羽根
四歳の私は、絵本とお絵描きとパズルが好きな子供だったらしい――ママからきいた話だから、本当かはわからないけど。
私の両親は基本適当なのだ。
そんな適当でありのんきな両親が、どうして私の羽根のことに気付けたかというと、答えはいたって単純。
羽根を見た、ただそれだけ。
保育園から帰ってきた私は、いつもどおりにテレビを見ていたそうだ。四歳のころならうっすらではあるけど覚えている。今も昔も変わらずテレビっ子だった――今は路線変更して、アニメばっかりみてるけど。
パパは仕事で家にいなかったそうなので、私もテレビを見ていておとなしかっただろうし、ママは夕飯の支度をしていた。ちなみにメニューはハンバーグだったらしい。ほんとそういうどうでもいいことばっかり覚えてるんだよね、ママ…。
夕飯の支度も一段落ついたので、ママはなんとはなしに私のほうに目をやったそうだ。
そして絶句した。
幼い娘の背中から羽が生えていたのだ。
さすがに初見で「うちの子天使だったのね!!」なんて思うほどには、ママの頭はイカれていなかったらしい。大慌てで写真を撮り(何でだ)、パパに電話をかけ、急きょ仕事を切り上げて帰ってきてもらったそうだ。
そして帰ってきたパパも絶句した。
それからパパとママは、羽根について色々調べたり周りにそれとなく尋ねてみたりしたそうだけど、当然ながら情報が出てくるわけもない。
だが何もせずに不用意に羽根を出してしまい、実験所送りにでもされちゃたまらない。
だから保育園に行くのはやめた。小学校も、羽根を自由に隠したり、操れるようになるまでは不登校を貫いた。
そうして私は羽根のこともわからないまま、自分は周りと違うんだという孤独感だけを背負って生きてきたのだった。
――彼らと出会うまでは。
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