第22話 バレた!?

「さて、ここには僕達しかいないからゆっくり話せるね」

「そうですね」

 確かにここには俺と綾峰さんしかいない。

「この屋敷の生活には慣れた?」

「はい。だいぶ慣れました」

「哀來ちゃんのピアノと歌のレッスンはどう?」

「まじめにやっていますよ。今じゃ大学に行っても誰にも負けないくらいうまくなっていますよ。最初から才能がある人でしたから」

「『情報の吸収能力が高い天才少女』と言われているからね。僕の嫁にふさわしい」

 自慢かよ。

「ところでさ、聞いていいかな?」

「何でしょう?」


「君の名前って朱雀小夜、だよね?」


「な! 何の事ですか!?」

 どういう事だ!?

「君の事を調べたんだ。哀來の恋心を掴んだ男の正体は許婚として知りたいからね」

 くっ!

「調べてみたら青龍家には弟子なんかいないし、取ってもいないって聞いたよ。これはおかしいと思って調べてみたら……ねぇ」

 そこまで調べられていたか!

「これは怪しいと思ってさらに調べてみたんだ」

「さらに……ですか?」

「君は先月殺された朱雀色素の息子じゃないか。もしかして君は事件の秘密を探るためにここに来たのかい?」

 バレてる!

「そんな事はありません!」

 なんとか言い訳して乗り切らないと!

「そんな言い訳通じないな」

「その情報が間違っているんじゃありませんか?」

「嘘をつくな!」


「そこまでにしてください!」


「「!!」」

 綾峰さんじゃない違う人の声がした。

 俺と綾峰さんは驚き、入り口の方を見た。

「柏野さん!」

「お話はすべて聞いておりました」

「ど、どういう事だ? 外には聞えないはず」

「お嬢様から連絡があった後、お二人が応接室に向かう姿を見たのです。よく見てみると先生が綾峰様を案内しているのではなく、綾峰様が先生を案内していらっしゃるのでおかしいと思いました」

 だろうな。

「だが、ここでの会話は誰にも聞こえないはずだ!」

 綾峰さんが反論した。

「この部屋には盗聴器が仕掛けていますのでそれを聞いていました」

「と、盗聴器!?」

 俺も綾峰さんと一緒に驚いた。

 盗聴器なんてあるのかよ!

「何でそんな物が仕掛けてあるんだ!」

「ここで話した事は外に洩れません。ですから何か怪しい話をするには丁度良い場所なのです。そのような事されては困りますので対策を取っているのです」

 それが盗聴か。

「さすが燕家に仕えている執事だな。しかしさっきの言い方は会話の内容を知っているような様子だったが?」

 それは俺に話してくれたからなんじゃ。

「先生……いえ、朱雀小夜様。実は貴方の正体には気付いておりました」

「か、柏野さん!?」

 俺の正体を知っていた?

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