第二節; Hear my voice.

「せせ、世界を救うってどういうことさ!?」

「〝静かの凍結〟がくるのじゃ!仲間を集めて防ぐのじゃ!」

「しっ……え?仲間?仲間がいるの?」

「わしらは〝神律シンリツ〟宿し〝受律者ジュリツシャ〟、五人なのじゃ」

「静かの何トカって?」

「静かの凍結!何者かがエネルギーを枯らせ、世界が凍えるのじゃ」

「それ……まるで膨張しきった果ての宇宙みたいだ……。どうするの?」

「五人揃えば熱をすのじゃ!それで世界を救うのじゃ!」

なな、何言ってんの、この子!?

超かっこいい!

「君は誰?」

黒髪ツインテさんは、赤い空を背景に、人形のような落ち着きで淡々と話し出した。

「失礼、わしは佐取サトリ結魚ユナじゃ。結魚ユナでよいのじゃ。江戸時代の予言者から手紙を受け取ったのじゃ。あれに備えよと言うのじゃ。わしの持つ他心律タシンリツは、会話は勿論、他人の心や記憶を読むこともできるから、仲間を探し集めるのはわしの責務じゃと思うのじゃ」

真面目な子だなあ!

「それじゃ君も、守りたいんだよね?僕らで世界を救うんだよね!?」

「もっ、もちろんなのじゃ!」

くぅー、燃えてきたあ!

タカブりを抑えきれず、彼女の小さな両手を取ってブンブンと振り回してしまった。

「すごいよ!すごいすごいすごい!まさかこんな超展開が待ってるなんて!やっぱ超常現象ってこういうのだよね!?」

「ゆ?」

結魚ユナは色白のかわいい顔をキョトンとさせた。

「協力するよ!僕は方場ホウバ八思代ヤモシロ。やもって呼ばれてる。宜しく!」

「お、おう。……よろしくなのじゃ!」

人形みたいな面立ちに浮かべた黒く大きい瞳がキラキラと輝いた。

感無量といった感じ。

世界を救いたいとか、仲間を集めなきゃとか、秘めた想いがあったのかな。

「……よし、やも!早速この場でお前の力を使ってみせるのじゃ!」

「え?ここで?」

「うむなのじゃ」

人前でアレを……。

中学時代に自分へ向けられた拒絶や敵意を思い出す。

僕は全身が冷たい空気に包まれ、急激に気持ちが地の底まで沈んでいくのを感じた。

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