第一幕


100年前、とある南の都市に大穴が開いた。


大穴の真ん中に奇跡的に残った地下からあった塔。南方都市の生き残りは周りを


谷に囲まれた塔で暮らすことを決め、独特の文明をさらに築き上げていった。




 「あぁ、全然うまくいかない……」

一発、二発眉間には全然当たらない。ずっとぶれずに右目ばかりにあたる。

「なんか右目にうらみでもあるの?」

隣で同じく訓練をする槙がにやにやしながら聞いてくる。

いつも通り、しわ一つない綺麗なスーツを着こなす。

薄暗く汚い訓練場に似合わないはずなのに槙だからこそ不思議になじむ。

なんかその余裕むかつくし。

「眉間に当てようとすると右目に当たる」

「じゃあ眉間にうらみでもあるの?」

「別にない」

平静をうまく装ったつもりだった。

長い付き合いだからか、それとも彼が鋭いからかにやりと笑う。

「僕をあざむけられると思っているの?まあ、当たらないのも無理はないと思うけど?だって……」

言葉をきると私の持っている拳銃を指さす。

「僕らが扱うタイプよりもずっと口径が広く、威力もあげたオリジナルタイプでしょう?さらに二丁あつかうから難易度は上がる。」

ああ、そういえば研究班長がそんなこと言っていたな。

槙はさらにアドバイスをくれ、言われた通りの姿勢をとる。

試しに撃ってみなと言われた。

スコアはさっきよりも変わらない。槙は真剣な表情でなにかを考えているみたいだ。

「とりあえず無駄な動きが多い。スピードを気にしないで一体一体正確に。……でも全部右目に当たっているからわざとじゃないのがむしろ不気味。」

本当にわざとじゃない本当に眉間を狙っているだけだから。

じっとアドバイスを聞く。

その日のうちに同じレベルでフルスコアをたたき出したのは言うまでもなかった。

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