御神木に願いは付き物

健斗を中心にするのは良いものかと公園の門の前でたたずんでいた。

確かに恋は経験とは言っていたが、流石に今までずっといた友達への意識を変えるなんて今更できるものかと思う。あまりよく解らないが、來末が言っていた私は恋愛に鈍いとなにか繋がりがあるのか__そもそも、考え方自体に問題があるのかもしれない。

「お待たせ!早いよ相変わらず。待った?」

「大丈夫大丈夫。慣れてるからさ。行こっか」

私たちが待ち合わせした公園の階段の上には立派な神社が立っている。神社の隣には海辺がよく見える高台もあり、よく観光客がここを訪れているのを見かけることもある。やはり外国人が多ようで、今日のお祭りも、ちらほら外国人が見えた。

「あ、そうだ。希望、明日どこかのタイミングで二人にしてあげるよ。あの願いが叶う御神木の前とかさ。」

「え?あの男女二人で見に来ると恋愛運が高まる木のこと?」

來末が突然振り向くと私は首をかしげて聞き返した。若干記憶を遡ってみる。

御神木とは、この神社__亦部神社の奥の階段を降りたところに存在する、神様をまつる木のことだ。ここの神社の御神木は恋愛の願いが叶うことで有名らしい。

「でも行く機会なんてあるの?」

「まあ行ってみようよ。」

1段1段転ばないようにその階段を降りると私たちの何倍大きい御神木を見上げた。

「やっぱりここに行く機会無いんじゃないかな」

「そんなこともないよ。あれ見てよ」

來末が指したトイレの方を見て状況を何となく把握した。來末の考えていることがなんとなくそうぞうがつく。亦部神社付近では使えるトイレがここしかないらしい。

それに見ると、人が多いことからたくさんの人が並んでいた。

「私と翔貴がトイレ行くふりして並んでたって言っておけばその間の時間たっぷり使えるよ。」

「う、うん、、」

無理矢理な願いだが恋がどんなものか解るのなら明日成功させてみたいな。と思った。

來末が先に林檎飴を買って美味しそうに食べているのを見て笑っていた。

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