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2017年9月26日 23:18
第26話。 感想として書くべきか否か、悩みました。 なんか「悪い」みたいに書いてしまっていますが、決してそんなことはなく、こんなことがちょっと引っかかってしまいました、というだけです。シーンとしては、逃避行? のどんどん加速して盛り上がっていくいいエピソードだと思っています。 主人公が「自分が流されるままだった」と言うことに気づき、気持ちが爆発する。ここは盛り上がりました。彼が受動的であるのは気になっていたので、良い爆発の仕方とは言えないけれども、動き出すことは、読んでいて気持ちを揺さぶられます。 気になったのはミルイ。チカラの正体が「両親が演じてくれたこと」というのは、展開として良かった(面白い、興味深い、凄いの意味で)と思います。(ただ、主人公と見た「過去の自分たち」のことがあるので、それだけじゃないと期待しています) 彼女は、まだ本当に両親に仲直りしてほしいと思っているのでしょうか。ここが気になってしまいました。 小学生の頃、まだ離婚する前の状態だったら、心の底から願っていると思います。けれど、既に離婚して何年も経っていて、彼女ももう17、8歳です。「仲直り」の意味が「互いを罵りあったまま別れたのを謝って赦し合う」ということなら、納得できます。けれど「昔のように三人で仲良く暮らす」だと、再婚してほしいということです。自分は、まだまだ子供のままで、愛されるのが当たり前でいたい、ということです。 彼女ほど頭のいい人が、そう思うでしょうか。それとも頭はいいけれど、子供の頃の環境から精神的な傷を負ってしまい、そのため心は子供のままという感じでしょうか。 冷静に考えれば、両親が元通りというのは、不可能です。父親の方も、既に自分の生活があるでしょう。再婚しているかもしれません。 女として母親を最低と思うなら、大好きな父と最低な女を再婚させたいと思うのかも、気になります。母親のことは「汚らしい」ものとして見ていると思います。思春期の女の子の潔癖な感覚です。人によりますが、この年頃は同性の親と反発しやすいと思います。そういう感覚は、ミルイはしっかり17、8歳の精神だと思います。 ミルイ本人が自分の言っていることが、子供っぽいことに気づかなくても、主人公がなんの疑問も持たないのが気になります。 ミルイとこの主人公なら、「ミルイの家庭は元には戻らない」と承知の上で、それでも、「幸せであった過去」を求めてしまう。 主人公も、「どうにもならなくて、現在の自分までたどり着いてしまった」というやり場のない悔しさがあると思います。 ふたりとも、「『自分ではどうすることもできなかった過去の自分』が幸せであったら良かったのに」という、今更どうすることもできない思いがあって、だからこそ共感しあって、手を取り合って一緒に「ここ」から飛び出す。そんな感じなのではないか、と思いました。 いろいろと、すみません。
作者からの返信
彼女は、まだ本当に両親に仲直りしてほしいと思っているのでしょうか。ここが気になってしまいました。 →ミルイの中での家族像というのは、幼いころのまま時間が止まっています。 後で明らかになる理由によって、彼女は両親が離婚した理由が母親にあると一方的に思っていてます。それは“小箱の中に隠した物語”によって、ある種の呪いのように彼女の精神や心に影響を及ぼし、しかも「自分が上手に“物語”を創ることが出来ないせいで、家族はいつまでたっても戻れない」という自らを追い詰めてしまう性格が、さらにその思いを加速させているのです。 それとも頭はいいけれど、子供の頃の環境から精神的な傷を負ってしまい、そのため心は子供のままという感じでしょうか。 →まさしくその通りです。そもそも歳相応の精神年齢であれば、“物語”を現実にさせるチカラがある、などとは思いませんからね。 ミルイ本人が自分の言っていることが、子供っぽいことに気づかなくても、主人公がなんの疑問も持たないのが気になります。 →主人公は「そこに触れると、霧絵ミルイは壊れてしまう」と思っている(たびたびミルイのことを“危うい”と評しているように)と同時に、彼自身もかなしいばかりの現実よりも、ミルイと一緒に夢とも現ともつかない世界をたゆたっていたいと思っているのです。 ……ここはもう少し分かりやすい、主人公の台詞をどこかに入れた方がよかったですね。
