第3話 鬼の里 part1
僕は沙希と契約をしてから、早2か月になった。
最初の時は大変だった。みんなから、酒を口に含んだままキスをしようとする鬼が居て大変だった。
その時は何とか、沙希や頼光さんが止めてくれたけど、頼光さんが
『ふふふ、チャンスは一回じゃないわよ?何回もアタックして、相手を惚れさせるのが鬼、でしょう?』
この言葉の所為で、毎日のように色んな鬼からの熱烈アタックがあった。
だけど、今はそんなことも無くなった。さすがに諦めたらしい。
でもたまに鬼がお酒に酔った時にこっちに来て、無理にお酒を飲ませようと口移しで飲ませようといる鬼もいた。あの時は沙希に助けてもらった。
そして、僕は今沙希の案内の下、鬼の里に行っている。
鬼の里、名前の通り鬼が住んでいる場所である。
そして、その里は強力な大きい結界で囲まれており、同じ鬼でもその里に入るための印を持っていなければ入れない仕組みになっている。
その印は鬼の左腕に呪詛として付ける。そして、やっと外に出られる。
安心して欲しい。その印は永続的ではない。一回戻ってこればすぐに消える。
周りには見えないが、沙希曰く『左腕に鬼のマークがある。』だ、そうだ。
それから数分後
沙希の後ろを歩いていると、一瞬、体が重く感じた。
ただ、それはほんの一瞬だけだったのか、それからは普通通りだった。
そして、沙希が歩き止まった。
沙希「・・・着いたぞ。鬼の里に。」
沙希の後ろから前を見ると、
周りは大きな丸太で壁を作ってあり、門と呼ばれるものが1つあった。
大体長さは30m以上だと思う。
沙希「颯澪、まずこの里に入るには3つの門を突破しないと行けない。その3つの門は羅生門と呼ばれ、鬼の怪力でないと開けられないそうだ。儂が先に門を押すから、お主は儂の後ろに付いてこい。」
沙希は言うのが早いか、門に手を付けて両手に少し力を入れて門を開け始めた。
第一門は重さ、第二門は精神、第三門は嘘か真か、らしい。
沙希は第一門を難なく開けて、第二門も普通に開けた。
第三門は自分で開くのではなく、門自体の質問に答えてようやく開けてくれるそうだ。
僕らは今、第三門で質問を受けている。質問は1つのみらしい。
その内容は、
門「汝、この門の先を通るのであるならば、嘘か真か、お主はどっちじゃ?」
僕「・・・・・?」
沙希「・・・なるほどのう・・儂ではなく、こやつに質問か・・・。さぁ、颯澪はなんて答える?」
僕は門の質問で頭がいっぱいになってしまい、沙希の言葉が頭に入ってこなかった。
嘘か、真か?どういう意味だろう?
僕は嘘は嫌いだし、真?真実?うーん?
僕「・・・じゃぁ、鬼の里・・で。」
僕の返答に門と沙希は口を開けて、ポカーンとしている。
沙希「・・・ぷっ・・ぷはははは!そう来たか!あははははは。」
沙希は突然腹を抱えて笑い出した。
門「・・・ほう、そうなるか。・・・いいだろう、鬼の里は歓迎する!」
門は開きながら、喋っていたので少し怖かった。けど、優しい感じがした。
門の向こうにはもうすでに日が暮れており、里の真ん中でキャンプファイヤーをして、それを囲んで酒を飲みながら踊る鬼達が居た。
鬼「おお!おい、みんな!酒呑童子様が帰ってきなさったぞー!」
鬼「何!?酒呑童子様!今日こそは私がお酒飲み比べ大会ナンバー1の座はいただきますよー!」
鬼「何!?それは俺が頂くんだ、お前には渡さねーぞー!」
鬼「おお、酒呑童子。源頼光に敗れて、封印されてたんだって?寂しくなかったか?」
沙希「はぁ~。お主たちは気楽でいいのう~。それと、お酒飲み比べ大会ナンバー1の座は誰にも渡さんぞ!ほれ、こっちに来て、一緒に飲むぞ、みんな!参加せよ!それと、
沙希は周りの鬼達と何やら、お酒の飲み比べをするらしいので、自分はどうしたらいいか分からなくなっていた。
鬼は大体、1mの者から10m以上の者までいた。まさに大小様々とはこのことだ。
