第31話 三学期
三学期が始まった。生徒会最後の学期。
すでに、生徒会にイベントを期待する傾向は止まらないようだ。榊すでになんか考えてた? イベントの要請がなくてもやりかねない感じであっという間に企画を立てた。相変わらず個人的な質問はゴミ箱へと消えて行くアンケート用紙。
これ資源の無駄だよね。やっぱり。なんかに使いたいけど表が表なんで使えない。なんてこと聞くんだ! 無記名でこれを聞いて答えをどう発表するんだよ。
「学校内全部でお化け屋敷! 生徒全員がお化け!」
榊なんで発想がそんなにデカイの? 普通それは文化祭とかでやるよね一クラス単位で。なぜ学校内全部でなんだ? しかも今は冬なんですが一番寒い今にするのか? というか学校内全部でお化け屋敷してお客さんは誰?
「全員でお化けやったら見る人いないじゃない?」
「保護者と先生だよ」
「……」
保護者と別居中の榊が保護者を呼ぶって企画を出すんだ。わからない奴だよ君は。
「いいな!」
「そんなの聞いたことない!!」
ああ、またこの二人に火をつけちゃったよ。ノリノリの柏木と橘。
ということで、先生もノリノリなのか、なぜか学校にあるお化けに使うコスチューム。お化けの仮装に使えそうなコスプレも加えて写真に撮ってプリントアウト。そのまま三年の学級委員へ渡した。三年生は今は忙しいからね。足りない分は手作りになる。他の学年は全員手作り。お化けのコスチュームとコスプレグッズと手作りの衣装で全校生徒の仮装がスタートする。はじめはクラスの二名だけの仮装だったのに。気づけば全校生徒のコスプレが当たり前みたいになってるし。
「俺らは受付するから」
と榊は相変わらずコスプレしないんだね。ということで柏木と橘、私と榊で交代で受付ということになった。
前日まで衣装作りや教室を飾る道具作りに精を出すクラスメイト達を手伝ってます。みんなイキイキしてるね。あの障害物競走が嘘のようだね。いや、あの時から男子はやる気を見せていた。
今回は名付けて『冬のお化け屋敷』だそうだ。ネーミングセンス相変わらずない榊。まあ、いいけどみんな楽しそうだし。
前日の放課後はもうクラブも全部休みにして教室を飾りつけて、道具を配置して行く。窓は暗くするため塞がれていく。みんな結構本格的にやるのね。
お化け屋敷、イベント当日! 榊……なぜに私に袋を渡す。
「何これ?」
「仮装だよ」
「いや、受付でしょ?」
そう言ったじゃないか。
「俺らもやるから。な!」
「そうなの」
早く行かないとみんなが着替えるのを待ってるし開始時間まで時間もない。
「わかった」
というわけで更衣室へ使われる教室へ向かう。何せ全校生徒の仮装となる。女子だけでも部屋も何部屋も使う。それでも大混雑。多いんでそれぞれ衣装は個人で管理してもらう。さて一番空いてそうな場所へ。それにしてもやたらに袋がデカイいんだけど何が入ってるの?
開けてわかった。猫耳が
コロン
と落ちて、拾う。これは……メイド服と一緒に薄着なんで上から羽織る物が入っていたから、かさばってたんだねって! そこまで気を使って私のことを思ってくれるなら却下してよ! みんなは時期が時期だからそれなりに防寒してるし、お化けでいる場所は教室の中なのに。私は受付だよ! 一応建物の中だけどね。寒いから。ドアもあるけど開きまくりじゃない! 来客するんだから。まあ、高校生の保護者がお化け屋敷にどれだけ見に来るかは疑問なんだけど。
仕方ないみんな着替えてるし。ってか、これのどこがお化けの仮装なんだろう。また着たら私がただのメイド服好きだって思われるじゃないか! 榊、あのおでんの日! 寒さ加減を見るために着せたんじゃない、一度私に。
全員が着替えて教室に向かったのでそれぞれの更衣室に鍵をかけて受付へ行く。みんなお化けに仮装してテンションが上がってるのか私の仮装に気づく人はいない。
受付には……それズルい。榊と柏木と橘みんな同じ仮装いや! 仮面つけてるだけじゃないか! しかも顔半分に。
「なんで私がこれでみんなはそれなわけ?」
「橘と柏木と選びに行って決めたんだ。いいだろ?」
「まさかこれも?」
私の衣装を指す。
「ああ、お前は化け猫だ」
化け猫に見えないって、なぜ化け猫がメイド服着てるの?
「もしかして生徒会費で?」
「もちろん経費だからな」
生徒会費で遊んでる榊と柏木と橘。
「じゃあ、ここは頼むね。俺らは他のクラス見てくるから」
橘と柏木は去って行った。いや、それは会長の仕事じゃないのか?
「耳つけろよ。化け猫に見えないぞ!」
いや、つけても化け猫には見えないけど。あきらめて猫耳をつける。テーブルには各学年ごとにそしてクラスごとに名簿が並んでいる。空欄には人数を書いてもらう。どれだけ来るのかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます