第6話 君のおかげさ
「おっはよーかつやくん!学校行こ!」
「珍しいな、西沢が俺の家に来るとは思わなかったぞ」
「へっへぇ、今日は朝お目覚めぱっちんだったからね。
すぐ準備できたからね〜」
こうやっていつも通りに俺たちは学校へと向かった。
その途中で俺のクラスメイトと会った時は少し視線が重く感じたが
2人で話しながら歩いていると大して気にならなかった。
というよりどうでもよかった。それはクラスの中でも変わらない。
西沢はクラスに入ったら普段は別の人と話すのだが
今日は気を使っているのか、俺との会話を続けてくれた。
クラスメイトの視線は最初は確かに重かったんだ。
千秋も気を重そうにしていた。
でも俺たちが楽しそうに話しているうちに周りのみんなも
どうでもよくなったのか、重い空気がなくなり、
各々友達同士で話を始めた。
千秋もその重い雰囲気が無くなりホッとした顔をしていた。
昨日まではあんなに辛かったクラスや時間は一瞬で変貌した。
そう思うと人って意外と単純な生き物だと思った。
放課後になって帰る支度をしてる千秋と元へいった。
当然、自分のやるべきことを果たすためだ。
「あのさ、千秋今日ちょっと話さないか?」
「うん、大丈夫…。じゃあみんなクラスから出たら話そっか」
まだ疲れた表情が残っていたが、気分は落ち着いてるように感じた。
他のクラスメイトに不自然に思われないよう、6時くらいに
クラスで会う約束をした。このことは西沢にも伝えていた。
「お待たせ。待った?」
「さすがに疲れたよな。本当にごめんな…」
「私、ようやく落ち着いたから大丈夫…。話を聞けるよ」
千秋もこのクラスの重圧の中ストレスが溜まって
いつもの告白時のですます口調はなくなった。
普通だったらこんな状況で話なんて聞きたくないだろう。
だけどそんな中来てくれた彼女のためにもちゃんと伝えねばならない。
「実は…」
「ちょーっと待った〜」
「え?」
そう呼び止めたのは西沢だった。
そしてクラスに入ってきたのは西沢だけでなく佐野さんもだった。
「ごめんねー私も来ちゃって。でもね新城くんの話そうとしてることは
千秋さんと一緒に聞いた方がいいかな〜って思ってさ」
「どうしてだ。俺はこの後、佐野さんのところに行こうと思ってたんだが」
「ああ、西沢さんから聞いたよ。全部ね。だからこの方があんたの負担も
軽いだろ」
そうか、すべて聞いたから。佐野さんはここに来たんだ。
二人に同時に話せば誤解も解きやすいし、
自分の気持ちを1回で伝えられるからな。
自分の気持ちを語ろうとした時、俺は呼吸が荒くなるのを感じた…。
今まで溜め込んでいたものがすべて外から出るかのように。
そして俺の目から涙が流れた。
「俺は2人に告白された時、俺は2人に特別な好意は持って無かったんだ…
でも!どうやって…。その気持ちを伝えればいいか。分からずに
俺は曖昧な返事を…。二人にしました。本当にごめんなさい」
俺は抑えてた思いをすべてさらけ出し、その場にうずくまった。
「どうすればいいのか分からなかったから、
千秋を傷つけることになったんだ…。本当にごめん」
「かつやくん。もう大丈夫だよ」
そう言って西沢は背中を手でポンポンとした。
「いいんですよ。私はちゃんと返事を聞けてスッキリしました。
新城くん。ありがとうございます」
「新城くんは悪くないよ。私こそちょっと勢いみたいなところあったからさ。
悪かったな」
「ほらね、じゃあかつやくん。一緒に帰ろっか!」
「そう、、、だな。帰るか」
俺は確かに分からなかったからから、それがきっかけになって
辛いことばかり会った。そう、こういうことって何とかなるものなんだな。
そうだよな。あいつがいたから、俺はこの現実を変えられたんだ…。
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