第24話 投票

 二学期に入り音楽祭はどうやら真剣ムードのようで生徒会に声がかからぬまま、熱い季節から肌寒い季節へ移り変わって真面目に練習の日々が過ぎ音楽祭は真面目に終わった。……榊が音楽祭にはメイド服を断った私の言葉に反応しなかったのはこの為だったんだ。音楽祭の事を橘か柏木から聞いてたんだ。




 そして、忘れてた頃に開けられるアンケートの箱。セールスお断りのような生徒会メンバーへの個人的な質問はお断りとかいう札がほしい。紙の無駄なんだけど。アンケート用紙のほとんどはこれなんだよね。いつもはこれに感想になるけど、今回は何もしてないからね。ストレートになにして欲しいは少ない。今はみんな音楽祭で疲れてるしね。


「お! これいいな。コンテストだって」

「コンテスト? どういうコンテスト?」


 ざっくりコンテストって言われてもね。


「コンテストする前にさあ、あの朝に生徒会長が門に立つっていうのを続けるか続けないかっていうのを投票するのはどう?」


 柏木から救いの手が来た! 朝のあれ、朝が苦手な私にとっては苦痛なの。いや、もうそれ以上だね。毎日毎日!


「賛成! あれで毎年生徒会長の立候補ないならすごい役立つ投票になるよ!」


 力説するよ、朝が苦手な必死な私。


「次に生徒会長になる可能性のない二年三年は愉快票になる可能性が高いから、一年生だけでやった方がいいね」


 柏木がなぜかわからないけど話をどんどん進めてくれる。


「じゃあ、先生にコンテストのイベントを行う事前の練習も兼ねてやるって言ってみるよ」


 やっぱり榊もあれ嫌なんじゃないか! 毎朝張り切ってうちに迎えにくる割には門に立ってる時はヘビーな顔だもんね。いくら私がいてもずっと私と話っぱなしって訳にはいかないもんね。あれは試練だよ。




 アンケートには他にいい案もなかったので、箱は投票用に使うから二年と三年の箱はこのまま保管して、一年のだけ張り替えて投票箱にすることに決まった。




 今日はこれで解散。先生の同意がないと進められないからね。先生、朝のあれ気に入ってるんだろうな。どうするんだろう。同意するんだろうか? コンテストって話につられて同意してくれたらいいのにな。




 翌日のお昼。榊から先生の同意を得たと報告!


「やった!」


 心の声が出てしまう。


「ただし投票が一年生の3分の2以上あり、かつ賛成が過半数を超えた場合に認めるだって。あと投票用紙は一人一票になるようにって言われた」


 先生あれやめたくない雰囲気かもし出しすぎだよ。厳しいな。今までと違いすぎだよ。条件が多いし。


「投票用紙は色紙にして朝各クラスで配ってもらって、放課後に回収すれば問題ないんじゃない? 考え込むような内容じゃないんだし。賛成と反対に丸をつけてもらうだけなら投票率もあがるんじゃない?」


 柏木偉い! なんだかんだ、朝の門に立ってないのにめっちゃ考えてくれてるね。


「じゃあ、放課後に用紙の作成と箱の作成をしよう。箱は放課後に設置して帰れば朝からの投票にも間に合うしな」


 アンケート用紙はもうすでになくなってるので回収はいらないしね。榊の提案でお昼は解散。


 なんか生徒会の恒例行事をなくすなんて生徒会っぽいな! はじめて生徒会っぽい!!




 で、投票用紙の作成は柏木が頑張っている。箱の装飾を少し変えるだけなのに、また名前でもめる橘と榊。


「投票を! は?」

「投票して! は?」


 いや、願いをこめてどうするの。


「普通に投票箱でいいんじゃない?」

「えー! 普通だ」

「面白みがない」


 投票箱に面白みは必要じゃない!


「投票箱by生徒会は?」


 柏木……by生徒会、好きだね。


「お! いいなそれ!」

「それで行こう!」


 私の案に“by生徒会”つけただけじゃないか! 毎回毎回!!

 柏木がまたもや作成したものを箱に貼り付けるだけで終了。柏木しか働いてない気がするんだけど。投票用紙は各クラスの担任の先生に配ってもらうからか、いたって普通の用紙になってる。柏木使い分けてるね完全に。箱の設置をしに行く橘と柏木と先生に用紙を渡しに行ってそのまま生徒会室の鍵も返す私と榊。今日はこれで解散。




 さて明日一年生百八十六名の投票は三分の二以上集まるのか!?

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