第2話 僕の名前

僕はあれから鬼達と話せるようになってきた。

最初は怖かったけど、晃司さんの後ろや頼光さんの後ろから隠れながらだけど、

話すことはできた。

鬼のみんなの間で僕と話をしたって噂が流れて、至る所で鬼に話を掛けられる。

晃司さんや頼光さんが居ない時だと、襖の隙間から覗いて喋っている。

そして、最近よく喋るようになった鬼がいる。

名前はさきちゃん。僕の世話係兼掃除屋の鬼。

僕がこっちに来てからずっとお世話をしていた咲ちゃん。

僕より年上だけど幼稚な所やおっちょこちょいな所がある。

後何人かいるけど、ここで一気に紹介します。

先ず1人目、名前はくろさん。掃除屋兼料理係

2人目、名前はれいさん。料理係兼僕の世話係

3人目、名前はぜつさん。僕の指導係兼掃除屋

4人目、名前はさつさん。主に家の指導係兼見回り係

今仲良くなっている鬼のみんな。全員名前が一文字なのは頼光さん曰く

『名前が長いと呼びにくいから』

だ、そうだ。

黒さんは殆ど家の中をぐるぐる回って、掃除をしている。

麗さんは咲ちゃんと一緒に僕の世話をしている。

絶さんは僕に勉強を教えてくれている。勉強がない日は黒さんといつも掃除を一緒にやっている。

殺さんはこの家にいる鬼達のメイド長的な存在だ。色んな鬼達に指示を出しては

家や周りの森の見回りをしている。

この家にいる鬼は増えたり、減ったりを繰り返している。

その中で一番多い時は500人以上だった気がする。

この時、頼光さんに『流石に多い気がするのでは?』と聞いたことがあるが

頼光さんは『あら?これでもまだ少ない方よ?』と言っていた。

これでも少ない?ということは、まだまだいるのだろうか?

僕は考えることをやめた。


それから数ヶ月経ったある日。

僕は頼光さんに頼まれて、山に自生している山菜を取りに来た。

僕「えーと、えのき茸としもの草とんん?ろ・・六青草ろくせいそう

何だろう?・・・っとこれかな?」

僕は紙に書いてもらった絵と同じものを見つけた。

色も同じなのでこれだと思い、背中に背負っている籠に入れた。

それから数分後・・・・

僕「・・・迷った。」

現在進行形で迷いました。普通に進んでいったら、いつの間にか霧の中にいました。

来た道を戻ろうとしましたが、失敗しました。

山菜取りに集中しすぎて、どっちがどっちだか分からなくなってしまった。

僕「・・・どうしよう?・・・ん?」

僕は途方に暮れていた時、小さくだけど声を聴いた。

??「・・・そ・・・に・・れか・・いるの・・・か?」

僕は声のした方を見たけど、誰もいなかった。

僕は気になったので、声のした方に歩き出した。

今の僕は6分の恐怖と4分の好奇心になっていた。羅生門はちょっと怖いです。

それから2分ほど歩いたら洞窟を見つけました。

洞窟はまるで人の手で作られたかのように石畳や松明があった。

僕は好奇心に負けて、奥に進みました。

その洞窟は案外小さくて、すぐに奥に着きました。

奥には一本の刀と赤くて黒い禍々しいような宝玉が1つありました。

その宝玉に一本の刀が刺さっていたので、周りを見ました。

周りには奥に進むように鬼の行進がえがかれていました。

そして、奥には小さな鬼達が5人いました。

1人は茨木さんと分かりました。今と変わらない容姿でした。

あとの4人は誰か分からなかったけど、茨木さんと3人は後ろに立つ鬼は

何か違いが判りませんでした。

僕はこの時、後ろに立つ鬼がここに居るのでは?と思いました。

なので、僕はこの刀を抜こうとしたのだけど、

?「!?やめろ!」

何処からか声がしました。

声が何処から発したのか分からないけど、1つ分かったのは声がした時、宝玉の色が少し変わったような気がした。

僕「何で?」

僕は疑問に思いました。こんなとこに1人でいるのだったら、誰かに助けを求めるはずだと。

?「・・・・儂は・・!?」

宝玉が何か言おうとしたところで、刀が独りでに動いて宝玉から抜けて、僕に向かって来た。

その刀の速度は速くて、僕でも直感で避けたけど少し頬の皮膚が斬れた。

僕「・・・つぅ!」

僕は頬の痛みで一瞬刀から目を離した。

その一瞬の隙が出来たせいで刀はこちらに向かってきた。

僕はその時初めて死ぬ覚悟をしました。ああ、ここで死ぬのか。と。

だけど、いつまで経っても、刀がこちらに来ないことに気が付いた。

僕は咄嗟に目を閉じてたので、それを開けると。

?「はぁ~・・やれやれ。まさか、こんなことになるとわの~・・・

なぁ?小僧?」

僕の目の前には黒色に少し赤みがある髪に真っ白な肌の少女が居た。

その少女はこちらを見るとその顔に2本の角があった。

僕はその時、奥の絵に描かれている鬼がこの少女だと思った。

そして、その鬼が掴んでいるのはさっきまで襲ってきた刀だった。

僕はびっくりして、声も出なかった。

?「・・?ああ、儂か?儂は酒呑童子しゅてんどうじ鬼怒樹沙奇きぬもと さきじゃ。気軽に沙希と呼んでくれ。皆からは酒呑童子と呼ばれている。鬼じゃ。」

酒呑童子・・・頼光さんから聞いた話によると、昔の鬼の大元、総大将らしい。

昔は色んな鬼を連れて、酒巡りの後の百鬼夜行と呼ばれていたをしていたのだと言う。

その鬼が何でこんな場所にいるのかと思った

沙希「儂は昔、頼光に敗れての。それからここに封印されたんだが・・・お主を見たその刀が反応して、封印が解けてしまったんじゃよ。」

百鬼夜行をしていた総大将を頼光さんが?と思ったけど。茨木さんも怯えているのが分かった気がしたので、これ以上考えないことにした。

僕「・・・何で僕にその刀が反応したの?」

僕はさっきから僕を刺しに来ようとしている刀に疑問を思った。

沙希「うーむ・・・それは頼光しか分からんからなー・・・それに、多分ここに来れたのもそれの所為じゃと思うんじゃが・・・一回頼光の屋敷に行って確認でもするかのう。」

沙希はさっきからブツブツと何か言っていたけど、ようやく決心したのか頼光さんの家に向かうことになった。

沙希「・・・それからずっと気になっていたんじゃが・・・お主の名は何と言うのじゃ?」

僕「え・・・?僕の・・・名前?」

沙希「そうじゃ。名ぐらいあるのじゃろう?」

僕「・・・うん。僕の名前は鬼神颯澪きじん そうれい

沙希「・・・・ほう・・鬼神家の・・・なるほど。あの時の小僧か。」

僕「・・・もしかしてだけど、沙希も茨木さんと一緒に僕の両親を?」

僕はあの時と同じような眼差しで沙希を見た。

沙希「・・・あの時は儂もあんな風になるとは思ってなかったのじゃ。

儂も嘘には敏感じゃが、洗脳をされては気付きたいにも気づけなかった。

すまぬ。」

沙希は茨木さんと同じように頭を下げた。

僕「・・・もういいよ。あの時のことはもう、割り切ったから。」

沙希は顔を上げると驚いたような顔をしていた。

沙希「・・・お主・・・すごいのう。子供なのに。よしよし、良い子良い子。」

沙希は何故か僕の頭を撫で始めた。

僕は何故かそれを受け入れてしまった。

懐かしかったから。頭を撫でてもらうのはあの時以来だったから。


僕達は家に帰って来た。

頼光「・・・で?何故沙希がここに居るのかしら?封印はどうしたの?」

沙希「こやつに解かれてしまってのう。封印の刀がそこの颯澪に解かれてしまったからのう。儂は止めたんじゃが。」

頼光「・・・はぁ・・本当なの?颯澪?」

僕「う・・うん。刀が急にこっちに来てね・・・アハハハ。」

頼光「・・・はぁ~・・・それで?沙希はどうするの?」

沙希「うーむ。・・・颯澪に付いて行く。それでいいかの?」

頼光「・・・まぁ、貴方の封印を解いたのが颯澪だからね。それで良いんじゃない?」

僕「僕は、どっちでもいいよ?」

沙希「うむ。颯澪もこう言っておるし。決まりじゃの。それじゃぁ、颯澪。契約をしようじゃないか。」

僕「・・・?契約?」

沙希「うむ。今の時代、妖怪の一体や二体、1人の人間が契約している。そうすれば、儂の力をお主にも送れる。どうじゃ?」

僕は悩んだ末に頼光さんを見た。

頼光さんはいつもの笑顔でこちら見ていた。

僕「・・・うん。いいよ。沙希とはこれから一緒になるんだから。」

僕は笑顔で沙希の契約案を呑んだ。

沙希「そうか。では・・・うむ」

僕「!?」

頼光「あらあら。」

僕は沙希の意外な行動にびっくりした。

その行動はいきなりキスをしてきたのだ。しかも、口の中に酒が入ってきた。

それを10秒した時、僕の胸の上あたりに印が浮かび上がった。

沙希にも同じ印が浮かび上がっていた。

沙希「・・・うむ。これで契約完了じゃ。颯澪?」

僕「あわあわ・・・」バタリ。

僕はあまりの出来事で気絶をしてしまった。

沙希「およ?気絶してしもうたか。初心な奴め。」

頼光「ふふふ・・・仲睦まじいわね~。・・・未成年にお酒は飲ませないで欲しいわね?」

沙希「あはははは。儂ら鬼族の契約は酒が必要じゃ。しかも、口移しだから難儀なことじゃ。」

そんな声が聞こえた様な気がした。

続く

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