夏祭りはあの人と?

翌日。スーパーで明日のご飯の食材を買い、ゆっくりな歩幅で家へ帰っていた。

どうしても弥生さんに言われた「恋は経験」と言うものが頭に引っ掛かったままだった

いくら悩んでもその引っ掛かりは複雑に絡まっていくばかりで、私の頭は謎に満ちた混乱状態に陥っていた。

軽い気分でスマホを見てみると丁度明後日に控えたお祭りのことで來末から返信が来ていた。

「やっぱり聞くのが早いのかな」

電話ボタンを押し耳にスマホを当てる。

数回待機音が鳴った後、元気な声が伝わってきた。

「あのさ、來末。恋の経験の仕方が解らないよ。どうすれば良いかな。」

その場で立ち止まってうつ向いて返信を待った。來末は「うーん」と何秒か悩んでいる。

「恋は人それぞれだからなぁ。経験は大事だけどね?なんなら明日、1日早いけど2日目のための夏祭り、下見でもいく?そしたらなにかわかるかも」

突然の誘いに戸惑っている間もなく続けて來末が言った。

「それに1番良いムードになれる時期って夏祭りなんだよね~。健斗とどうすれば近寄れるか考えにいこうよ!」

「ちょっと待って。どうして健斗が相手って前提なの!?」

時すでに遅し、叫んだ声は遠くまで響き、周りの人から凄く視線を感じた。その中にも、私の名前__瀬戸優月だ。といっている人も多くはこの状況から逃げるため來末に話しかけながら走った。


家を特定されたら困る!と、なるべく遠くへ走った。この辺に住んでいることはばれてしまったため、今頃、今話題のツイッターにでも広められているんだろう。そう思うとおとわずため息が出た。

慌ててスマホを耳に戻すと、來末が可笑しいと言って笑っていた。

「それで、どうして健斗?」

「希望が誰好きになるか解らないけど、まずは近い人からそういう経験した方が良いと思うよ?だから!」

納得できない説明を「ハイハイわかりました」と受け流し、明日の日程を決めた。

私はともかく少し來末の恋愛事情が気になった。聞いてみれば参考になるかもと、話を持ちかけるも、來末は

「あたしのことは良いの」と笑いながら流された。いつか聞ければ良いな。

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