第7話 いつもと同じ時間

2人の告白のいざこざも無事解決し、俺はまたいつも通りの日々に戻った。

次の日からはいつも通り朝食を食べて学校から反対方向の西沢の家に行って

支度の準備を待って、しゃべりながら登校して、放課後になったら

西沢の部活が終わるまでてきとうに時間をつぶして終わったら

2人で話しながら下校して1日が終わる。

俺たちは別に特別な関係ってわけではないが、

言葉で表すなら俺たちの関係は親友同士って感じだ。

俺は別にそれでよかった。この当たり前の毎日が今は大好きで

特に大きな変化が無くてもそれで充実していたんだ。

別に何も変わらなかった訳じゃない。あの一件後クラスで千秋と話す機会も

増えたんだ。お互いの気持ちを素直に伝えてから話しやすい相手になったんだ。

だからあの出来事も俺にとっては無意味なものじゃないと

今なら思えるんだ。


週末の放課後、西沢の部室の前まで行って、

そろそろどっかで時間をつぶそうかと思ってたところに一人の

男子に話しかけられた。

「きみ、確か新城くんだよね」

「そうだけど」

「そっかそっか、俺さこの部の副部長の諸星大輔さ。覚えてくれたかい?」

どうやら諸星という人は西沢の部の副部長でおそらく俺よりも年上だ。

「一応は、それで何のようですか?」

「単刀直入に言うな。マジですまん!」

「ええ!?いきなり何謝ってるんですか?」

「実はさ、佐野のやつが、諸星センパーイ私今日新城くんに告白したんだよー

って俺に小声で言ってさ、俺も流石にびっくりしてさ。おいまじかよ

お前あの西沢といつも一緒にいるあいつに告白したのかよ!?

随分大胆なことするな〜って大声出しちゃって、おそらくそれが

噂になって新城くんの二股事件を引き起こすきっかけになったと思ってさ」

2日目の時なんで噂になっていたのか疑問だったが、そういえば

千秋も告白のこととかを友達に相談したって言ってたし

噂が二股事件を招いたってことか。でももう過ぎたことだし

今こうして思うと、別に悪いことばかりでも無かった。

「いえ、俺にも責任はあったんです。

あと一応、俺二股なんかしてませんよ」

「そんなの最初から分かってるって、俺も普段西沢からきみの話を

聞かされてたからね。それでさ、お詫びと言っちゃあなんだが」

諸星はそう言って自分のカバンから何かを取り出そうとしてるように見えた。

あったあったと言って彼が手にしてたのは何かのチケットだった。

「師走テーマパークのチケットだぜ。彼女と一緒に行く予定だったが

彼女体調が優れないみたいだったからさ。きみが西沢と一緒に行ってくれよ。

俺と行くより新城くんと一緒に行った方があいつも楽しめるだろ。

それに西沢は見てる限りお前のことが大好きみたいだからな。

まあ、ダチとしてだけどな…」

「まあ、そりゃ幼馴染ですし俺と西沢はそういう仲ですから。

後わざわざすみません。ありがとうございます」

「暇になったらうちの部にいてもいいぞ〜君なら大歓迎だからな〜」

「はい、じゃあ暇になったら行きます」

俺は諸星さんに礼をして学校の外に出た。

あいつとテーマパークねぇ。一緒に遊びに行くとか

今まで考えたこと無かったな。まあ、のんびり楽しむか。

部活の時間も終わり、いつも通り西沢と帰宅まで一緒に歩いていた。

「今日も部活は楽しかったか?」

「うん、楽しかったよ。なんかさ〜諸星先輩がなんか

はっはっはー明日の休日には新城くんとインジョイライフを

過ごしてこいよー!ってさなんか今日の先輩なんか変人みたいだった」

あの人、やっぱ変わった人だな…。まあいい人だよな。

しっかりと謝る先輩の姿を見てちゃんと謝罪の気持ちは伝わってきたんだ。

だから素直にこのチケットを受け取ることができたんだ。

「あのさ今師走テーマパークのチケット2枚分あるんだけどさ

休みに遊びに行かないか?」

「本当ー!?行く行くー絶対行く〜。ワクワクするねぇお友達同士でさぁ

こういうところに行くのって」

「じゃあ決まりだな。明日いつも通り迎えに行くから

ちゃんと準備しておけよ。なら明日な」

「待ったね〜」

西沢と別れて帰宅し、自分の部屋のベットに横たわった。

最近、色んなことがあったから疲れたな…。

そういや、西沢とこうやって休みの日に合うのは

かなり久しぶりだな。日曜の夜にごめーん宿題分かんなくてさ〜

たくやくん教えてー!って電話かかってきて夜にあいつの家に

行って課題を教えてた時もあったっけ。

そういえばあいつあの時パジャマ姿のままだったよな。

明日パジャマ姿のままあいつが外に出ないよう気をつけないよな。

そんなことを考える自分がなんだが面白くてたまらなかった。

俺たちの日常はこうやって静かなバランスを保って時間が過ぎていく。

特に大きな出来事が無くて、いつも平和な日々が過ぎていく。

そんな毎日が楽しかった。

あいつがいるからかもしれないな。

こうやって俺の1日が終わる。

凡庸で平和で特に刺激はないが楽しい時間が過ぎていくんだ。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る