第一章  

シナリオ・ノート

 暗闇に浮かび上がる木製の机と椅子。

白く塗られた机の上には薄いノートと硝子でできたペン。

白銀の髪の少年は独り、闇の中で立っていた。


『あなたは“シナリオ”に選ばれました。一人前の“シナリオ”になるためにここへ呼ばれました。』


ノートへ黒いインクで綴られた文字。

正直夢だとしか思えない。夢だと思いたかった。


『黒蝶ノアを救いたいと思いますか?』


「……!」

卑怯な手法だと白髪の少年は思った。しかし、彼は親友をなくすのはもっと嫌だった。

(ノアを……救う?)

白髪の少年は記憶を探った。

そう、いつもの森まで彼女は来て、それから……

「……ぁ……」

彼女は消えたんだ。

「……また、彼女に会いたい。彼女が、救えるのならば」

そう言って白髪の少年は硝子がらすの透き通ったペンを手に取った。

「オレは“なる”よ」

シナリオに―――


○演者


黒蝶ノア➝夕霧

ヨシナリ➝槙

ゲンパチ➝嶺井

ヒノスケ➝瀬田



「――さあ、幕開けだ」


隣に彼の師匠せんせいがいることにも、

遠くから歌声が聞こえたことにも、未熟なシナリオは気が付かない。

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