第2話 2人の告白が始まりだった

「あの、すみません。ちょっといいですか?」

そう言って俺に話しかけてきたのは俺のクラスの

千秋若菜だった。普段は仲良しグループでおしゃべりしてる

女子だった。俺は彼女とは話すことはあまり無かった。

「お前が俺に話しかけてくるとは珍しいな。どうかしたのか?」

「あの今日放課後時間空いてますか?」

「ああ、別に時間はなくはないが」

放課後は西沢の部活が終わるのを待ってから

一緒に帰るのがいつもの日課だ。

あいつといると気が楽だし昔からの付き合いで

話していると楽だからな。

まあ、待ってる時間暇だから時間を作れないことは無かった。

「よかった。じゃあ放課後屋上に来てくれませんか?

ちょっと話がしたいので」

「別に構わんが、じゃあ4時半ぐらいに行くからな」

「はい、あの、待ってますからね」

そう言って千秋はいつもの仲良しグループの元へ戻って行った。

「急にどうしたんだ。あいつ」


学校の授業が終わった放課後、俺は約束の4時25分の5分前に

屋上についた。その時にすでに千秋がいた。

「ご、ごめんなさい。いきなりでしたよね」

「い、いやぁ別に」

5分前に念のため来たのに俺より早く来るとは

そんなに大事な用なのか?とふと思ってた。

「あ、あの今日はきてくれて有難うございます」

「なんだよ改まって堅苦しいぞ」

普段そんなに雰囲気の堅いやつじゃないのに。

「あ、あの実は…ぁぁあなたの事が好きです!

私と付き合ってください」

「えぇ!?」

自分の置かれてる状況がイマイチ理解できなかった。

「えっと、そうなんだ。」

その言葉が出てしまったが、別に彼女に好意がある訳ではない。

だがこの時の俺は断るべきか、お互いのことをまずは知るために

付き合うべきか。いきなり起きたこの出来事にどう対応すればいいか

全く分からなかった。

「あの俺はちゃんと考える時間をくれないか?俺も自分の気持ちを

整理したいんだ…」

「あの、いきなりでごめんなさい。じゃあ返事待ってますね」

そういって千秋はかなりおぼつかない足取りで屋上から去った。

「はぁ、、参ったなぁ。突然すぎるだろ」

普通の男子なら即オッケーするかもしれないが、

それで相手を傷つけるのは嫌だった。

だからこそどうするべきか分からなかったんだ。


そして西沢の部活も終わり、西沢は部活の部屋から顔を出した。

「ごめんね、待たせちゃった?」

「い、いや、、、べ、別に」

今日の告白があまりにも唐突過ぎて言葉にもその疲れが

表れていた。

「なんかかつやくん、今日はお疲れだねぇ。あ、もしかして

私の部活終わるの待つの疲れちゃった?」

「いや、そういう訳じゃないんだ、

なんというかその、あの実は」

その時西沢の部活部員が彼女を呼ぶ声が聞こえた。

「ごめん、伊波〜ちょっとこっち手伝って」

「分かったー今行く〜。ごめんかつやくん。

今日は先帰ってて」

「仕方ないなぁ」

西沢と話して少しは気が楽になったが、今日はどっと疲れてしまった。

こういう日は早く寝るに限るな。

そう思いながら、学校を去ろうとした時だった。

「あの、新城かつやくんだよね。ちょっといい?」

そう俺を呼び止めたのは別のクラスの佐野歩という

女子だった。佐野は西沢と同じ部活の一人だった。

「あんたは確か、西沢と同じ部活の」

「あれ、名前覚えててくれたんだ。西沢さんといつも一緒に帰ってるけど、

どういう関係なのかな?ちょっと気になって」

「ああ、西沢か、なーにただの昔からの友達だよ」

「そっかーよかったー。なら今ここに誰もいないし単刀直入に言うね」

「あ、ああ」

俺の心臓に違和感を感じた。その違和感はドキドキというのとは

なんか違った。

「私、新城くんのことが好きです!付き合ってください」

「あ、えっと…、ちょっと時間をくれないか」

この時の俺は思考がまともに回らなかった。

俺の凡庸な日常にはない出来事が二度も起きたんだ。

その時の俺は未熟過ぎたんだ。

だからこそ普通だったらとても喜ばしい状態が

最悪の結果になってしまったんだ…。














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