第10話
何が起こった?
目の前で消えゆく人。動物。草木。
何が起こったのだろう?
自分の見ていることが信じられない。
死体。屍。骸。残骸。内臓。骨。瓦礫。
何が起こったのだ?
目の前には自分以外の者は居ない。物が無い。
動く者は自分だけ。
立っている者は自分だけ。
動かないものはそれ以外。
何もかもが目の前で消えた。
何もかもが目の前で死んだ。
何もかもが目の前で灰になった。
何もかもが目の前で居なくなる。
こんな気持ちはもう嫌だ。
こんな想いはもう嫌だ。
こんな自分はもう嫌だ。
無くなりたい。消えたい。居なくなりたい。
そう願ったのは自分なのに。
そう思ったのは自分なのに。
何故?なんで?どうして?何がどうなった?
願った事は起こらず。違う事が起こって。
願いとは逆に。
願いとは裏腹に。
目の前の全てが。
目の前の全部が。
目の前の自分以外が。
自分以外の全てが。
自分以外の周りが。
全部、ぜんぶ、ゼンブ...
何もかも。
何もかもが一瞬で。
何もかもが瞬きの間に。
どうしてなんで?
何がどうしてどうなって?
何がどうしてどうなった?
自分が願ったのは自分の消去。
自分が願ったのはこの世からの抹殺。
なのに。なのになのになのになのに……
消えたのは自分以外。
自分以外が消えた。
なんのために?なんでこうなった?なんでいる?なんでいない?なんでない?
なんでなんでなんでなんで…………
考えても分からない。
分からないから考える。
考えても答えは出ない。
答えは出ないから考える。
そうして私は考える。
そうして僕は考える。
そうして俺は考える。
そうして我は考える。
そうして儂は考える。
そうして己は考える。
そうして、そうして。
こうして、こうして。
この星は、この地は。
この地は、この星は。
何もかもが生まれて。
何もかもが成長して。
何もかもが進化して。
何もかもが後退して。
何もかもが衰退して。
何もかもが後悔して。
何もかもが亡くなって。
何もかもが無くなって。
全てが回る。周る。廻る。まわる。
全てが巡る。廻る。囲る。繞る。めぐる。
自分以外の。全て。すべて。
自分以外の。なにもかも。
亡くなった。亡くなった。なくなった。
言葉は紡がれ、紡いで。
物語は語られ、語り。
愛は囁き、囁かれ。
想いは巡り、巡られて。
この世は創り、創られて。
もう何もない。自分以外が。自分以外の存在が。
そうして巡る。自分だけ。
そうして続く。自分だけ。
そうして。こうして。ああして。
何を考える?何を考えた?何を思った?
もう自分だけ。もう他はない。
どうする?どうしよう?どうすればいい?
何もない。何も出ない。何も出来ない。
そうしよう?そうする?そうなのか?
全てが自問自答。
全てが自作自演。
だって。だって、だって…………
もう、ここには。
もう、この世界には。
もう、この世には。
もう、この惑星には。
自分独りなのだから。
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