君へ…



遥へ



ずっと黙っていてごめんな。

医者に、もう長くはないと告げられてから、今までどおりに過ごそうと決めたんだ。誰にも心配かけたくなかったから。

でも、遥がこれを読む頃には、俺はもう死んでいて、一人にさせてしまってるんだと思う。

あれも、見たよな。あれが俺の素直な気持ち。遥と結婚して、ずっと傍にいたかった。


ホントに大好きだったよ。

遥の笑顔、怒った顔、寝顔も、全部好きだった。

遥と一緒なら、どこにいたって幸せだった。

ホントは最後に声が聞きたかったけど、今はこの手紙を書くだけで精一杯なんだ。

あと一回目を閉じれば、もう二度と覚めないような気がするから…。



あのな、遥。お願いがあるんだ。


きっと君は、俺のためにたくさんの涙を流してくれたんだと思う。

でも、どうか泣かないで。笑っていて。

遥の笑顔が見たいんだ。

もう会うことはできないけど、ずっと見守ってるから。

空の上から、ずっとずっと見守ってるから。

だから、泣かないで。笑っていて。


いつか、遥にも子どもができて、幸せそうに笑って過ごす日がくることを望んでいます。



勝手だけど、それが俺の願いです。




遥と過ごした3年間は、とても幸せでした。

ありがとう。



                                  祐二

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る