第9話

子供の読む童話のようにハッピーエンドもいいかもしれない。


大人の読む童話のようにバッドエンドや悲しい終わり方もありかもしれない。


そのどちらでもない、バッドでもハッピーでもなく可もなく不可もない、平凡な現実のような終わりが一般的ってやつだろうか?


どれも良くて、どれも嫌で。

全部経験したいし、全部経験したくない。

人間は、本当に身勝手で理不尽で。

けれども動植物にはないような感情•感性を持っていて。


群れているようで一人。

一人のようで群れていて。


群れたがる人間こそ、本音は一人が良くて。

一人が良いと言ってる人間こそ、群れたがりだったり。


最後は、最後に自分の最後を決めるのは、自分であってほしい。

それが叶わなくても、少しでも理想に近づければ良い。


そんな、終わりのない事を永遠とも言える一瞬の中で考えていると、ふと名を呼ばれた気がした。

振り返ると、誰もいない。左右を見ても。勘違いだったらしいので、とりあえず思考再開。

最後や終わりについては、もういいや。今は、今日のこれからか、ご飯について考えよう、うん。


カリカリ。しっとり。それとも手作りかな。


思考を切り替え、窓際でルンルンしながら眠りにつく。


最高の一時だ。


−−−−−−


空の果て、地の果て、世界の果て•••

色々な『果て』ってよく聞くけど、結局どこにある?誰か行ったことあるのだろうか?


手を伸ばして届くものなのか?でも、人はそれでも手を伸ばす。届かないとわかっていても。


誰が言い出したのかも分からない。でも、夢をみる。希望を、幻想を、野望を抱く。


こうして文章にするもの。

絵を描くもの。

詩を書くもの。

曲を作るもの。

イメージを抱くだけのもの。

色々いる。


•••さて、こんな風に考えていても纏まるものではないし。


「ね、−−−。」


相棒に話しかけたところで返事はおろか見向きもされないから、ぼそっと聞こえないくらいの声で呟いて外へ出る。


これからご飯の支度をしよう。

一人と、一匹分の。

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