二ノ話「クローバーの贈物」
ゼロと雪乃は空から街に移動し、夜でも賑やかなレギン王都の中央噴水に降りた。
「心臓止まるかと思った...」
「ごめん....」
雪乃は胸に手を当てて呼吸を整えていた。すると彼女は夜の街並みを見回して目を輝せていた。
「わあ....綺麗....。」
中世時代を思わせる建物。中央の広場にそびえ立つ大きな噴水。たくさんの人たちがベンチでおしゃべりしたり、市場で買い物をしていた。雪乃はここが別の世界だと実感した。
雪乃とゼロが繁華街を歩いていた時、雪乃はあるアクセサリー店のまで足を止めた。そこには四つ葉のクローバーの髪飾りがあった。
「可愛い....これください!」
「これは1200ジルね。」
20代くらいの女商売人は微笑んでクローバーの髪飾りを袋に詰めていた。その間に雪乃は1000円札と100円玉を二個を台に置く。
「ごめんね。このお金は使えないの。」
少し困った顔で女商売人は優しくそう言う。
「そんな....」
「それ、1200ジルだったけ?」
自分の住む世界のお金が使えないことにがっかりしていた時にゼロが財布を取り出してクローバーの髪飾りの金額を確認する。
「1200ジルか....これでちょうどだね。」
「ありがとうね。」
女商売人はお金を受け取った後、ゼロにクローバーの髪飾りを渡した。
「雪乃。ちょっとごめんね」
ゼロは少し背伸びして雪乃にクローバーの髪飾りをつけた。
「はい。プレゼント」
あまり表情を変えなかったゼロは雪乃に満面の笑顔を向けた。
「.....!?」
雪乃の頰は桜色に染まっていた。それを隠すように下を向き顔を隠していた。
「あれ?どうしたの?」
「ううん!なんでもないよ!」
なんだろう。胸の鼓動が早くなってる.........恥ずかしいけど嬉しい。この気持ちは一体なんだろう。
と思っていたら賑やかだった繁華街はどんどん静かになっていた。
「そろそろ家に帰る時間だね。」
「でも私は行く宛が.....」
ゼロは少し考えている素振りを見せてこう答えた。
「じゃあ、僕の城に行く?客室空いてるし。」
「え?いいの?」
「いいよ。元の世界に帰れるまでいていいよ。」
ゼロと雪乃はレギン王都から見える西洋風な城『青龍城』へ向かった。
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