第26話 私の企画
翌日のお昼にまた生徒会室ではじまる箱の名前付け。いいってこの前ので。今回のコンテストも先生の許可はおりた。意気消沈し過ぎでスルーで許可したんじゃないの? またまた生徒会らしからぬイベントなんだけど。言い出したのは私なんだけどね。
箱の名前は『美男子・美少女決定! 箱』って長々しい名前をつけて落ち着いてしまった。投票箱のなにがいけないの! 最後の箱が無理矢理感たっぷりなんだけど。
そんな訳でまたもや柏木は学年とクラスと名前を書く用紙を作成。男女別に色分けして作成する。
そしてこの二人。イキイキ箱の装飾をしてる。装飾を変える必要性があるのか? どうせ柏木が作った箱の名前を前面に貼るのに。
今度は先生には頼めない。不真面目なコンテストなので各クラスの学級委員にお願いに行く。ちょうど学級委員の会議があるというのでそこでクラスの人数分男女別に投票用紙を渡して終わり。
真面目な学級委員の会議をぶち壊す生徒会。いいのかこれで?
翌日の朝に学級委員から配られた不真面目なコンテストの用紙。今度は私にも配られた投票用紙……あっと……誰に入れよう。
もちろん榊だ! 朝の門に立たせてやる! あ、立たせ続けてやる。どこかの女子と!!
昼にはもう生徒会の面々も投票をし終えていた。投票箱の使い勝手や机低くないか? とか完全なる実験コンテストになってるよ。今回……次回もあるんだね。きっと。
放課後に榊は鍵を私は二年生の投票箱を回収。橘と柏木も一年と三年の箱の回収に行ってる。
相変わらず中の多さが気になる覗いてもこの前の一年生の箱より大きいからどれくらいかわからない。まあ、三分の二以上とか関係ないからいいけど、あんまりにも反応なかったら凹むな。学級委員まで巻き込んだのに。
生徒会室にはもう三人とも集まっていた。投票箱の中を気にし過ぎの私が遅れたようだった。テーブルには黄色と紫の用紙がある。奇抜な色だなこう見ると。一応普通にはない色をチョイスしているから。三人はとりあえず色分けしている。
「持ってきたよ。ここに出してもいい?」
「ああ」
なんかうんざりしてる榊の声。すぐにうんざりしていた理由がわかる。二者選択の前回とは違って個人の名前がそれぞれ書かれている。二年生でも知らない名前が多いのに三年生や一年生だとさっぱりわからない。
とにかく目に付く多くの名前の男子を分ける私。こっちの方が固まってるから集めやすい。なぜか私は男子の回収役になってるんだけど。橘を集め、榊を集め、柏木を集めるとずいぶんスッキリする。あとは見知らぬ名前の数十名の三年生と一年生の何人かの投票用紙を集めていけばあとは少数意見みたいだった。
「ねえ、これ何位までだす?」
もうすでにどう考えても決まってる上位だけの計算に移りたい私なんだけど。
「五位にしよう。もうあとは面倒だ」
面倒って言い切ったね榊。
というわけで柏木にもらった紙にクリップで留めた数と名前を書いていく。
……三年生の人気ナンバーワンを抑えてなぜこの三人が……榊は転校生だし柏木はメガネオタクをずっと演出してたのに。
一位橘、二位榊、三位柏木、四位五位は三年生となった。
橘! 朝練出るのが嫌で賛同したんだなあの特典! 恐るべしモテ男。
「おー、一位は瞬か、予想通りだな」
「おし! 朝練免除!」
橘、特典の内容が違ってるから。
「そっちは?……なんで! 誤魔化したでしょ?」
一位に私の名前がある。嫌だ! 朝休みたいよ!
クリップで留めた私の名前を確認してみる。次は二位との数を数える。……メガネ取るんじゃなかった。生徒会にいるから目立った? 朝の校門で目立った? メイドが目立ってた? 二回も着てるし。っていうか………私の企画だあ!
「香澄、朝遅れんなよ!」
イキイキしてるよ。多分どこかの部の試合近いんだね、橘。
って、事で生徒会の面々が連なる結果発表。特典が特典なだけに非難は受けずに済んだが、やるんじゃなかった。
朝門の前、なぜか橘と私のはずが榊も参加。榊、好きなの? これが好きになったの? 朝の黄色い声援が大きく感じるのはなぜだろう。橘か? あの投票通りなら仕方ないか。
投票箱はまた意見箱に姿を変えてまた各学年の廊下へと旅立った。質問が個人的になるよ。そりゃあ、あの順位なら。
生徒会のメンバーの名前だけだとあまりに気が引けたのか順位外の名前も投票数なしで書き入れた柏木。気持ちわかるよ。女子は私一人だけど男子は五人中三人だもんね。あの順位。
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