第5話 鬼の里 part3

僕達は今青叉の家の中に居る。

・・・語弊がありますね。

青叉の家の敷地内に居る。

??「青叉童子様、本当に宜しいのですか?」

青叉「うん。いいよ。掛かっておいで。手も足も出させないから。」

青叉は青叉の家に住む護衛隊、30名ぐらいの鬼と模擬線をすることにした。

青叉の家に住む護衛隊の一人一人の力は加減してもトラックが突っ込んでくるぐらいの威力はある。

何も知らいものが見たら、人数が多い護衛隊の方が勝つと思うだろう。

だが、相手は四天王の一人、青叉童子。

力量的には両方とも五分五分。

沙希「お、颯澪。どうじゃった青叉は?」

僕「・・・どう、なのかな。僕でも分からないや。」

沙希「・・・そうか。それで?これは何じゃ?」

僕「これは僕が青叉に提案したことだよ。護衛隊に模擬戦で勝ったら自由にしてもらえば?って。」

沙希「模擬戦で?・・・・ぷっあはははは。お主は本当に面白いやつじゃのう。お主は本当に自分のこと、弱虫だと思っておるのか?」

僕「僕は弱虫だからこんなことしかできない。弱虫には弱虫なりの知恵と力があるからね。僕には限界がある。」

沙希「・・・そうか。じゃぁ、ここの勝敗の審判は儂が適任じゃな。それで良いか?青叉、護衛隊。」

青叉「・・・うん。沙希ならいいよ。」

??「我々からもお願いします。」

沙希「・・・そうか。では、これより、四天王・青叉童子対鬼狩家・護衛隊30名の

模擬戦を開始する。開始の合図は・・・」

僕「・・・ん?何・・・え、ちょっ、待っ」

沙希「そぉっれ!・・合図は颯澪が儂に捕まった時じゃ。」

僕「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!沙希の馬鹿野郎ぉぉ!」

僕は沙希に大体20mぐらい上に飛ばされた。

沙希「ちゃんと助けてやるから・・・舌噛むぞー?」

僕「ああああぁぁぁぁぁ・・・・」

バフッ、って音と同時に僕は沙希と抱き着いていた。

護衛隊隊長「今だー、突撃―!」

護衛隊「「おおおおおぉぉぉ!」」

青叉「・・・舞え、桜死喪月さくらしもづき。」

護衛隊は青叉に突っ込み、青叉はその場から動かずに握っていた手を開けて、息を吹いた。

青叉の手から何枚もの桜の花びらが舞い、護衛隊の周りに散った。

護衛隊は花びらなぞ眼中に無いかのように突撃していた。

僕は青叉の桜の花びらにちょっと目を奪われてしまった。

沙希「・・・いきなりケリを着けるのか・・・まぁ、分が悪いのはあちら、じゃしのう。」

僕は沙希の言った言葉に少し疑問を思った。

僕「ねぇ、沙希。あの花びらは何?」

沙希「・・あの花びらは青叉が四天王になるために身に付けた技の1つ。

その花びらを放たれたら最後、あの花びらの1つ1つが全部刃になる。」

沙希の説明が終わったと同時に、青叉は花びらを操っていた。

護衛達は謎の花びらの動きに翻弄されていた。

護衛隊隊長「何が・・・。」

青叉「・・・ごめんね。僕は前に進まないと行けないんだ。・・・これで終わり。

射出準備完了・・・咲け、千本桜。」

花びら達は竜巻の様に護衛達の周りを回っていた。

そして、青叉の言葉と同時に一部の花びらが護衛達を襲った。

護衛隊「「隊長!・・状況説明を!メーデ!メーデ!」

護衛隊隊長「・・・模擬戦を開始した時からすでに決着していたのか・・・。」

護衛隊「「ぐああああぁぁぁぁぁ!」」

大体20秒、花びらは護衛隊を襲い続けていた。

そして、花びらが弾ける様に無くなると、中には誰も立ってはいなかった。

沙希「・・・勝者!四天王・青叉童子!」

僕「・・・お疲れ青叉。・・・大丈夫?」

青叉「あ、ああ。大丈夫だ。・・・少し、休・・む。」

青叉は少し顔色を悪くして、倒れた。

僕はそんな青叉を受け止めて、そのまま家に勝手に入り、青叉の部屋まで行って、

青叉を寝かせた。

僕「・・・・・・」

沙希「そんなに心配せぇへんでも大丈夫じゃ。青叉の力は制御が難しいから久しぶりに使って疲れただけじゃ。」

僕「・・・そう、だよね。うん。ちょっと沙希、青叉の部屋にこれ、置いておいてくれない?」

沙希「・・・これは・・・ああ、なるほど。じゃぁ、少し待っておれ。」

沙希はそう言うと霧の様になって何処かに行ってしまった。


青叉「・・・うーん。」

・・・僕は勝った。・・・・でも、これでいいのだろうか?力を示したから、それでいいのだろうか?僕は考えた・・・でも、答えはでなかった。

青叉「・・・・・?」

僕は枕の横に何かあることに気が付いた。

青叉「・・・・お守り?」

そのお守りには気分転換と書いてあった。

そういえば、あまり頭が痛くないことに気が付いた。

いつもなら力の使い過ぎで起きても頭痛が続いていたのだが、痛みがなかった。

誰のだろうと思ったけど、やっぱり答えが出てこなかった。

??「・・・青叉様、お食事が出来ましたが、お取りになりますか?」

僕はそういえば、少しお腹が空いていた。

青叉「うん。お願いしまもいい?」

??「はい、分かりました。」

僕はここで1つ思ったことがあった。

青叉「ねぇ!・・・みんなで食べない?確か食堂あったよね?」

??「はい、今現在食堂は傷が治った護衛隊の皆さまがお使いになっております。」

青叉「・・・僕もそこに行っても大丈夫かな?」

??「・・・少し、お待ちください。」

それから5分後。

??「青叉様、護衛隊の皆様からこちらもお願いとのことです。如何なさいましょう?」

青叉「・・・うん、お願い。」

??「分かりました。では、食堂に向かいましょう。」


それから僕達は食堂に向かった。

?「あはははは、それはこうすればいいだろ。」

?「いやいや、ここはこうだろ。」

?「それだと、こうなっちまうぞ?」

?「おい、そんなことより、青叉童子様がここに来るらしいぜ?」

?「おいおい、本当かよ。青叉童子様はいつも部屋で食べてるんだろ?

