第3話 新しい部員

「あの〜すみません、どなたかいいですか?」


そう言って部室のドアを開けたのは新城かつやと同じクラスメイトの

千秋若菜だった。


「あら、千秋ちゃんどうしたの?部室になんか用でもあるのかな?」

そう答えたのは西沢伊波と同じ部活の部員の佐野歩だった。

「実は私、この部活に入りたいんですけどいいでしょうか?」

「お、君は確か西沢と新城くんと同じクラスの千秋ちゃんだったな。

全然いいよ〜オッケオッケ。じゃ早速一緒に頑張ってこうか」

「ちょっと諸星先輩ー部長の決定無しに決めちゃっていいんですか?」

少し呆れた顔で佐野歩は言った。

「まあ、千秋ちゃんならあいつもいいって言うだろう。

後から俺が言っとくからさ。今は体験入部みたいなノリでいいよいいよ」

「ありがとうございます。諸星さん」

「とりあえずよろしくね千秋ちゃん」


体験入部として部活に参加した千秋若菜は初めての部活の雰囲気に

緊張していたが、フレンドリーな部員や同じクラスの西沢伊波のおかげで

すぐこの場に馴染むことができた。


「雰囲気がいい部活ですね」

「ああ、そりゃ部長もいい人だけど、副部長がドレスを着て男に告白するような

人だからね。みんな居心地いいんだよ」


今さっき話してた諸星が千秋にはとてもそんなことをする変態には

とても思えなかった。


「あの、それ冗談ですよね…」

「全然冗談じゃないよね。歩ちゃん〜私も直にその現場を見てたからね〜」

「そ、そうなんですか…お、面白い人なんですね…」


佐野と西沢と千秋は一緒にその日は部活動でともに過ごした。

最初はこの部に入ったばかりの千秋は少し緊張気味だったが

部員も時折千秋に声をかけたりして、次第に彼女もこの場に

打ち解けていくようだった。


「そういやさ、西沢は新城くんと今どんな感じなんだ?」

「え!?どんな感じってどんな感じ?」

「あ、つまり西沢さん。西沢さんと新城くんが今どんな関係かと

聞いてるのだと思いますよ」

「うーん、そうだねぇ…お互いを意識してる関係かな…?」

「おやおや、ついに恋人同士になったというわけか〜おめでとさん!」

「あ、ありがとう歩ちゃん…」

「でもやっぱりお互いの気持ちって確かめ合いたいものですよね。

私もいざという時はお助けしますから」

「ありがとう千秋さーん。千秋さんやっぱりいい子だよぉありがとー」

「いえいえ…」

西沢はそのまま千秋に抱きつき千秋と軽くじゃれていた。


「まあ、私も千秋ちゃんと同じだよ。それに考えはなくはないからね」

「歩ちゃんもありがと〜」


こうして1日が終わる。平和で特に大きなことがなくても幸せな日常が。


そして始まる。新城かつやの日常を変える大きな出来事が。







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