第3話

「優君と言ったね。私はこのグループのリーダーで悠斗と言います。今回は仲間を助けてくれてありがとう」

「別に大した事は無い。丁度お肉も欲しかったところだったのでよかった」

「それなんだけれど、君はいつもあいつらを狩っているのかい。というよりなんであいつらを倒せるの」

「いつもって訳ではないけれど、お腹が減って他に無ければ狩る。なんで倒せるのかは自分でも分からない。気付いたときには殴れば倒せるようになっていた。」

「殴れば、・・・なの?そのへんの石でも鉄棒でも持った方が・・・」

「それはダメ。この手で直接殴らないと動きを止めることさえ出来ない」

ザワリとした雰囲気が流れる。

「な、なら、私たちも素手で殴ればあいつらを・・・」

「出来るかもしれないけれど、やめたほうが良い。僕のやり方を見て、まねて殴りかかった人もいたけど、みんな死んだ。何が違うのかは分からない」

「君以外に、あの怪物たちを倒せる人はいるの?」

「それも知らない。それでも今のところ僕以外にあいつらを倒せたのを見たことは無い」

優は感情の乗らない言葉で淡々と話した。

「優君と言ったね。ご両親は……」

「父さんは、獣に追われる人を助けると言って出ていってから帰ってこない。どうなったか知らない。その翌日初めて僕が獣を見た。そして獣から僕を守ろうとして向かっていった母さんが獣に喰われた。それを見て僕は、怖さと怒りで獣を殴り飛ばした」

「じゃあ、その時初めて獣を倒したのかい」

「違う。その時は獣は母さんを喰っただけでどこかに行った。僕が喰われなかったのはそのせい」

「じゃあ、いったい」

「だから分からない。グループの仲間といた時も何度か獣に襲われたけど、1発殴ると僕は襲われなかった」

「1発殴ればいいのか」

グループの若い男がつぶやくと

「多分ダメ。僕の居たグループでも僕が殴って追い払っているのを何度か見た人が同じように殴ってみたこともあったけど、拳が砕けただけだった」

「そ、それじゃ俺たちはどうすれば良いって言うんだ」

先とは別の叫んだ。

「大きな声を出したらダメ。さっきと別の獣が寄ってくるよ」

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ZAP 景空 @keicoo

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