第7話 日常1

青叉が来てからもう一週間が経った。

青叉は殺さんに部屋の掃除の仕方、立ち回り、食べ物の調達などを教えてもらっていた。

やっぱり、誰でも最初は四苦八苦するものでも青叉は経った3日で覚えてしまった。

殺さんも最初は厳しく指導していったが、青叉の覚えの速さに驚いて居たがすぐに新しいことを覚えさせながら自分のことを『私のことももう少し厳しくしてみるか』とか言ってたから少し心配気味。

僕はと言うと

僕「・・・ここはこの人だっけ?」

麗「ううん。この人はいないよ。ここはこの人だよ。」

僕「あ、そうか。じゃぁ、こっちの人はこの人だ。」

今は麗さんと一緒に歴史の勉強中だ。そしてよく・・・

麗「・・・澪君、君ってよく新しい人物をよく書けるよね。」

僕「え?ここってこの人じゃないの?」

麗「違うよ、またっく。ここの人はこの人でさっき書いた人は歴史には載ってないよ?」

呆れられる。歴史の勉強って名前が多いから大変だよね。

僕「本当?・・・やっぱり自分の勘って頼りにならないね。」

麗「勘って・・・少しは頭を使おうよ。あ、そこは合ってる。よく分かったね。」

僕「え?そうなの?僕的にこんな人いないだろうなーって気分で書いたんだけど。」

麗「・・・澪君勉強に勘は使っちゃだめだよ。勉強は考えるための物なんだから。」

僕「う~ん。ねぇ、麗さん。」

麗「ん?何だい?急に改まって。」

僕「少しね。気になることがあるんだけど相談に乗ってくれない?」

麗「いいよ!どんとこい!って言っても気になることって何?」

僕「うん。少し前ぐらいに急に眠気に襲われたんだよね。」

麗「うん。」

僕「それで眠気に襲われながらだけどお布団を敷いて中に入ったんだよ。」

麗「すごいね。すぐに寝る音夢ねむもそれを見習ってほしいな。」

音夢「う・・何?呼んだ?」

麗「ううん。特には。」

音夢「・・・そう。じゃぁ、お休み。」

麗「うん。お休み。」

音夢「( ˘ω˘)スヤァ」

音夢も僕の隣で麗さんと一緒に僕に勉強を教えてもらってたんだけど途中で寝ちゃったから今は麗さん1人で教えてもらっている。

音夢さん曰く『私は夜行性だから光には弱い。』らしい。

僕「それで話を戻すよ。そしてその日に限って夢を見たんだ。」

麗「夢?いつも見てるんじゃないの?」

僕「ううん。何故か夢と言う物を僕はあまり見ないんだよね。」

麗「へぇ~。まぁ、人それぞれって言うしね~。」

僕「うん。それで夢の内容がさ少し気になるんだよね。」

麗「・・・どんな夢だったの?」

僕「夢の中の自分がお酒を飲みながら何か変な歌を歌っててさ、その後に沙希が出てきたんだよね。そして夢の中の自分と沙希が何の話かは分からないけど話をしていたんだよね。」

