帰宅

「じゃあ、またね」


 見慣れた黒の外壁。白色のドア。

 静寂がひっそり佇んでいる。

 私の家。

 よかった、電気消えてる。パパもママもまだ寝てるみたいだ。

 大和さんが私に手を振った。チャーリーさんも、車窓から顔を出して「またな」という。


 またな。

 そうか、これからも会えるのか。

 なんだか不思議な気分だ。

 空を飛んでいたら、同じ羽根を持つ人に出会って、気絶して、教会に行って。

 どんなラノベだ。

 ものすごく濃い一夜だった(語弊)。


「日曜、いきます」


 そういって頭を下げ、送ってくれたことのお礼を言う。

 二人は優しく笑った。



 ‣‣


「やっべ寝坊した!?」

「まだ大丈夫よー」


 慌てて飛び起きた私。ママの声が階段から響いてくる。

 よかった。

 まあ別に、学校遅刻したっていいんだけどね。

 進学する気ないし。

 布団をはがして、睡魔の誘惑から抜け出す。

 いつもとちがって、今日の寝覚めは良いみたいだ。


 階段を下る。いつも、制服へは歯磨きをした後で着替えている。

 ママが朝食を用意して待っていた。

 パパはもう仕事に出たらしい。机の上に載っているのは二人分だけだ。


「いただきます」


 手を合わせる。

 ママも一緒に食べるのか、私の向かいの椅子に腰かける。

 箸を持とうとすると、「ちょっとまって」とママの声に制された。

 珍しく真剣な声色に危機を感じる。

 あっこれはやばい…?


「昨日のこと、聞かせてもらってもいいかな?」


 ……バレてたか…。

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