しかし、現実は皮肉である。それは、ソウの言葉が皮肉屋であるように、シキに重く伸し掛ってくるのであった。

 ソウは、やはり洗濯能力を落としていた。

 これまで落とせていた汚れも落とせていなかった。

 洗剤という魔法の液体の効果も期待できなかった。

 それは、シキが水を大量に含んだ衣類を噛み締めるのと同時に溢れ出る汚水を知れば、尚更である。


「お前……大丈夫なのか?」

「……」

「まただんまりかよ」

「……大丈夫」

「そ、そうなのか、なら――」


 シキの言葉を遮るように、ソウは語り始めた。


「私の代わりは、また来るから」

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