第3萌 双丘の罠(前編)

僕の名前は鴨乃端渡(かものはしわたる)16歳の高校一年生

ただただアニメが大好きな好青年さ!

今の推しアニメは無論の如く「美少女祈祷師ヒカル」

祈祷師のヒカルたんがばっさばっさと敵を倒してく姿はもう素晴らしいの一言。

黒く光る長い髪の毛は最高カモ!

春休みに入ってゆっくりアニメ鑑賞に浸ろうと思っていたのに

神ヶ尾俊平(通称神)と三次元の女に邪魔をされた。

どうも神のおやじさんの居場所が分かったらしい・・・

萌えを推進する新興宗教「モエッティ」

そこに手がかりがあるとのこと

モエッティ如きが二次元を語るなど笑止千万

良い機会だ、これは僕が本当の二次元の素晴らしさを説くしかないカモ。

と言うワケで神と三次元女と一緒にモエッティの手がかりを探すべく

隣町の虎屋町にあるアニメイタンにレインボーサイリウムを持って向かうことにしたのさ。


***


「あにめいたーん、あにめいたーん、ヒカルたんの新作アイテムあるのかな~♪」

あぁ、アニメイタンに行けると思うだけで胸の高まりが半端ない、ついつい鼻歌まで

出てしまう。


「おい、かもる!今日は買い物に行くわけじゃないんだぞ!」


「何だよ、神。せっかくアニメイタンに行くんだからちょっとくらい見てもバチは当たらないさ」


「あくまで目的はモエッティの情報を得る為なんだからそこを間違えるなよ。」


「はいはい、分かってるさ、でもヒカルたんの新作アイテムだけは譲れないカ・モ」


神がたしなめてくるけどそんなのお構いなし


「まぁ、神いいじゃない。かもるくんの目的はどうであれ最終的にモエッティの情報が入れば。」


「そうなんだけどさ・・・」


ふん、三次元女風情がヒカルたんの良さを何も知らないくせに!

何も言わないでおとなしく着いてくればいいのさ。

そんなやり取りをしながら三人で歩く。

そして見えてくる、僕の大好きなアニメイタンが!


「そろそろアニメイタンに着くカ・モ~」


「ここがアニメイタンか」


「あぁ、芳しき二次元の匂いが・・・何度来てもいい」

アニメイタン虎谷町店は美少女アニメに傾倒していて僕好みの作品多数

僕のおススメ、「美少女祈祷師ヒカル」はもちろんの事

「夢想ランドセル響ちゃんの生活」「鏡の世界 ミラーヌ」

今期推しアニメに漏れはない。

来月にはヒカルたんの中の人、大人気声優の小早川愛流(こばやかわあいる)

愛称は「ばやいん」がインストアイベントをやるんだよ

これはマスト、マストなり!!


「かもる、この辺でモエッティの勧誘を行ってたんだろ?」


「そうだよ、この辺りで勧誘のチラシをもらったのカ・モ」

そう、確かにこの辺でモエッティの勧誘が行われていたはず。

ピンク色のマントに身を包んだいかにも怪しい奴だった。

そんな事を思っていると威勢の良い声が聞こえて来た。


「いいのあるよ~、激レアアイテムあるよ~

さぁ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい」


アニメイタンの店舗の前で露天商のような人が声を出している。

ってアレはもしかして!!

「あぁ~~~!!!コレは美少女祈祷師ヒカルたんのマウスパッドぉぉぉぉ!!!!

限定品だったからすぐ売り切れちゃったのに再販していたのか!!!!

俺としたことが情報漏れがあったカァァァァモォォォォ!!!!」


「おい、かもる?」


「どうしたって言うの、この興奮ぶり!」


「お兄さん、お目が高いねぇ。

そうそう、これは美少女祈祷師ヒカルの限定マウスパッド

柔らかい双丘があなたの腕の疲れを軽減させてくれますよ~

しかも、今ならアンケートに答えて頂くだけでこのマウスパッドを

プレゼント中!!」


「あぁ、これは欲しい、まさかの出会いだ

これはいつも僕が良い子にしていたからこその天からの贈り物カ・モ・・・」


「かもる、今はそんな事してる場合じゃない!

早くモエッティの情報を手に入れないと!」


「うるさぁい!!これは千載一遇のチャンスなんだ!

これから僕の腕は常にヒカルたんの双丘に癒されるんだ!

何人たりとも僕を止めることは出来ない!!」


「暴走モードね、完全に」


「店員さん、早くアンケート用紙ください!」


「お兄さん、そんなに急がなくても今渡しますよ、ふふふ

あなたは本当にヒカルたんがお好きだ、ここにサインしてもらえますね?」


ついにヒカルたんの限定マウスパッドを手に入れる時が来たのカ・モ

モエッティの情報なんて後回し、僕はやるぞ、僕はやってやるぞー!!!


後編へ続く

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