第4萌 双丘の罠(後編)
俺の名前は
父さんが入信したと言う教団モエッティの手がかりを探すために
彼女のともよん、友達のかもるとともに隣町、
アニメイタンにやってきた。
お店の前で萌え系のマウスパッドを手にした人に声を掛けられ
アンケートを書けばそれをもらえるとの事。
かもるが欲しがっていた物らしく、アンケートを書こうとしていた。
その店員らしい人の見た目はいかにもオタクと言った感じの服装
ボーダーのシャツにジーンズ、そしてピンク色のはっぴを着ている。
その表情はとても柔らかい。
***
(アレは危険なかほりがするのぅ)
突然俺の耳に声が響く。
「え?ともよん、何か言った?」
「ううん、私は何も言ってないけど」
「え?じゃぁ、一体この声はどこから?」
「神?どうかしたの?」
どうやら本当にともよんにこの声は聞こえていないみたいだ。
(心配するな、お前にしかこの声は届いておらん)
「え?」
(ワシはセクシーアイドル大全集の精じゃ)
「え、嘘だろ?セクシーアイドル大全集がしゃべってる?
俺、もしかして頭がおかしくなっちゃったんじゃ!」
(心配するな、お前の頭は正常じゃ。
神ヶ尾の血を引くものであればワシと心の中で会話が出来るのじゃ)
「じいちゃんが役に立つって言ったこの大全集がまさか
魂を持っているなんて」
(今はそんな事で驚いている場合ではないぞ、ワシにはモエッティの刺客を
探知する力がある。アイツはモエッティの刺客じゃ。
彼がアンケートを書いたらそこで試合終了じゃぞ)
「それにしてもなぜセクシーなおねぇさんの写真集なのに声はおじいちゃんなんだよ!」
(そう言う細かい所は気にするでない、とにかく早く彼を止めるのじゃ!)
いきなりしゃべり始めたセクシーアイドル大全集、とにかく今はこの言葉を
信じるしかない。
「ダメだ、かもる!そこにサインをしてはいけない!
そいつはお前をモエッティに入信させようとしているんだ!!」
そう言った瞬間その男の表情ががらりと変わる。
「ふふふ、さすがは神ヶ尾の血だ、鋭いモノを持っている・・・」
「やはりそうなのか!?」
「神、この人は?」
「ふふふ、教祖様から聞いていたんだよ、私たちの内部を探ろうとしている輩が
いると言う事を。そしてここに向かっていると言う情報を掴んだ。」
「お前は一体何者だ!?」
「私の名前はモエッティ第一の刺客!カタハリのスバル!
さぁ、かもる君、ここにサインを!」
やはりセクシーアイドル大全集の言うとおりモエッティの刺客か!
「かもる、ダメだ!!!」
かもるに静止をかけるもすでにかもるの表情もいつもと違う
「ヒカルたんの双丘ぅぅぅぅ!!!!!アンケートくださぁぁぁい!!!!!」
「無駄だ、こいつの頭の中はすでに支配した。
これが私の必殺技『双丘パラダイス』だ!!
この必殺技にかかった者は双丘にはさまれたくて、はさまれたくて仕方なくなるのだ。どこを挟まれたいかはここでは書かんがな」
「しょうもなさ過ぎる技来たわね」
「くっ!『双丘パラダイス』だと!それがかもるをおかしくした原因か!
このままじゃかとるが完全にモエッティの人間になってしまう。
どうしたら、どうしたらいいんだ!」
(止むをえん、お主に力を与える時が来たようじゃな)
「力だって?」
(あぁ、お前のじいちゃんから聞いているじゃろう、
ワシはお前にモエッティを探すだけではなく浄化する力も与えるために渡されたのじゃ!)
「そうだ!じいちゃんは言ってた、コレを胸に当てれば力が湧いてくるって!」
じいちゃんから過去に聞いた記憶が蘇る。
「神?どうしたのいきなりセクシーアイドル大全集を取り出して!」
「じいちゃん、俺やるよ!!セクシーアイドル大全集よ俺に力をかして!!」
「2次元の写真集を出して、そんな物で私を倒せるとでも思っているのか!
お前もすぐに虜にしてやる!くらえ!『双丘パラダイスぅぅぅ!!!』」
「ヒカルたんの双丘にはさまれたーい!!!!」
「これは完全にカオスな状況ね・・・」
なぜだろうこの大全集を胸に当てているだけなのに心の底から力が湧いてくる
「行くぞ、必殺『リ・ア・ル 壁ドーーーーーンンン!!!!!』
・・・お前を必ず落とす」
「凄い!神がおっさんに壁ドン!これは絶対に、絶対に使えるわ!!!やば、つい大きい声出ちゃった」
「な、なんだと、男から壁ドン、しかも超イケメン
私は今まで一体二次元に何を求めていたんだ・・・
こんなに素敵な世界が現実にあるじゃないか・・・男同士の
リ・ア・充!!!!!!!!!」
(よくやったぞ、とりあえず奴からモエッティの呪いを解き浄化できた)
勝手に体が動いたと言った方が感覚的には近いかもしれない
壁ドンと言う言葉は知っていたけどまさかこんな所で男の人に
やる事になるとは。
とにかく俺やったよ、やりきったよ!大全集ありがとう。
「かもる、大丈夫か?」
「僕は一体・・・?確かヒカルたんのマウスパッドがもらえるはず!!」
「必殺技の効力は切れたみたいだね」
「とにかく無事で良かったわ!」
スバルさんも悪いものが抜けたようにすっきりとした顔をしている。
「カタハリのスバルさん、モエッティの情報を教えてくれませんか?」
「すまない、神君、実は私は最近モエッティに入ったばかりで詳しい情報は
持っていないんだ。でも、ここから近くにモエッティの虎谷町支部がある。
そこに行けば何か情報が手に入るかもしれない。そこまで私が案内させてもらうよ。」
スバルさんが嘘をついているようには見えない。
「そうですか、とりあえず支部への案内をお願いしても良いですか?」
「分かった、案内しよう。」
と言う事で俺たちはスバルさんの案内でモエッティ虎谷町支部へ行く事になった。
今回はセクシーアイドル大全集に助けられモエッティの刺客を浄化する事が
出来たが次も上手く行くかは分からない。
とにかく次回の話も楽しみにしてくれよな!
「ヒカルたんの双丘はいずこぉぉぉぉ!!!!!」
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