三ノ話「罪悪感を押し殺して」
青龍城についたゼロと雪乃。見上げるほどの大きな扉が開かれた。
「お帰りなさいませ。ゼロ様。」
「ただいま。ルーシー」
ドアを開けるとルーシーと呼ぶ紫色の髪をした一人の執事がお辞儀する。
「こちらの方は?」
「お客さんだよ。」
「始めまして。私は青龍ゼロ専属の執事。ルーシー・アヴェンと申します。」
ルーシーは姫様を迎えるかのような態度で自己紹介をした。
「ルーシー。雪乃を客室に案内してね。」
「畏まりました。雪乃様こちらです。」
ルーシーはそう言って客室の方向を指し、軽くお辞儀をした。
私はなぜここにいるのだろう。異世界といっても見覚えがない。それになんかあの青髪の子は女の子だと思ったら男の子だったし、こんな城に住んでるし....すごいとしか言えない。
体が埋もれそうな毛布、快適な温度にホテルのような家具の配置......暖炉もある。
「ソファーふっかふかー!」
雪乃は白色のソファーの座り心地を堪能していた時、ドアの向こうからゼロとルーシーの声が聞こえた。雪乃は右耳をドアに当て、静かに聞いていた。
「ゼロ様。ゼリューク様が重要な話があるとのことです。」
「重要な話?わかった。今から行くよ。」
何だろう。気になるけど人様の話を盗み聞きをするのはいけないけどこの世界のことを知るチャンスでもあるし。
雪乃は罪悪感を押し殺してゼロの後をつけた。
ゼロは警備の厳重そうな謁見の間らしきところに入った。どうしよう.....あそこに入らないと話は聞けないし....。
「気配を消せたら何とかなると思うのに.....」
すると雪乃の目は藍色に光り始めた。
「あれ?私....消えてる!?」
あるはずの手がない。それどころか私の体が見当たらない。いや、消えていると言えばいいのかな。
「よし。そーっと......」
警備員は微かな気配を感じあたりを見回したが深く考えなかったおかげで何とか突破できた。
「あそこが謁見の間ね。」
そこには龍を連想させるデザインの大きな玉座に座る青髪の20代後半くらいの男性とその目の前にいるゼロが何かを話していた。
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