第9話

幼い私は、お父さん子だった。

白い犬と一緒に、よく公園に連れて行ってもらった。

忘れる努力をしていたからなのか、幼すぎたのか、よく覚えてないが、幼い私のあとを、いつも守るように付いてきてくれたそうだ。

滑り台にも、後ろから付いて登って、後ろから付いて滑っていたそうだ。

ある日の夜、幼い私は、父親と近くの自販機まで、自転車の後ろに乗せられて、ジュースを買いに行ったそうだ。

今の時代では考えられないが、犬を離したまま、連れて行ったそうだ。

一番近くの自販機に、欲しいものが売り切れていたのか、もう少し先の自販機に行ったそうだ。

犬が付いて来ない。

探すと、車にひかれていたそうだ。

私は、思い出すと辛いから、記憶の彼方に封印していたようだ。

心の整理をつけたい。

思い出して、白い犬に謝りたい。

私は、また、思い出す努力をしていた。


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