俺達と食べる時間、ないんじゃないのか?」

?「いや、さっき隊長と世話係らしき人物と会話をしていたのを耳にしたんだよ!」

?「うーむ。考えづらいな。なぜ、ここに来るのか。」

?「まぁ、そんなことより、飯を食べようぜ。」

?「そうだな。」

ギィという音と共に食堂の扉が開いた。

扉が開いたと当時に食堂の喧騒も静かになった。

青叉「・・・・・・」

??「「「・・・・・・・」」」

??「青叉童子様、あちらの席です。お食事を持ってくるので少々お待ちください。」

世話係らしき人物は青叉から離れて、厨房に行った。

1人になった青叉は1人、テーブルでガチガチになって座っていた。

?「・・・おい、誰か行けよ。」

?「なら、お前が行けよ。」

?「いや、無理だって。俺小心者だから。」

?「何言ってんだよ、言い出しっぺが行けよ。」

?「ねぇ、隣、座ってもいい?」

??「儂も同席、いいかの?」

青叉・鬼「「「・・・え?」」」

僕はいつの間にか後ろに立っていた2人組を見て、固まってしまった。

青叉「・・・何で、いるの?」

僕は信じられないと頭で思っていた。

僕「ん?それはね~。・・・お腹が空いたからだよ~。ねぇ~?沙希。」

沙希「そうじゃな。儂は今回少しお腹が空いてのう~。ここに立ち寄ったんじゃ。」

青叉「・・・・・。」

僕「隣、座ってもいい?」

青叉「・・・ああ、うん。どうぞ。」

僕「ありがとう。座ろ?沙希。」

沙希「そうじゃの。あの者は分かっていた様じゃが。」

??「お待ちしました。おや、お二人様の分を持ってきませんが、どうしますか?」

沙希「分かっておろう。青叉と同じ奴を儂と颯澪にお願いできるか?」

??「畏まりました。少々お待ちください。」

僕「・・・それで、いつまで固まってるのさ、青叉らしくないよ?」

青叉「え、いや、ちょっと。緊張して・・・それに、2人ともいるとは分からなくて。」

沙希「んん?お主、模擬戦時、手も足も出させないとか言ってなかったかえ?」

青叉「うぅ~・・・思い出させないで~今でもその発言が恥ずかしいんだから~。

///」

沙希「はっはっはっ。まったく、お主はあの時からまったく変わっておらんのう。」

青叉「うぅ~・・・人ならざる者でも変わらることはできぬ、って昔沙希から聞いたんだけど。」

僕「へぇ~ってことは昔の沙希も今の沙希もまったく変わってないんだ~。」

沙希「うっ、なんじゃ颯澪、そんな目で見ないでくれ。」

??「お二人様、料理をお持ちしました。どうぞ、お召し上がりください。」

僕「おおぉ。・・・・この料理って何ですか?」

沙希・青叉「「ガタンッ」」

僕「・・・・どうしたのさ、急に椅子から落ちて。」

沙希・青叉「「・・・いや、何でもないよ。」」

2人揃って椅子から落ちた。

??「この料理は、いわしの味噌焼きと茸と筍の詰め合わせご飯と豚汁とキャベツの漬け物でございます。全部の食材に隠し味としてお酒を入れております。」

僕「へぇ~そうなんですか。・・・ねぇ、沙希。」

沙希「なんじゃ?・・・・あ。」

僕「・・・・・僕、酒成分がある食べ物・・・食べれない。」

沙希「・・・そうじゃったな。お主はまだ酒は飲めんかったな。」

僕「どうしよう、沙希!食べれないよ!?」

??「安心してください。貴方様の料理にはお酒は入れておりません。ごゆっくりお食べください。」

僕「あ、ありがとうございます。・・・ふぅ、よかった~。」

?「なぁ、俺達も一緒に食べていいですかい?」

青叉「え、あ・・はい。」

?「そうか、おい、お前ら、青叉童子様から許可得たぞ!一緒に食べようぜ!」

?「お、まじか!じゃぁ、俺はこの席な~。」

