第6話 何かが違う日常

その日の部活の終わった後はいつも通り西沢と帰ることにした。


「ごめんなさい、私と一緒でいいんですか?」

「ああ、正直俺もさ今は誰が誰なのかが分からないんだ」

「そうですよね。私も不安なんです」


いつもの帰り道でいつものように西沢と帰っている。

目の前の西沢が本当は何者なのかが分からない。

そしてその西沢もこの状況で何を話せばいいか分からなかった

いつも通り話せばいいのか。どうすればいいのか。


「悪い、今は時間をくれないか?俺、ちゃんと考えてみたいから」

「ありがとうございます」


どこかいつもより堅苦しい雰囲気の西沢だ。

だがその西沢は入れ替わっていてしかも誰かの演技をしている。

そしてその状況の人物が3人もいる。

なんというかとんでもない状況だ。


「はぁぁ、、、」

「本当にごめんなさい。こんなことに巻き込んじゃって」

「いいんだよ。今は残念だが俺は何もない。無力なんだ。

でもなこの問題は俺が解決するから心配しなくていいさ」

「無力なんかじゃ…ないよ」

「そうかな。まあ、今は考えるしかないよな…」


そう言って俺たちはそのあと別れたんだ。

おれはこの問題を解決できるのだろうか…。

本当の西沢はどこへ行ってしまったのか。


その夜はなかなか寝られなかった。

何をすれば解決できるかが分からない。

だから明日はまずはいつも通りの日常を送ってみようと思った。


その次の日の朝の目覚めはいつもより悪かったが、今日もいつも通り

西沢の家に向かった。


「おーい、西沢ー。もう起きてるかー?」

「あ、ごめんなさい。もう少し待ってください。今出ますから」

それから15分後ぐらいして西沢は家から出てきた。

「ごめんなさい。支度に手間かけちゃって」

「いや、いつものことだろ」

「そ、そうですよね…」


今日もどこか堅苦しい西沢といつものように学校まで

一緒に歩くことにした。


「今日はし、新城くんは放課後部活に寄って行きますか?」

「そうだな…今は行きたくなったらお邪魔するぐらいにしとくよ。

そういえば気になってたんだが、千秋が部室にいたけど

あいつも部員になったのか?」

「そ、そうなんですよ…ち、千秋ちゃんも部活に来たんですよ…あはは」

「そ、そうなのかーそりゃまた楽しくなりそうだな…」

「そ、そうだよね…」


次々と変わる口調。正直今の西沢が何を考えてるかは意味不明だった。

こいつは何がしたいんだ?と言いたくなる気分だった。


そしていつも通りに学校が始まった。

学校の休み時間は千秋と話す時が多い。

当然いつも通り千秋と話してみることにした。


「おーい千秋ちょっといいか?」

「し、新城くんじゃなーい。何?いつも…えっと千秋さんと話してるの?」

「ま、まあな。そういえば千秋は部活に入ったんだよな?」

「そ、そうなんだよねぇ…千秋ちゃんも部活入ったんだよ」

「そりゃ…よかったな」


いつも通り千秋と接してみたが正直目の前の千秋が何者なのかが

分からなかった。なんというかどうしてここまで動揺してるのかな?って。


そして学校の授業が終わり、部室にでも顔を出そうかと思ったとき

教室のドアが開き中から佐野が寄ってきた。


「ねぇねぇ、かつやくん!そろそろ部活の時間だよ〜一緒に行こ行こー!」

「お、おいお前、ここ教室だぞ」


周りの目線がこっちへ向けられる。なんというかとても気まずくて

恥ずかしい状況だった。


「おー、佐野じゃねぇか?今日はやけに元気だな?

なんかいいことでもあったのか?」

「げ、牧野くん。そうなんだよ〜ちょっと最近占いの運勢がよくて

勢いで西沢みたいなテンションできたんだよ〜」

「ほうほう、それはよかったな。まあ、はしゃぎ過ぎると

周りから変な目で見られるから気をつけろよ」


ナイスタイミングだ牧野。牧野が会話に入ったことでクラスの皆の

目線がこちらからそれた。


「それでそれで、かつやくん。今日も部室へ来るの〜?」

「いや…余計にわけわかんなくなりそうだし、今日はいいや。

おれはいつも通りてきとうに時間を潰すからな」

「はいはーい」


そう言って佐野は部室の方へ向かっていった。

佐野に関しては存在そのものが意味不明な気がした…。

あいつ、あんなにテンション高かったかな…。


こうして俺の今日の放課後の時間は過ぎていった。

いつも通りの日常だがいつもとは何かが違う…。

俺は分からなかった。

だからこそ何とかしようと強く思ったんだ。













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