麗「へぇ~。夢の中で変な歌にお酒を飲んで、さらに沙希様まで出てくる・・・はっ!」

僕「ん?何々。どうしたの?」

麗「はっは~ん。澪君ってそういう趣味だったんだ~。」

僕「何?そういう趣味って。」

麗「それは言えないな~。君の趣味にそんな性癖があろうとは。」

僕「はぁ~・・・相談する相手を間違えたかな~。」

麗「それはそれで酷いですよ澪君。」

僕「それより、この問題教えて?」

麗「分かったよ。ここはこうすれば良いんだよ。」

僕「へぇ~そうなんだ。あ、じゃぁ・・・」

それから僕達は中学生で習う勉強を終わらし、次は高校生で習う勉強に入るのであった。


それから大体2、3時間ぐらいが経った。

僕「う~~~ん。頑張ったな~。」

麗「うん。お疲れ様。しっかし澪君は覚えはいいのにすぐにそれを忘れちゃう癖あるよね。なんでかな?」

僕「・・・さぁ?」

音夢「・・・たぶん、お守りを作っているときに精神力を注いでるからだと思うよ。」

僕「・・・精神力?」

音夢「・・うん。君が作る物は大体は精神に働く物ばかり。それは君の精神力を注いでるからだと思う。だからいつも身体に働く物は作れないでしょ?」

僕「うっ・・・痛い所突くね音夢さん。でも・・・なるほど、じゃぁ今度から少し気を付けて注いでいけば」

音夢「それはダメ。」

音夢に即答されてしまった。

僕「・・・何で?」

音夢「それをやったら颯澪の精神が持たない。そして何れか身体にさらに心に侵食して行く。そうなったら・・・」

僕「・・・そうなったら?」

音夢は次の言葉を中々出さなかった。そうして、僕の顔を見たら

音夢「・・・・・・君は暴走する。」

麗「なっ!?」

僕「・・・暴走?制御できないってことだよね?」

音夢「ええ、そうよ。貴方は貴方自身を操作できなくなる。だから、これ以上の製作は禁止。良いね?」

僕「うぅ~ん。・・・分かった。分かったからその目をやめてください。こっちまで情が移っちゃいそうです。」

音夢の目は完全に僕を心配している目だった。だから僕はそれを無下に扱わない様に肯定した。

音夢「・・・分かった。じゃぁ、今日はこれぐらいにして夕飯を食べに行こう。」

麗「そうだね。それにしても音夢の食欲ってすごいよね。一体そのお腹の何処に入ってるのよ?」

僕「あ、それは僕も気になる。」

音夢「それは乙女の秘密。ほら、早く行こ。」

僕「分かったから。けど、先に行っててくれない?何か沙希が自室に居てさ。」

麗「酒呑童子様が?分かった。んじゃ、先に行って待ってるね。」

音夢「・・・早く来ないと颯澪のご飯、全部食べちゃうから。」

それだけ言い残して2人はそそくさに下へ降りて行った。

僕は沙希と契約してから沙希の気配が分かるようになった。だから今何処にいるか分かる。けど、いつもこの時間になると自室じゃなくて下の階にある広間に居るはず何だが。僕は少し気になって沙希の自室に行った。


