ネットで始まる擬似恋愛

@high-jin

第1話 年齢詐称、ダメ、絶対。

はじめに。

このエッセイは、基本的には実体験をもとにした「ネット恋愛」を綴るものです。「基本的」にはふたつの意味を含めています。ひとつは、色々とバレたり特定されたりがない程度に適度にボカしたり、もしかしたら少し事実と異なる事を織り交ぜます。ふたつめは、伝聞や又聞きのような、「実体験風」ではない、まさに自分の経験したものだけを素材にします。

短編集にしていく予定ですが、たまに数話に跨る場合もありますので、そこらへんは適度にご了承ください。


この文章を書いている人間の性別は男です。なので、ほぼ全て、相手は女性です。ネトゲやチャットなど様々な場所で、私は沢山の知り合いを作りました。

今ほどはネット界隈が大賑わいではない、「炎上」なんて言葉もなかった頃には、気軽に自身の個人情報を明かし、オフにも普通に顔を出していました。そんな頃から今に至るまで、あまりにありふれた事象のひとつは「嘘の年齢を言う」です。


ちなみに自分は何も考えずに実年齢を伝えていました。ネット越しに場所の制約なく知り合いが増えることは、その頃の自分にとってはリアルと地続きな出来事でした。恋愛とかヤリモクではなく、新しい知人や友人が増える、思えば随分とピュアでした。

で、誰とでも仲良くなる。オフで会う事を考え始めると相手の事を知りたいと考える。自分のことも話したくなる。もちろん、自分の情報を先出しです。「俺、24だけど、○○はいくつ?」みたいな感じです。

返ってくる回答は、「秘密」か年下かでした。秘密なら構いません。言いたくない事を無理強いしたくない。けど、年下と申し出て来た人の中で、本物の年下はおひとりだけでした。

オフで会う話になると、嘘に耐えられずに明かされることがほとんど。オフ会でも白状しないつもり満々の人も。まあ、話したり姿を見れば嘘が判明するのも時間の問題です。

からの、大抵の決まり文句。明かされたり気がついて発覚した後は、まるでそう言わなくてはいけないかのように、みんな言います。

「よく年齢より下に見られる」

「(実年齢は30半ばだけど)大学生?ってよく聞かれる」

いや。それは否定しませんけど、代わりに主張させてもらいます。そういうこと言うやつほど、見た目は普通に年齢通り。しかし中身は確かに若いんです。もう少しはっきり言うなら、幼いんです。会話の中身が軽いとかね、年齢相応ではない。なんなら学生の方がよほどちゃんとしてる。ゆとりなめんな。


私は特に歳上嫌いとかではありません。むしろ好きな方です。もちろん上限はありますが。

でも、歳をごまかすやつは嫌いです。それだけで萎える。乙女心とか知るか。若く見られるとか知ったことか。


自分の経験上、最も見事に騙されたのは割と最近です。自分よりふたつ下だと申請されて、実際はやっつ上でした。とても声が綺麗で、会ってみたら容姿もこれまた綺麗な人でした。でも、綺麗だけど自分より年下はない、と即座にわかりました。

会うまでわからなかった理由は、ずばり、余りの幼さです。例によって「よく大学生?って聞かれるのー」とか言ってましたけど、間違いなく容姿の若さではなく、中身の問題です。年下の自分が言うのもなんだけど、本気でスカスカ。その年齢の人なら仕事なり家庭なり、本人の環境の範囲で何かしら積んできた経験があるはずなのに、本気で感じられない。

聞けば新卒で仕事を少しした後はほぼ職歴なし。プロポーズされたのでなんとなく結婚して数ヶ月て離婚。その後は実家で引きこもり。自慢できる話はネトゲの世界ランク。(そして、それすらも実は作り話と後から判明。)少し働いた職場の思い出話は1時間くらいでループしはじめる程度の量。

カフェで話してるうちに、なんかいたたまれなくなってきました。傍目には歳上美人とお茶してる羨ましがられる光景かもしれません。そのフレンドリーさは、このままラブホに誘ったらオッケーもらえそうな雰囲気すらある。

けど、無理。フレンドリーさがかえって恐怖マシマシです。自分を名前呼びして、ドヤ顔で甘えた声で「歳上は嫌い?気にする?」とか聞いてくる、地雷臭の強い美人。いつどうやってスマートに静かに穏やかに切り上げて帰るか顔に出さず考えるだけでイッパイイッパイです。ほんと、すぐわかる上にメリットも何もない嘘つくのやめて。マジで。本気で。


ちなみにこの美人はそのうち続きを書きたいと思います。予想の斜め上を行く地雷を踏みぬきました。生きてる俺GJ。


こんな感じでだらだらと書きつつ、そのうち方向性を見出そうと思います。


次回は鈍器お嬢様の話です。

出だしはこうしましょう。

「そこのあなた。女難の相が出てますよ!」


またお会いできるのを楽しみにしています。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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