静かな復讐【06】
翌朝、目白通り沿いの運動公園で男性の刺殺体が見つかったという通報を受けた。大塚署の刑組課の刑事たちはすぐに臨場した。捜査本部の追っている事件との関連も考慮され、予備班の祐一と朱音、そして樋口の三人もすぐさま現場へと臨場した。
現場は野球場とテニスコートの間の通路で、遺体は袈裟切りに切られていた。また、心臓部に刺し傷のようなものも見られた。
「刺殺ですね」
「えぇ、牧村主任。これは魔法によるものかどうかというのはわかりますか?」
「見ただけでは何ともいえませんね。鑑識に魔力残渣検査をお願いしましょう」
祐一はそういうと、臨場していた米村に魔力残渣検査の依頼を出す。
「同一犯でしょうか?」
「さぁな。これも鑑定を待たないとなんともいえないが・・・」
朱音の不安げな言葉に祐一は思考を巡らせながら答えると樋口に意見を求める。
「樋口係長どう思われます?」
「そうですね。袈裟切りに一太刀浴びせた後確実に心臓を狙いにいってます。愉快犯の可能性は低いと思います。おそらく、怨恨でしょう。うちの帳場と同一犯かと言われたら何とも言えないですけどね」
樋口の答えに祐一と朱音はうなずく。
「まずは周囲の聞き込みを始めましょう。私は聞き込みに回りますので、牧村さんたちは現場検証の方をお願いします」
「わかりました」
そう言って樋口と分かれると、牧村は鑑識作業の方へ目を向けた。
「米村さん、どんな感じです?」
「簡易検査ですが、魔力が検知されました。後は科警研の鑑定結果待ちですな」
「そうですか。同一犯の可能性はどう思います?」
「殺害方法の共通点が魔法というだけでは何とも言いがたいですな」
「まぁ、ですよね」
祐一はそう言って、「ありがとうございました」と礼を言って米村のそばを離れる。
「どうします?」
「まぁ、鑑識作業が終わるまで立ち会うか。何かあったら捜査本部に連絡しなきゃ行けないしな」
朱音の問いに祐一が答えると、二人は鑑識作業の邪魔にならないように現場から少し距離を取った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます