第25話 結果と次へ
翌日朝から一年生には投票用紙が配られたみたい。一年生とは階が違うがチラチラと見に行ってしまう。用紙の色は黄緑色。黄緑色の投票用紙を持った子がいる!
「何をしてる香澄。目力ではどうにもならないぞ」
「目力ってなによ?」
榊の不思議なツッコミを受けつつ観察してたら、何時の間にか橘も柏木も来ていた。みんな気になる生徒会一回目の投票!
さて、お昼に見に行きたいけど、今が投票するにはちょうどいい時間。放課後まで待たないと。そわそわ、黄緑色の用紙を持った子がウロウロしてるの目にしたけど、用紙が目立つ色だし気にしてるからか、やたらと目に付く。
放課後に榊は生徒会室の鍵、柏木と橘が投票箱を取りに行くことになってたけど、我慢できず箱を取りに行くのについて行ってる私。カシャカシャ振ってみたり中を覗いたりして中身の多さを確認。結構入ってる。紙は丸をつけるだけなので小さいし、これは集まってるか? ただし廃止に賛成と丸してないと意味がない。
中を気にしてたから歩く速さが遅かったのか榊はもう生徒会室に来ていた。
「香澄がいないと思ったらそっちについて行ってたのか」
私の朝がかかってるんだから! 勝手に巻き込んで、毎朝人の家で朝ごはん作って食べてる奴に言われたくない! まあ、私もそれを食べてるんだけど。
今日は一箱の中身をテーブルへと、とそこへ
トントン
ノックの音。放課後の生徒会室に訪問者が来るのは珍しい。生徒会に入りたいという女子は大抵お昼休みの時間にやってくるから。
ガラガラ
っと開けるとそこに立っていたのは先生だった。先生、投票結果を我慢できず見に来たようだった。
「今から集計するんです」
「おお! そうか!」
先生はあくまで見届けるようだね。
みんなで分けて行く。賛成票が多い! 明らかに多い!!
榊と柏木が朝の生徒会長の門の挨拶を廃止の賛成票を数えて、残りの反対票を橘と私が。十ずつに分けてクリップで留める。反対はあっさり終わり十ずつに留めるのも一つで終わり十四票だった。残り百七十二票のうち何票あるのか? 圧倒的にこっちが少ないからこれでいいじゃないのって言っても先生には通じないよね。
「出来た」
「一、二、三、四、五……」
百六十五票もあった。意外にみんな真面目に投票している。朝の生徒会長の門の挨拶がいかに不評だったかわかる。
「先生あの百六十五票対十四票なので……」
先生ショックを隠しきれてないよ。きっと先生の発案だったんだね。朝のあれ。
「ああ、わかった。では来年度から廃止ということで、掲示板に張り出してくれ」
「はい」
って言葉も聞いてるのかガックリとうなだれて先生は生徒会室を去って行った。
って! 来年度? どういうこと!
「榊、来年度からって」
「ああ、許可をもらう時に来年度からって先生に言われてたんだ」
……先に言ってよ、期待して膨らんでパーンと割られた風船の気分だよ。もう。明日か明後日にはこれも終わるかもと思っていたのに。酷い!
「榊……バカ!」
あ、笑ってる。しかもみんなで。知ってたなこいつら! 一年生の投票を見てたんじゃなく私がそわそわしてるの見て楽しんでたんだ!
「さあ、次はコンテストだ! 何やる?」
榊が本気モードで話し始めた。ああ、ただの前座で練習だよ私は。
柏木は一人さっきの投票の結果報告をまとめて掲示板に張り出す結果報告書を作ってる。柏木が真面目にやってる横で、橘と榊の不真面目なコンテスト選びがはじまった。そんなコンテストを決めてどうするんだ? 全く実にならないこの話。しばらく萎れてた私もいい加減、参加をはじめる。柏木も終わったらしく印刷している横から発言。っていうかそれはコンテストじゃない! とかツッコミいれつつ生徒会室には生徒会らしさは一瞬しか訪れなかった。
まあ、いいや。来年度の生徒会長に立候補してくれた人は真面目に仕事をしてくれるだろう。あの朝の業務がなくなったんだから立候補いっぱいだよね。来年になっても三年生で私はまだこの学校にいるんだから、こんな生徒会じゃあ困るもんね。
「美男子コンテストは?」
なんとなく思いついて言ってみた。
「えー!」
「それは」
「する意味ない」
する意味ないコンテストを散々言ってきた榊に言われたくない。ここでさっきの仕返しを思いついた。ここにいる全員に報復だ!
「あるって、ほら世の中にもたくさんあるじゃない。意味があるのよ。きっと」
自分で言ったけど意味が見出せないので世の中を巻き込んでみた。
「じゃあ、女子もやろう」
柏木が諦めて妥協案。きっとこのコンテストらしいコンテスト案に同意しないと次に何が起こるか心配になったのかな?
「そうか、うん。そうだな。じゃあ、用紙を男女に分けて男子は女子を女子は男子を選ぶってのは?」
「自分票をもなくなるしいいねそれ!」
橘案に柏木も同意してる。榊どうする?
「じゃあ、今回はそれで行くか」
なんだろう今回はってのが気になるけどまあ、妥当な案におさまったし、きっと三人はランクイン間違いなしだね。
「あ、景品は?」
せっかくのコンテストだし、文化祭は部活での活動だったので経費が予想を下回った。さらには喫茶店は儲けまで出てしまった。
「それならさっき出た朝の門に立つのを一週間っていうのは?」
柏木ナイス案! それをやる間私が一週間も休めるじゃない!
「えーでも、それだと嫌がらせ投票が入るぞ!」
榊! 嫌がらせ投票が入る件に毎朝私を巻き込んでるんだけど。
「じゃあ、トップの男女には特典付き。ただし開票後に発表にすれば?」
おお、橘もなぜかものすごく乗ってきた。
「あ、でもクラブで朝練ある人が当たったら?」
陸上部で朝練してた橘を思い出す。
「ま、それは決まってからでいいんじゃない?」
え? 橘なぜそこはフワッと話をまとめるんだ。
「そうだな。じゃあ、今回はそれで」
また榊の今回はが出たよ。何かコンテストしたいことでもあるのかな?
という訳でいつものようにフワッと話し合いは終わる。榊が先生に確認取らないと話を進められないしね。
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