第26話。
感想として書くべきか否か、悩みました。
なんか「悪い」みたいに書いてしまっていますが、決してそんなことはなく、こんなことがちょっと引っかかってしまいました、というだけです。シーンとしては、逃避行? のどんどん加速して盛り上がっていくいいエピソードだと思っています。
主人公が「自分が流されるままだった」と言うことに気づき、気持ちが爆発する。ここは盛り上がりました。彼が受動的であるのは気になっていたので、良い爆発の仕方とは言えないけれども、動き出すことは、読んでいて気持ちを揺さぶられます。
気になったのはミルイ。チカラの正体が「両親が演じてくれたこと」というのは、展開として良かった(面白い、興味深い、凄いの意味で)と思います。(ただ、主人公と見た「過去の自分たち」のことがあるので、それだけじゃないと期待しています)
彼女は、まだ本当に両親に仲直りしてほしいと思っているのでしょうか。ここが気になってしまいました。
小学生の頃、まだ離婚する前の状態だったら、心の底から願っていると思います。けれど、既に離婚して何年も経っていて、彼女ももう17、8歳です。
「仲直り」の意味が「互いを罵りあったまま別れたのを謝って赦し合う」ということなら、納得できます。けれど「昔のように三人で仲良く暮らす」だと、再婚してほしいということです。自分は、まだまだ子供のままで、愛されるのが当たり前でいたい、ということです。
彼女ほど頭のいい人が、そう思うでしょうか。それとも頭はいいけれど、子供の頃の環境から精神的な傷を負ってしまい、そのため心は子供のままという感じでしょうか。
冷静に考えれば、両親が元通りというのは、不可能です。父親の方も、既に自分の生活があるでしょう。再婚しているかもしれません。
女として母親を最低と思うなら、大好きな父と最低な女を再婚させたいと思うのかも、気になります。母親のことは「汚らしい」ものとして見ていると思います。思春期の女の子の潔癖な感覚です。人によりますが、この年頃は同性の親と反発しやすいと思います。そういう感覚は、ミルイはしっかり17、8歳の精神だと思います。
ミルイ本人が自分の言っていることが、子供っぽいことに気づかなくても、主人公がなんの疑問も持たないのが気になります。
ミルイとこの主人公なら、「ミルイの家庭は元には戻らない」と承知の上で、それでも、「幸せであった過去」を求めてしまう。
主人公も、「どうにもならなくて、現在の自分までたどり着いてしまった」というやり場のない悔しさがあると思います。
ふたりとも、「『自分ではどうすることもできなかった過去の自分』が幸せであったら良かったのに」という、今更どうすることもできない思いがあって、だからこそ共感しあって、手を取り合って一緒に「ここ」から飛び出す。そんな感じなのではないか、と思いました。
いろいろと、すみません。
作者からの返信
彼女は、まだ本当に両親に仲直りしてほしいと思っているのでしょうか。ここが気になってしまいました。
→ミルイの中での家族像というのは、幼いころのまま時間が止まっています。
後で明らかになる理由によって、彼女は両親が離婚した理由が母親にあると一方的に思っていてます。それは“小箱の中に隠した物語”によって、ある種の呪いのように彼女の精神や心に影響を及ぼし、しかも「自分が上手に“物語”を創ることが出来ないせいで、家族はいつまでたっても戻れない」という自らを追い詰めてしまう性格が、さらにその思いを加速させているのです。
それとも頭はいいけれど、子供の頃の環境から精神的な傷を負ってしまい、そのため心は子供のままという感じでしょうか。
→まさしくその通りです。そもそも歳相応の精神年齢であれば、“物語”を現実にさせるチカラがある、などとは思いませんからね。
ミルイ本人が自分の言っていることが、子供っぽいことに気づかなくても、主人公がなんの疑問も持たないのが気になります。
→主人公は「そこに触れると、霧絵ミルイは壊れてしまう」と思っている(たびたびミルイのことを“危うい”と評しているように)と同時に、彼自身もかなしいばかりの現実よりも、ミルイと一緒に夢とも現ともつかない世界をたゆたっていたいと思っているのです。
……ここはもう少し分かりやすい、主人公の台詞をどこかに入れた方がよかったですね。