僕は今沙希の自室前にいる。

沙希の気配もこの中。特に何かしているわけでもない。

ただ、ベランダ近くに居るだけ。

僕はノックをしてから入った。

僕「『コンコン』沙希~?どうしたの~?・・・入るよ?」

僕は中々返事が来ないので入ろうとした。

沙希「・・・颯澪か・・・今開けるから少し待っておれ。」

中から沙希の返事が来たので、待つことにした。

・・・何だろう。急・・・に・・眠・・気・・・が・・・あっ

沙希「どうしたんじゃ颯澪。こんな時間『バタッ』に!?どうした!?おい、おい!?颯澪!颯澪!」

俺「・・・うるさいな。少しは静かに出来ないのか?」

沙希「!?・・・お主は」

俺「ああ、また体を乗っ取らせてもらった。」

沙希「そ、そうか。よかった。」

俺「・・・あ~あ、良いな。僕の方は人気で。」

沙希「そりゃそうじゃろう。お主のことは誰も、云わば儂と神だけじゃろう。知っておるのわ。」

俺「・・・そうだった。そういえばそうなんだよな~。」

沙希「・・・それで?どうしたのじゃ。急に入れ替わりおってからに。」

俺「いやさ、音夢と呼ばれた野郎に俺がやっていたことがバレちまってよ。俺が出る唯一の鍵を僕の方に禁止されちまったんだ。」

沙希「音夢・・・か。ああ、お主は知らんかったのか。音夢と言えばこの屋敷の

暗殺者的存在じゃぞ?あ奴の目を誤魔化すのは難しいと思うぞ?」

俺「・・・まじかよ。そりゃ無理だった訳か。・・あれ。ってことは俺のこともバレてね?」

沙希「ああ、多分お主のことは気付かれておると思うぞ?颯澪の方の記憶でも見れば分かるんじゃないか?」

俺「・・・・・やばい。本格的にやばい。バレてやがる。」

沙希「そうか。じゃが大丈夫じゃろう。」

俺「・・・何でだ?」

沙希「お主の体は誰のじゃ?」

俺「ん?俺の体は颯澪の・・・ああ、なるほどな。」

沙希「そう、その体は颯澪のじゃ。如何に音夢でも気に入っている相手を切ることはしまい。それに頼光が見ている中、そんなこと誰も出来やしまい。」

俺「た、確かにそうだな。結構心配しちまったぜ。・・・ふぅ~。」

沙希「ククククク。」

俺「な、なんだよ。」

沙希「いや、お主でも心配することがあるんじゃなと、な。」

俺「そりゃ、俺の命が掛かってんだ。心配しない方がおかしい。」

沙希「・・・さすがにお主には音夢でも無理じゃろう。上位鬼なんじゃから。」

俺「ああ、そういえば言ってなかったな。俺はまだこの体に馴染んでないから暗殺系の奴等とは相性が悪いんだよ。」

沙希「なるほどのう・・・ん?あ!そろそろ向かわんと飯が冷めてしまう。急ぐぞ!」

俺「お、おう。分かった。じゃぁ行くか。」


俺たちは急ぎ足で広間に着いた。

麗「あ!やっと来・・・た・・・」

麗の顔の表情が固まった。

他の面子の表情も固まった。頼光と晃司さんと殺さんは表情に変化なし

ただ、

音夢「『チャキ』・・・颯澪から出てって。」

俺「・・・いきなり物騒だな。これから飯だってのに。」

音夢「いいから、早くし」

頼光「はいはい。そこまで。音夢も下がりなさい?」

パンパンと手を叩いてみんなの意識を戻して、音夢を下げさせた。

鬼娘「「「はっ!」」」

みんな起きた様だ。

音夢「・・・・・」

頼光「音夢?早く下がりなさい。」

少し強く言ったからなのか音夢は下がった。

俺「フィー、アブねアブね。」

そんな中本当に危ないのか分からないほど飄々としている。

頼光「それじゃぁ、全員集まったしご飯を食べましょうか。」

「「「「いただきます!」」」」

俺「いただきます・・・ご馳走様でした。」

「「「「ぶふっ!!早っ!」」」」

俺「・・・汚いよ?」

頼光「そうですよ皆さん。もう少しお行儀よく食べましょうね。御馳走様でした。」

「「「「あれ!?頼光さんの食事もない!?」」」」

俺「・・・早いな~食べるの。」

頼光「あなたほどではないですが、ちゃんと噛んでますか?」

俺「噛みたいけど噛む前に何故か消えるから噛むに噛めない。ぐぬぬぬ・・・」

((((おかしい!そこに悩むのか!もっと他にあるだろう!))))