?「何!そこは俺が座ろうとしていた席ではないか!」

?「お、ここ空いてるじゃねぇか。どっこいしょ。」

?「おい、何おやじ臭いこと言ってんだよ。はははは!」

?「うるせ!少し今日は疲れたんだ!」

僕「・・・賑やかですね~。」

青叉「・・・うん。そうだね。」

僕「・・・いつもは1人で食べてたんでしょ?・・今の気持ちはどう?」

青叉「・・・楽しくて・・・面白くて、賑やかだな~って思っちゃった。」

僕「そう。・・・ねぇ、それをさ、今だけじゃなくて、これからもでいいんじゃない?」

青叉「・・・え?」

沙希「そうじゃな。お主は1人で色々と抱え込む癖があるからのう。颯澪もじゃが?」

僕「あ、あはははは・・・ナンノコトカナ?」

沙希「はぁ~・・・まぁ、今は良い。それよりも飯を早く食べよう。」

僕「そうだね~。では、」

「「「いただきます」」」

それからみんなで話したり、誰かが歌ったりで、楽しかった。

僕はずっとその空気に浸りたかったけど、時間が来てしまった。

沙希「そろそろ時間じゃな。颯澪、帰るぞ。でないと、頼光が怒るぞ?」

僕「うっ、それは困るな。・・・どうする?青叉。」

青叉「え?」

僕「ん?一緒に来るんじゃないの?」

青叉「え、いや、その・・・いいの?」

僕「いいんじゃない?ねぇ、沙希?」

沙希「うーむ。まぁ、颯澪が決めたのなら頼光もそこまで言い寄らんだろう。」

僕「だ、そうですが。一緒に来ない?青叉?」

青叉「・・・分かったけど、僕にはここを守る義務がある。それを今考えているのだ。ぐぬぬぬ・・・」

僕「・・・・ねぇ、青叉、沙希。」

沙希・青叉「「ん?何(じゃ)?」」

僕「僕さ、こんなこと考えたんだけど。」

僕の言葉に耳を貸す2人。

僕はこんなことを考えた。

まず、ここを守る何かがあれば、青叉は来るらしい。

ならば、ここを守る何かを創れば良いんじゃないか、と思い立った。

沙希「・・・じゃが、そんな物どうやって作るんじゃ?」

青叉「そうだよ。僕の家にあると思うけど、可能性は0に近いよ?」

僕「ふっふふ。僕ね、隠していたことあるんだ。沙希にも頼光さんにも。」

沙希「お?何じゃ?儂と頼光にも話してないことじゃと?」

僕「うん。実はね?お守りを作っていて、思ったんだけど。僕が作っているお守りって精神に付与される物が多いんだよね。そこでさ、人形にお守りを付けて、

人形を動かすってのはどう?」

沙希「うーむ。じゃがそれは結構難しいことじゃぞ?」

僕「うん。だから、今1人で四苦八苦しているんだけど。どうにか出来ないかな~って思ってさ。今ここで話したんだよ。」

青叉「・・・ねぇ、颯澪?」

僕「ん?何、青叉?」

青叉「人形の中に人が入って、お守りに力を加えて人形を制御するってのはどう?」

僕「・・・いけるかもしれないけど・・・失敗は成功の元って言うし、一回それでやってみよう!」

青叉「分かった。なら、確か第3層に大きい人形が有ったはずだから取りに行ってくるね。」

僕「了解。それまで、僕はお守りを完成させておくよ!」

青叉「分かった!それじゃぁ、また後で!」

僕「うん!また後で!」

沙希「・・・仲睦まじいのう?」

僕「・・・こういう同世代の友達って言うのかな?作ったことなかったから。」

沙希「・・・そうじゃのう。まぁ、儂らは先に帰って、また明日来よう。青叉にも明日来るからと言っておく。」

僕「うん。分かった。」

それから、僕達はそれぞれ役割を持って、家に帰って行った。

続く






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