第3話 饕餮の法
「温羅殿、吉備の国の今の繁栄はあなたのお陰です」
百襲媛は静かに語りはじめた。
温羅は無言で頷いた。
「だけど、なぜ、
百襲媛は温羅を責めるように言った。
「仕方がなかろう。
温羅の声は悲痛な色を帯びていた。
四道将軍は皇族の将軍で、北陸道に
『古事記』によれば、北陸道を平定した大彦命と東海道の武渟川別命が合流した地点が会津であり、地名の由来になっているという。
その進軍ルートは前方後円墳の伝播経路と重なっていて、大和朝廷の地方平定の様子をうかがい知ることができる。
「
殷周時代の青銅器に「
「……確かに、私もそれは分かっております。……ただの愚痴です」
百襲媛は思わず苦笑した。
「そなたの朱矢も堪えた。あれが敗因かもしれぬな」
温羅はかつて百襲媛に打ち込まれた朱色の弓矢の痛みを思い出しながら左目を押さえた。懐かしい記憶を思い出しながら。
「……これも愚痴じゃ」
温羅も思わず破顔した。
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