第10話 君を知ったから

俺は諸星さんと会話を終えた後、そのまま部室に戻っていった。


「千秋〜ちょっといいか?」

「し、新城くんか〜ど、どうしたの?」

「まあ、ちょっと軽く喋らないか?」

「い、いいよいいよ」


俺と千秋は部室から一旦出た。


「どうしたのかな?は、話って何かな?」

「千秋、もう、いつも通りで大丈夫だ。だからもう、いいんだ。

ありがとう。いろいろ付き合ってもらってさ」

「し、新城くん?」

「千秋は佐野のふりをしてるだけだろ。

お前、人の演技が苦手だろうし大変だったろ」

「はぁぁ…ようやく、もういいんですよね…」

「ごめんな、大変だったろ」

「そう言われればそうですね…。でも私楽しかったですよ。

それと入れ替わりは実は佐野さんが提案したんですよ」

「そっか、佐野がか。なんか理由があるのか?」

「実は西沢さんが私達に相談したのですよ。もし西沢さんと新城くんが

幼馴染じゃ無かったら側にいてくれなかったのかな?って」

「そう、、、だったのか」

「だから私達は入れ替わりの嘘を考えたんです。

途中で諸星さんにバレましたが、なら台本があったほうがやりやすいだろう

って言ってくれたのですよ」

「ははは、みんなお人好しだなぁ…」

「それはお互い様ですよ」


俺たちはようやく本心でお互いに笑い合えたんだ。


今回の出来事でお互いが何を思ってるのかすらわからなくて

どう接すればいいのかはお互いに分からなかった。

でも俺たちはこれでお互いの1つを理解し合えたのだと感じた。


そう君を知ったから。













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