僕は沙希の後ろから離れて、里の中を散策することにした。
沙希「颯澪!あまり、裏の方には行くなよ!酒を飲まされる羽目になるかも知れぬからな!」
僕「わ、分かった!」
僕は少し声を張って、沙希に返答した。
鬼「・・・ん?何で人間がいるんだ?」
鬼「お、酒呑童子様と一緒に居た餓鬼じゃないか。里に帰って来たのはあの餓鬼を案内するためだろうよ。まぁ、今は飲み比べに集中しようや!」
鬼「そうだな。おーし、俺は今7杯目だ。お前は?」
鬼「俺か?俺はな~・・・・」
などと、色んな人の会話が聞こえる。
里を回って数十分。
色んな鬼に話を掛けられそうになったけど、何の噂かが広まっていた。
最初の噂はこうだった。
・酒呑童子様が連れてきた餓鬼。
次はこれだ。
・酒呑童子様の連れ。
・・・意味を分かってはいけない気がするが、気にしてはいけない。
次、これは顔を真っ赤にしてしまった噂だ。
・酒呑童子様の夜這いされる者兼夫
・・・・これはさすがに脚色され過ぎて、弁解をさせてもらった。
それから、少し歩いたら和風な大きな門にお城が目の前にあった。
僕「うわー・・・大きいなー。」
僕はただ思った感想を言った。
??「確かに大きいよね?でも、中はもっと広いんだよ?」
僕「へぇー・・・ん?」
僕は突然の返答に最初はそうなのか程度だったけど、何で返答されたんだろう?と思ったから隣を見ると
??「やぁ、君が沙希の連れさんかな?僕は
青叉童子と名乗った赤髪の小柄な女の子はいつの間にか僕の横で一緒に目の前の門を見ていた。
何時僕の隣に来たんだろうと僕は思った。
青叉「ああ、君が門の前に居たから、こっそりと隣に立ったんだよ。これでも気配を消すのは得意なんだよ?」
僕の思ったことに普通に返答した。
僕「・・なるほど。」
沙希「それで?青叉はまた城を抜けたのかえ?」
青叉「ビクッ!・・・あはははは・・・今日は沙希が帰って来たから、僕も見に行こうかなーって思ったんだよ。あはははは・・・」
沙希の突然の登場に僕もびっくりしたけど、青叉はどうやらこの城から抜け出してきた様だ。
沙希「ほう・・・では、儂はここに居るんじゃ。お主も城に戻った方がいいんじゃないか?」
??「見つけましたよ、青叉童子様!また城を抜け出して!抜け出さなくても我々に言ってもらえば一緒に同行して、行けますのに!」
沙希の言葉の後に門が開き色んな鬼達がやってきた。
青叉「僕は一人でこの里を回りたいの!あんた達と一緒にいると、目立つから嫌なの!何でそれが分からないの!?」
青叉が怒鳴ると、そのまま何処かに行ってしまった。
??「!青叉童子様!」
沙希「お主は行ってはいけん。お主がまた行けば、青叉はまた逃げてそれを永遠に繰り返すだけだ。」
??「だが、それでは青叉童子様が!」
沙希「・・・はぁ~。お主は何も分かってないな。青叉がなぜ四天王の座にいるのか、本当に分かっておるか?」
??「そ、それは。」
沙希「
青叉自身の力で四天王の座に就いたのだ。あの娘の力は相性次第でそこらの強者も敵なしじゃ。それぐらい強い。そこで、提案だが。颯澪、お主が青叉の所に行って、説得して来い。お主なら何とかできるじゃろう。」
??「・・・その者が青叉童子様を何とかできる・・・と?」
僕「・・・え?何で僕?」
沙希「そりゃ、青叉は初対面のお主に懐いていたからのう。相性も良いじゃろう。だから、お主を指名したんじゃ。颯澪。」
僕「・・・分かった。・・・けど、場所分からないよ?」
沙希「それはお主の勘に聞けば分かるじゃろう。じゃ、儂は飲み比べ大会の続きをしてくるわ。」
僕「・・・・こっちかな。」
沙希はまだ飲むらしいので、僕は自分の勘を信用して里を歩き出した。
??「・・・・・これで、大丈夫なのだろうか・・・。」
続く
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