバターの外観は性別、種族によって変化します。
各種ステータスは種族と職業を選択するとそれにあった値がランダムで適用されます。
それでは選択を始めてください」
さて何があるのかなー。種族は人間、ドワーフ、エルフ、獣人猫、獣人犬、獣人猿、獣人鳥、獣半魚人、獣人爬虫類、獣人牛、獣人羊、獣……。
なんで獣人推しなの? 半魚人の前に獣ってつける意味があるんだろうか。
気を取り直して戦闘職業を確認する。戦士、魔法使い、二種類しかないのか。
戦士は魔法が使えない代わりに体力が多く魔力が少ない、強力な必殺技が使える。魔法使いは体力が少なく魔力が多い、当然魔法が使える。
悩むなー。魔法も剣も両方出来るんだと思ってたからなあ、これも後回し。
続いて商売職業を確認する。猟師、きこり、農夫、漁師、縫製、料理人、薬師、鍛冶屋、少ないなー。
家電が作れるなら一番良かったんだけど当然そんなのないしな。なにか作る職業にしよう。鍛冶屋は多そうだし、自分でポーションとか作れたら便利そうだし薬師にしようかな。
ポーションが余ったらNPCに売れそうな気もするし、薬師を選択。薬師で戦士というのも何か違和感があるし、魔法を使ってみたいから魔法使いを選択。
魔法といえばエルフか人間な感じかな。とりあえずエルフを選択。性別は当然男だな。男を選択。
すると正面にキャラクターが表示される。金髪、耳長、見るからにエルフの姿っぽい中学生くらいの格好だ。
こんな見た目が若いキャラだと感情移入が出来ない。もっと年寄りっぽい姿がないのかな? と考えているとウインドウが表示された。
「青年のアバターに変更しますか? はい いいえ」
“はい”を選択。大学生位の外見になった。これでも全然若すぎるな。エルフは長寿だから青年でも若いのかな。もっと老けた容姿がいいんだけどな。
「カスタムによる容姿変更でこれ以上の年齢の外見はございません。
実年齢をもとにした外見を当てはめますか? はい いいえ」
“はい”を選択。それでも新入社員か三十未満の外見となった。
これじゃあちょっとやりづらいわ。人間に種族を変更したどうなるんだろう。
種族を人間に変更。外見が五十歳くらいの執事っぽい外見のおじさんになった。
これなら感情移入できそうだな。頭髪の白毛混ざりから、真っ白に変更。
あとは名前か、どうしようかな。本名は無いな。鈴、bell、ベルは女性の名前だからなしだな。木、tree、はじめ、one、ace、single、aceが良いな。優秀っぽい感じがするし。
aceと入力して横の確認にカーソルを合わせる。
「既に利用されています。ほかの名前を選択してください」
同じ名前はだめなのか、別に同じ名前の人が居てもいい気もするんだけど。
なにか付けるかFUJI。うーん商品名で何かありそうなきがするな。FUJIはダメだな。なんか面倒になってきたな。平仮名でもいいんじゃないかな。えーすと入力して確認にカーソルを合わせる。
「この内容で登録致しますか?キャラの再作成は混雑緩和のためにゲーム開始から一週間は出来ません。
一週間後からは一日の猶予期間で削除が可能になる予定です。 はい いいえ」
これでゲームが始められるならこれでいいや。最悪違うキャラ作成してもいいしな。“はい”を選択。ワイヤーフレームだった自分の姿が、先ほど選択したおじさんのアバターになった。
「正式サービスは本日正午となっております。チュートリアルを開始しますか? はい いいえ」
今の時間は十時半、今朝食材を使ってしまったし、買い物にもいきたいな。一旦ログアウトして買い物に行くことにした。
思わず色々と買い込んでしまった。恐るべし号外特売品。隣町のスーパーがどうのって会話が聞こえてきて、ついつい釣られてしまった。
ちょっとゲームの開始が遅れてしまったな。既に十二時三十分、マウントギアを装着しゲームを起動。ゲームが……始まりません。代わりにウインドウが表示される。
「ただいま大変込み合っております。サーバの負荷が高いため、しばらくお時間をあけてから再度お試しください」
そうか、じゃねーよ。折角準備万端整えたのに出来ないとか、結婚式場行ったら臨時休業ですってくらい許せないわ。
買い物に行かず接続しっぱなしにしておけばよかったかな。とりあえず昼ご飯を食べて、再度接続を試みる。
「Battle and Business Onlineの世界にようこそ。チュートリアルを開始しますか? はい いいえ」
どうせやり方なんて直ぐに覚えるだろうし、早くゲームしたいので“いいえ”を選択。更にウインドウが表示される。
「チュートリアルを行わないとゲームの操作に支障をきたす可能性があります。本当にチュートリアルを行いませんか? はい いいえ」
なんとかなるだろう。“いいえ”を選択。ウインドウが消えて、また確認ウインドウが開く。
「チュートリアルを行うと初心者セットの消耗品がプレゼントされます。チュートリアルを開始しませんか? はい いいえ」
しつこいな。良いものは説明なんて無くたって利用出来るはず。製品としてイマイチなんだな。ここは更に“いいえ”を選択。
「チュートリアルは、冒険者ギルドで受けることが可能です。受けたくなった場合は、冒険者ギルドに申し込んでください」
受け直し可能だったら何度も聞いてくるなよ! このゲームダメかもしれん……。
更にウインドウが表示される。
「AIサポートを有効にし……」
しつこいな。“いいえ”だ、“いいえ”! ウインドウに続きのコメントが表示される。
「AIサポートをオフにしました。それではゲームの開始です」
あれ? なんだろうAIサポートって……。
景色が変わりはじめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます