第17話 若草祭について

 猗綺子さん。

 若草祭、大変ですよ?


「わかってます……」


 部活動勧誘発表会。

 考えること、いっぱいですよ?


「そうなんだよね。

 部活ごとに出し物を決めて、出すところと切るところを決めて、表現を考えて、描写する。

 大変だ、こりゃ」


 吹奏楽部はだめですよ。

 音楽でかぶっちゃいますからね。

「やっぱり、そう思いますよね」

 思います。

 和太鼓部とか、雅楽部とかもダメですよ。


「新聞部とか、天文部とか、サッカー、バスケ、バレー、あたりかな」


 そうですね。

 演劇部もダメですよ。

「なんで?」

 なんでって、音楽愛好部で寸劇やるんでしょう?

 かぶりまくりじゃないですか。

「そうか」

 そうですよ。


 大丈夫かな。


「あんまり大丈夫じゃない……」


 頑張らないと。時間もないことですし。


「でも、かぶってもいいんじゃない? あるていど」


 ダメです。

 これはプライドの問題です。

「えええ~」


 大丈夫。なにか思いつくから!

「自信満々だね、美弦くんは」

 いままでも、なんとかなってきたじゃないですか。


「いままで……?」


 あ、落ちこんじゃった。

 大丈夫ですよー。ひとつ、僕がアイデアを差し上げますから。

「なに?」

 文化部と運動部、ひとつずつにしましょう。具体的な出し物を描写するの。でもまあ、何をしたかはほかの部活も考えましょうね。


 とりあえず、部活動──出し物、ってことで。


「剣道部──模擬試合、とか?」

 そうです。

 柔道部も、模擬試合でいいんじゃないですか?

「かぶるのに?」

 具体的に描写しないなら、かぶっても可!

 でないと、なにも決まっていかないです。

「そうか……」


 頑張れ、猗綺子さん!


「おうー」


 (いまいち不安……)

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