第11話 君のために

俺はこの平和を送りたい。

だからこそ、何もしなければ何もかもが変わってしまうんだって

分かったんだ。あの時だって素直に行動しようとしたから

テーマパークで楽しく過ごせた。だからこそだ。


「あ、もしもし西沢か?今日は体調悪いから学校休むわ。

だから今日は自分で学校へ行ってくれ」

「大丈夫?体調よくなったら、連絡してね」

「ああ」

はぁ、、、大きなため息が出る。昨日はすごい疲れてたからとはいえ

着替え忘れてそのまま寝て風邪を引いてしまうとは…。

今日はおとなしくゲームでもしながら時間を潰すとするか。

ベットに横になってゲームをしながら、時間を潰す。

昨日あれだけ動いて、さらに風邪出しバチは当たらんよな。

牧野の言ってたことがふと脳裏に浮かんだ。

牧野のやつ西沢のこと好きって言ってたな…。

もしかしたら今日あいつ告白してるかもな…。

でも、牧野が告白した時西沢はなんて答えるんだろうか。

この1日はそれがどうも気に掛かっていた。


そして次の日の朝には風邪も治り、俺は学校の支度をしていた。

「かつやくーん、起きてる?今日は学校行けそう?」

普段俺が家から出る時間の5分前に西沢は家に来てた。

「どうしたんだ?そんなに朝早くに?」

「あの、ちょっと相談したいことがあったから早く来たんだ」

「分かった。歩きながら聞くよ」

いつもは能天気の西沢が今日はちょっと思いつめた顔をしてた。

なんとなく昨日の一件と自分の経験で察しはついてるが

ちゃんと話を聞いてみることにした。

「で、話ってなんだ?」

「実はね、昨日牧野くんに告白されたんだ」

「牧野にか?あいつが告白してきたのか。意外だな」

本当は知っていたが、牧野に友達として見守ると言った今は

あえて知らないふりをしていたんだ。

「そうか。西沢はどうしたい?」

「かつやくんにはさ、正直に伝えたらって言っておいて、

私はどう伝えればいいか分からなくて、返事は保留にしてもらったの」

実際その言葉の意味はよく分かる。

その人の気持ちはやっぱり実際に同じ立場になってみないと

分からない時もあるからな。

「そうか、どう伝えればいいか分からないっていうのがお前の本心だろ」

「うん…」

「どうしても言いづらいなら俺が牧野にそのことを伝えようか?

まだ西沢の中では答えが出てないって」

「ごめんね、私もどうすればいいのか分からないんだけど、

牧野くんに悪いしちゃんと気持ちを整理したら伝えるって

言ってくれると助かるかな」

「分かった。なに、そう急ぐ必要はないさ。あいつだって

西沢の本心を聞きたいはずさ」

「ありがとう…」

俺たちはそのままクラスについて放課後を迎えた。

牧野にそのことを伝えるため牧野を探しに行った。

珍しくあいつすぐ教室から出て行ったけどどこ行ったんだ?

そうして校内を探してるうちに体育館の中で牧野を見つけたが

その場には牧野だけでなく2人の男子生徒がいた。

3人は会話をしているように聞こえたがその内容は西沢のことだった。

「牧野さ、西沢のこと好きなんだよな?今日告るつもりか」

「告白はしたんだ。後は返事をちゃんと待つだけだ」

「いいよな〜俺も彼女欲しいんだよな」

「俺も俺も可愛い彼女欲しいんだよ。

そうだ1つ提案があるんだが」

「なんだよ、俺らも場に居合わせさ、お前がダメだったら

次は俺が告るわ」

「何を言ってんだよ?それは流石に冗談が過ぎるぞ」

「いいだろ、俺ら友達だからさ。いいじゃん別に。

誰が好きって言われるか賭けようぜ。」

これは牧野とあいつらの会話か。下手したらこれは

西沢が大変なことになる。なんとかしないとな。

もしここで俺が出ていって弁明しても余計に事態が悪化するかもしれない。

俺は体育館から俺は一旦離れて西沢のいる部室へと向かった。

「すみません、西沢はいますか?」

「おや、新城くんじゃないか。どうしたんだい?」

「諸星さん、西沢は?」

「ああ、彼女ならさっき帰ったよ。なんか疲れてるみたいだったし

今日ははやくあがったら?って言ったんだ。どうしたんだ?

そんな血相を変えて」

俺はさっき体育館で聞いた会話の内容を話すことにした。

実際1人でうじうじ考えるより他の人に相談したほうが

解決策が思いつくかもと思ったからだ。

「なるほどねぇ。そんなことがあったのか…。それはなんとかしないとな」

すると諸星さんは部員みんなを見渡した。

「おーいみんな〜、ちょっと面白いことを思いついたんだが

ちょっと来てくれないか?」

そう諸星さんが言うと部員がみんな彼の方によってきた。

「まあ、何がともあれ。まずは牧野くんと西沢くんが邪魔されず

話せる場を作ってやらんとな。俺はちょっと盛大なアイデアを思いついたんだ。

みんなよければ強力してくれないか?」

「何をするんですか?」

「こういうことをするんだよ」

諸星さんが話したことはむちゃくちゃな作戦だったが

物事を平穏に済ませるならそれも悪くないと思った。

俺は分かったんだ。

平穏な日常の中に時には悲しい出来事はあるかもしれない。

それは仕方のないことなんだ。

でも誰かの力でなんとかできるなら

その悲しい出来事を起こさせないようにすることもアリだと思った。

要するにその出来事を悲しくするかどうかは

頑張ればなんとかなるかもしれないということだ。
















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