第4話 波乱の幕開け
今朝の目覚めはよかった。
昨日で色々と気持ちの整理がついて気分も清々しかった。
俺は朝食を食べた後にちょっと早めに家を出て
学校とは反対方向の西沢の家に向かう。
それが俺の毎朝の日課みたいなものだった。
「おはよう、かつやくんもうすぐ支度するからもうちょっと待ってて」
「俺のことはいいからまずはそのボサボサの頭をなんとかしてきなさい」
「はーい」
今日の西沢は昨日徹夜でもしてたのか、寝ぼけてる雰囲気だった。
西沢が支度して15分ぐらいに家から出てきた。
「ごめーん、遅くなっちゃって、今からいこ」
「相変わらず、能天気なやつだ」
これが俺にとっての当たり前の日常だった。
こうやって毎朝西沢と他愛のない会話をして
学校行って西沢と話しながら帰って
その日常が何もなくてもすごく充実していた。
さりげない日々の一つ一つの出来事は大したことないけど
それがとても安心できたんだ。そうそれが崩れるまでは。
「ようやく学校についたね。じゃあクラス行こっか」
「授業中寝るんじゃねえぞ」
「う、うん。気をつけるよ」
クラスに入った瞬間、クラスのみんなの視線が俺の方に向いた。
それになんかいつもと違う雰囲気かどこかにあった。
そんな重い雰囲気のクラスの中で1人が席から立ち上がって
こっちに近づいてきた。
「あのさ、あんたさちょっと聞きたいことがあるんだけど?」
「どうかしたか?」
そう言いだしたのは千秋の女子グループのうちの一人の女子だった。
「あんたさ、なんで二股なんかしてるわけ?」
「ふ、二股?何のことだ?」
「ごまかさないでよ。千秋と佐野さんの二人に告白されて
返事もせずにはぐらかしてるんでしょう?あんた、
勇気をもって告白してきた千秋に何でちゃんと応えなかったの?
男ならちゃんと好きか嫌いか言いなさいよ!」
その女子の言葉でクラスのみんなはヒソヒソと話し出したり
最低、クズ、臆病者、女の敵、そんな罵声が浴びせられた。
「俺はそんなつもりなんか」
「ちょっと待って、みんなこれは違うんだよ。
新城くんの話を聞いてあげて」
西沢が弁明しようとするが、その言葉は誰にも届かなかった。
千秋さんはこの場の雰囲気に耐えられず顔をクラスメイトに
見せないようにしてるように見えた。
「こら、お前ら!さっさと座らんか!」
先生が教室に入ってきたことでこの場は収まったが
それでも周りの視線は痛かった。
俺は間違っていたんだ。あの時ちゃんとすぐ断っておけばよかったんだ。
俺は授業中、顔を上げず、ずっと罪悪感に苛まれていた。
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