放り出されて異世界
空を覆うものに観とれ、数枚舞い落ちる羽根を取ろうと一歩踏み出す。なぜ取ろうと思ったかは分からないが、竜翔は踏み出した。ただ踏み出したとき何かを踏んづけてしまい、よろめき転びそうになる。そのまま、26歳の竜翔なら転ぶのだがその時、自然にもう一歩足が出てふんばり持ちこたえ、舞い落ちる羽根取った。大きな一枚の羽根。それは白いが光を受ければ色々な色を見せる。羽根に気を取られてたか自分が転びかけた足元を見る。まず目に入ったのは自分の履いているものだが見慣れない靴。踏み跡のある袋のような鞄のようなものに、一振りの剣、ゲームや異世界ものらしい品々に色々思いつつ頭を掻く。
立ち上がったばかりだったが座り直し、踏んでしまった袋鞄を手に取って、中身を見てみた。現状頼れるのは、この中身と剣道などの経験ないがこの剣だけなのだろうと……なかに色々なものが正直なところ詰まっていて一つずつ並べてみた。銀貨の入った小袋に、用途不明の巻物、自分の使っていたスマートフォンに、両刃の短剣、火打ち石、筆と黒い塊に触ったことのない紙の束、磨かれた石の嵌め込まれた石板(タブレット)、赤い石の取り付けられたイヤリング。そして既に丸まった紙ひとつ。忘れていたが先程手に取った羽根がひとつ。
スマートフォンは電源は入るが、電池マークが違うものに置き換わり三重円に、電波受信のマークは消えている。画面に写し出されたのは暗い画面にアップデート中と言う表記に、目盛りの進まないバーと0%の表記。何をアップデートをしかもこの世界でされてるのかと思うところでもあるが電源ボタンを押す。
「ん?……ん!?これ……俺?」
画面を落とし、真っ暗な画面の中に顔が映る。暗い画面の鏡面効果で、映る竜翔の自身の顔を覗き込む。覗き込み顔に触れ、頬つつき引っ張る……顔は痛いし、頬が伸びる。自分の顔と認識するが……その顔は見覚えあるが違和感のあるもの。
「高校……時?って若くなってるってことだよな?え?」
説明なく若返りをしていた竜翔は戸惑いつつ、ちょい悪の言葉を思い出す。思い出すが嫌々と首を振り、他に何か説明ないのかと、巻物を開き、紙をめくり、丸まった紙をを開く。巻物には、謎の文字が数行と箇条書きのようなもののみで読めず。紙の束には何もない。この中で最後に残った。丸められて、くしゃくしゃになった紙を開いて目を通した。
[幸薄い竜翔君へ
本日は異世界転移の利用そして、成功おめでとうございます。今回この世界の成人に合わせて、年齢を大幅ダウンさせています。また肉体面は少し頑丈に作り変えました。親切だろ?サービスといったからね
それから異世界での生活に必要最低限の用意を鞄にそれから、防衛のため、護身のために、重いかもだけど鉄製の剣、短剣もサービスしておいたからね。
銀貨はしばらくの生活費に、盗賊に気を付けてね。
スマートフォンはこの世界でのお役立ちアイテムにするためにアップデート中。
巻物は君のこれからの歴史を記録する。それからこの世界の一般的な歴史がかかれた特製品。
イヤリング翻訳アイテム。聞く言葉しゃべる言葉、読む文字書く文字もこの世界の言葉に変換するよ。
石板(タブレット)は君の身分証。まあ持ってるだけで信用度が増すアイテムかな?
筆記セットは書きづらいかもしれないが結構重宝するアイテム。
火打ち石は夜間の安全確保で、火の加護はバカに出来ないぞ。
はじめてを色々経験するだろう。嫌なこともうんとするだろう。が君の可能性は私が保証しよう。根拠がないって?ふふ、君ならやれるさ……
無責任な神様かもしれない者より]
まことに無責任である。あれで終わらなかったのは、感謝すべきだろうとやっと思い始めたが、ただただそう言われても苦い顔をしてしまう。竜翔はくしゃくしゃの手紙を一様とって置くために袋にいれる。若くなった理由はこの世界の成人に合わせてと言う。あの土地で聞かされたのは16歳が成人と言うから十代になったと言うこと。苦い顔が困り顔に移り変わり、また頭を掻く。竜翔はイヤリングを耳につけ、その他の品は袋鞄に戻し、腰のベルトに剣を差して金具を固定する。今さらだが靴だけでなく衣服も変わっていた。地味な色のシャツにベスト、安っぽい外套、丈夫そうな動きやすいズボン。最後に肩に袋鞄を背負い用意が出来れば歩き出す。結局ちょい悪の意のままなのだろう。抵抗も出来ない、何もしなければ死ぬしかない。考えてももうあの世界も元の世界にも戻れない。この際、悲惨な最後だけは迎えなければいいとそのために進むしかない。進む以外ない。既に手遅れなのだから。
まずは町か村か人のいる地へ……
転移したってうまくいくとはかぎらない 創手カケラ @tukuritekakera
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