皆の心が一致した。すごいね。

俺「・・・食べた?しお腹も膨れたから・・・ちょっとお酒でも飲んでるわ。」

「「「「ぶふっ!!未成年がお酒を飲むなー!」」」」

俺「大丈夫、大丈夫。このお酒はアルコール度数が50パーだから。そこまで強くないよ。」

「「「「強いよ!普通それ飲むの酒呑童子様ぐらいだよ!?」」」」

沙希「なんじゃ?ああ、それぐらいなら儂でも行けるぞ?それがどうしたのじゃ?」

俺「さぁ?俺がこれを飲むのが珍しいみたいだからな。」

音夢「・・・『チャキ』そのお酒から手を放して。颯澪の体にこれ以上負担を掛けないで。」

俺「・・・はっ、嫌だね。鬼たる者、酒なしで生きられっか。・・グピ、グピ・・・プハァ~、いや~うまいね~。『チラッ』」

音夢「・・・くぅぅっ!・・・・!?・・・・退いてください。沙希様。」

沙希「それは無理な相談じゃ。颯澪の体にいるこやつも颯澪だぞ?」

音夢「なっ!?」

「「「「え!?」」」」

沙希「・・・それでもやるのなら、儂は関与せん。」

俺「ぶふっ!・・・おいおいおい、そこまで言ったんだったらやれよ。」

沙希「お主はもう少し頭を使え。音夢はに颯澪の中にある異物を取り除こうとしておるんじゃ。」

俺「ああ~、なるほど。」

沙希「・・・お主はごり押し派かえ?」

俺「ああ、ごり押し以上に楽しいものはないと豪語してもいいぞ?」

沙希「はぁ~・・・。颯澪も颯澪で大変そうじゃのう。」

俺「あはははは、俺は否定できねぇな。」

麗「あの~1つ聞いてもいいですか?」

沙希「ん?何じゃ?」

麗「はい、今日の勉強の時間に澪君に夢の話をされたんですよ。」

沙希「ふむふむ、それで?」

俺「・・・・あ。」

沙希「ん?・・・それで?」

麗「え、はい。それで、その夢の内容が・・・・・・でして。」

沙希「・・・ふむ。颯澪がその様な夢を・・・。『チラッ』」

俺「『ギクッ』『チラッ』」

沙希「ほれ、こっちを見んかい。お主、あの時颯澪はちゃんと、眠っていたんじゃろうな?」

俺「ああ、ちゃんと眠っていたはず・・だぜ?」

沙希「ほう・・・なぜ今間があったんじゃろうな~?」

俺「さ、さぁ~な~?」

沙希「ほれ、さっさと白状せい。」

俺「くっ・・・・ちょっと月見酒をしてたら気が緩んで、少しの間多分だと思うけど颯澪が朦朧と起きて俺達の会話を見ていたかもしれん。」

沙希「まぁ、見ていただけならいいのじゃが。聞かれてはないんじゃろ?」

俺「ああ、それは多分大丈夫だ。俺の能力で何とかそこだけ抜いといたから。」

沙希「・・・そうか。」

頼光「それじゃぁ、その件も含めて私に話してくれないかしら?」

沙希・俺「『ビクッ』」

頼光の言葉に沙希と俺は首がギギギと壊れた機械の様な音を立てて頼光を見た。

頼光「ふふふふ。」

頼光の表情は笑顔だが、何故か周りのオーラが黒く見えた。


沙希と俺は食事を食べ終わったら頼光の部屋に連れていかれ事情を話した。

頼光「そうなの・・・話は分かったけど貴方の名前が無いのは少し不便ねぇ。」

頼光の表情はいつもの笑顔に戻ったが、少し悩んでいる様子。

俺「名前か~。前世にも有ったな~名前。」

沙希「なぬ?お主は前世の記憶でもあるのか?」

俺「ああ、あると言っても俺が知っているのは知識と見解だけだ。他は颯澪が持っている。」

頼光「あらあら。じゃぁ、貴方の魂と颯澪の魂は一緒ってことなの?」

俺「一緒だが少し違うな。元は俺の魂だったがそれを颯澪のために少しだけ複製して2つに分けたって所だな。」

沙希「そうなのか~。」

俺「・・・その言い方聞くと懐かしく感じるからやめろ。」

沙希「なぬ?儂以外のもこれを使う奴がおるんか?」

頼光「貴女だけ使う物なんてあまりないんじゃないかしら?それに人や妖なんて億以上いるのよ?貴女以外にも使う人はいるはずよ~?」

沙希「ぐぬぬぬ。我より先に使うなど、何処のどいつじゃ。」

俺「それは言わんが、それより本題に入ってくれ。」

頼光「そうね。まず、貴方の名前だけど何か希望はある?」

俺「んん~、名前ってやっぱり自分で付けるより、知人とかに付けてもらうと覚えやすいんだよな~『チラッ』」

沙希「ん?・・・そうじゃのう~。・・・・黒鬼こっきでいいんじゃないかえ?」

頼光「へぇ~貴女と意見が合ったのはいつ以来かしらね~」

沙希「なぬ?お主も黒鬼と思っていたんか?」

頼光「ええ、何となくそう思っただけなんだけどね。貴女達もそれでいいでしょう?」

頼光は部屋の扉にそう声を掛けた。

「「「『ビクッ!』!?『ガタガタゴンガラガッシャーン』」」」

扉の前に集まり過ぎたのか扉越しからでも分かるほどびっくりしていたのか、

そのせいで扉を破って一杯の鬼達が入ってきた。

頼光「あらあら?皆そこで何をしているのですか?役割はちゃんと終わっているんでしょうね?」

頼光の問いかけに

殺「はい、皆さんが私の指示を出すまでもなくすべて片付けていました。これが毎日だと私も捗るのですが。」

頼光「だめよ~、殺。皆をこき使っちゃー。皆生きているんだから大切にしないと。」

貴女も貴女で大概ですがね。

と誰かが思った。

俺「黒鬼・・・か。覚えたよ。そじゃぁ、名前をくれたお礼に俺の能力を教えてやるよ。俺の能力は・・『バタッ』

「「「「!?」」」」

僕「う・・ん?あれ、どうして此処で寝ていたんだろう。確か沙希の部屋の前に居たはず。」

音夢「・・・颯澪、大丈夫?」

僕「え、あ、うん。大丈夫だよ?一様。」

音夢「・・・そう。」

僕の言葉に音夢は何故か安心していた。

僕(・・・?何で安心してるんだろう?こんな所で寝ていたからかな?)

頼光「・・・さて、聞きたいことが後少しだったのだけれど、颯澪が元に戻ったから良しとしますか。それじゃぁ、各自解散ね~。」

沙希「了解じゃ。さて、颯澪。戻るぞ~。」

僕「え?あ、うん分かった。今行く。」



こんな普通な生活が数か月後に終わりになりそうなことになるなんて誰も思いはしないだろう。


続く




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