良い機会

翌日。私は部活が終わり、最後に部室を出て鍵を閉め、ゆっくりな歩幅で帰り道を歩いていた。昨日のニュースを見てからか、私の中で「また小説を書きたい」と言う気持ちが芽生えたような気がしたからだ。

でも今私には受験と言う重要な時期があるため、それは叶わぬ夢だった。


小さな公園がある道の角を曲がったところで明るい音色がバッグから鳴り出した。

私はその発音体をだし電源をつける。携帯が鳴った音だ。メールが来ていた。メールの送り主は丁度、弥生さんだった。内容を開くと、丁寧な文を添えた地味に長い文だった。

「__瀬戸優月様 改め 久万希望様へ。

ご無沙汰しております。矢田弥生 改め 石橋怜です。

早速本題に入らさせてもらうと、昨日希望さんが長期休業を発表してからまだ一度も話せていなかったので、これを期にまたお会いしてお話しできたらと思いました。お時間がよろしければいつでもご連絡ください。新しい作品を出してから 自作を書くまで少々な時間がありますのでその時間にお会いできたら嬉しいです。それではよろしくお願いします。





あはは、私だってこのくらい真面目な文かけるのよ?笑」



丁寧に書かれた文を一通り読み上げる。

最後の文は……ほおっておこう。

会える約束を向こうから誘ってくれるのは嬉しいなと思うと、同時に弥生さんが今回出した小説の話も聞いてみようかなと楽しさが増してきた。私は深呼吸をすると早く家に帰るために小走りで帰った。

それから寝るまではずっと弥生さんに何を聞くかをずっと考えては紙に書いていた。

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